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BLE対応のESP32用MicroPythonのビルドと書き込み - Ubuntu (Windows Subsystem for Linux)

Last updated at Posted at 2020-04-28

ESP32用のMicroPython

ESP32用のMicroPythonもBluetooth Low Energy(BLE)をサポートしています。
Windows10 上の Ubuntu でビルドから動作確認までを行うことができます。

Windows10でUbuntuをインストール

Ubuntuインストールの準備とインストール

Windows PowerShell を「管理者として実行する」で起動し、次のコマンドで Windows Subsystem for Linux オプション機能を有効にします。

Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Windows-Subsystem-Linux

Windows10 の Microsoft Store で、Ubuntuを検索し、Ubuntuをインストールします。

**参照:**https://aka.ms/wslinstall

Ubuntuの初期化

インストール後、Ubuntuを起動し、Linuxユーザーアカウントの設定を行います。
設定後、ログインするので、ディストリビューションのパッケージの更新とアップグレードを行います。

sudo apt update && sudo apt upgrade

参照: https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/wsl/initialize-distro

必要なツールのインストール

sudo apt update
sudo apt install \
gcc git wget make libncurses-dev flex bison gperf \
libffi-dev libssl-dev
  • python python-pip python-setuptools python-serial python-cryptography python-future python-pyparsing については、ここではインストールしません。ESP-IDFの依存モジュールとして、後でインストールします。

フォルダ構成

最終的に次のようなフォルダ構成とします。

~/esp32
 + /micropython
 + /esp-idf
 + /xtensa-esp32-elf

セットアップ(インストール)

MicroPythonの取得(gitクローン)

~/esp32/micropythonディレクトリにMicroPythonのソースコードを取得します。

cd
mkdir esp32
cd esp32
git clone https://github.com/micropython/micropython

ESP-IDFの取得(gitクローンとリビジョン)

~/esp32/esp-idfディレクトリにESP-IDFのソースコードを取得(gitクローン)します。
ただし、MicroPythonは特定のESP-IDFのリビジョンに依存しますので、そのリビジョンをチェックアウトします。

make ESPIDF=を実行すると依存するリビジョンが表示されますので、そのリビジョンをgit checkoutのパラメーターに与えます。
※ 2020/04/28 現在、Supported git hash (v3.3): 9e70825d1e1cbf7988cf36981774300066580ea7と表示されました。

cd ~/esp32/micropython/ports/esp32
make ESPIDF=

export ESPIDF=~/esp32/esp-idf
mkdir -p $ESPIDF
cd $ESPIDF
git clone https://github.com/espressif/esp-idf.git $ESPIDF

git checkout 9e70825d1e1cbf7988cf36981774300066580ea7
git submodule update --init --recursive

Python仮想環境とESP-IDFの依存モジュールのインストール

Pythonを仮想環境で実行できるようにし、ESP-IDFの依存モジュールをインストールします。

sudo apt install python3-venv

cd ~/esp32/micropython/ports/esp32
python3 -m venv build-venv
source build-venv/bin/activate

pip install --upgrade pip
pip install -r ~/esp32/esp-idf/requirements.txt

クロスコンパイラ(Toolchain)のインストール

~/esp32/xtensa-esp32-elfディレクトリにクロスコンパイラ(Toolchain)をインストールします。

次のページを参照して、64bit版もしくは32bit版の最新バージョンをインストールします。
https://docs.espressif.com/projects/esp-idf/en/v3.3.2/get-started/linux-setup.html

  • 今回、xtensa-esp32-elf-gcc8_2_0-esp32-2019r1-linux-amd64.tar.gzをインストールしました。
mkdir -p ~/Downloads
cd ~/Downloads
wget https://dl.espressif.com/dl/xtensa-esp32-elf-gcc8_2_0-esp32-2019r1-linux-amd64.tar.gz
cd ~/esp32
tar -xzf ~/Downloads/xtensa-esp32-elf-gcc8_2_0-esp32-2019r1-linux-amd64.tar.gz

クロスコンパイラ(Toolchain) が ~/esp32/xtensa-esp32-elfディレクトリに展開されます。

ESPIDF環境変数とPATH環境変数の設定

ESPIDF環境変数とクロスコンパイラ(Toolchain)のPATH環境変数に関する記述を ~/.profileファイルに追加します。

~/.profile
# set ESPIDF esp-idf Repository
export ESPIDF="$HOME/esp32/esp-idf"
# set PATH xtensa-esp32-elf/bin
export PATH="$HOME/esp32/xtensa-esp32-elf/bin:$PATH"
alias get_esp32='export PATH="$HOME/esp32/xtensa-esp32-elf/bin:$PATH"'

~/.profileファイルを保存したら、一旦、Ubuntuを終了し(exit)、再度、起動します。
次のコマンドで、PATHが設定されていることを確認できます。

printenv PATH

ビルド

Python仮想環境の有効化(再)

次のコマンドで、構築したPython仮想環境を再度、有効化します。

source ~/esp32/micropython/ports/esp32/build-venv/bin/activate

組み込みスクリプトのプリコンパイル

MicroPythonの組み込みスクリプトの一部をバイトコードにプリコンパイルします。

cd ~/esp32/micropython/mpy-cross
make mpy-cross

berkeley-db-1.xxモジュールのアップデート

berkeley-db-1.xxモジュールをアックデートします。

cd ~/esp32/micropython/
git submodule init lib/berkeley-db-1.xx
git submodule update

ESP32用のMicroPythonのビルド

ESP32用のMicroPythonのファームウェアをビルドします。
ファームウェアのイメージファイルは、buildディレクトリに作成されます。
bootloader.bin, partitions.bin, application.bin の3つ)

cd ~/esp32/micropython/ports/esp32
make submodules
make PYTHON2=python

※ python2が見つからないというエラーが出てしまうので、makePYTHON2=pythonパラメーターを渡しています。

ファームウェアの書き込み

USBシリアルポートの設定

ESP32とは、USBシリアルポートで通信しますが、例えば、 /dev/ttyS1 (COM1)にアクセスしようとするとエラーが発生することがあります。
次のように、ユーザーを dialout グループに追加しておく必要があります。

sudo usermod -a -G dialout $USER

ESP32の接続

ESP32 をUSBケーブルでパソコンに接続し、デバイスマネージャで、ポートを確認します。
例えば、Windows10で、COM14 として認識されている場合、Ubuntuでは、/dev/ttyS14 として認識されます。
image.png

消去と書込

ファームウェアをESP32マイコンに書き込む前に、make eraseでフラッシュメモリの消去を行います。その後、make deployで書き込みます。
デフォルトでは、通信速度(BAUD)が460800に、通信ポート(PORT)が/dev/ttyUSB0に、それぞれ設定されていますので、パラメーターで明示的に指定しています。PORTは、デバイスマネージャーで確認したポートに合わせてください。

消去.
cd ~/esp32/micropython/ports/esp32
make erase BAUD=115200 PORT=/dev/ttyS14
書込.
cd ~/esp32/micropython/ports/esp32
make deploy BAUD=115200 PORT=/dev/ttyS14

MicroPythonの動作確認

シリアル通信ソフト(TeraTerm等)で、ESP32にシリアル通信接続します。通信速度は、115200です。

Hello World

uPyCraftの下段ペインがターミナルエミュレータです。ここで、USBシリアルポート経由で、プロンプトにアクセスできます。例えば、次のコードを入力し、Enterキーを押下するとHello Worldと表示されます。

print("Hello World")

サンプルプログラムの動作確認(温度計)

プログラム書き込みツールのインストール

プログラム書き込みツールとして、ampyをインストールします。

source ~/esp32/micropython/ports/esp32/build-venv/bin/activate
pip install adafruit-ampy

サンプルプログラムの転送

~/esp32/micropython/examples/bluetoothディレクトリにBLEのサンプルプログラムがありますので、ble_advertising.pyファイルとble_temperature.pyファイルをESP32へ転送します(put)。1

cd ~/esp32/micropython/examples/bluetooth
ampy --port=/dev/ttyS14 put ble_advertising.py
ampy --port=/dev/ttyS14 put ble_temperature.py

ファイルが転送されたかどうかを確認します(ls)。

ampy --port=/dev/ttyS14 ls

サンプルプログラムの自動実行

転送したble_temperature.pyファイルを自動実行させる為、main.pyファイルを作成し、転送します。

main.py
import ble_temperature
ble_temperature.demo()
ampy --port=/dev/ttyS14 put main.py

サンプルプログラムの動作確認

ESP32を再起動するとサンプルプログラムが自動実行されますので、スマホアプリのnRF Connect等を使って温度計の動作確認できます。
ESP32とシリアル通信しておけば、ログの確認もできます。

image.png

最後に

ESP32用のMicroPythonで、サンプルプログラムのBLE温度計の動作確認を行いました。

プロファイル/サービスの仕様に関しては、ESP/ESSを参照してください。
https://www.bluetooth.com/specifications/gatt/
ESP Environmental Sensing Profile 1.0 Active 18 Nov 2014 N/A
ESS Environmental Sensing Service 1.0 Active 18 Nov 2014 N/A

  1. (2020/06/26 追記) bluetooth.BLE.irq()の引数は、キーワード引数ではなくなりましたので、実行時にTypeErrorが発生することがあります。最新のexampleソースコードを取得してください。参照:https://github.com/micropython/micropython/issues/6489

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