ミニPCをモバイルディスプレイと組合せて一体化する、形はイーゼル風のPCスタンドを作ってみました。スタンド背面にはキーボード収納付きで、なかなかいい感じです。
ミニPCでノートPCを置き換える
早く作り方が知りたいという人はこちら
自宅PCとしてWindowsノートPCを使ってきたのですが、Windows11が入らないスペックなのでそろそろ乗り換えの時期でした。デスクトップPCだと邪魔になりますが、かと言ってまたノートPCに入れ替えするのもどうかと思っていました。
- そもそも自宅内であまり移動させることは少ないので、モバイルである必要がない。
- ノートPCは画面が下の方に固定なので姿勢が悪くなる。
- PC入れ替えのときディスプレイ・キーボードも含めて全交換となるのは無駄。
最近のミニPCは性能がそこそこ良いらしいので、これとUSB Type-C接続のモバイルディスプレイを組み合わせれば配線スッキリでよさげなPC環境が構築できそうですが、問題はPC・ディスプレイ・キーボード・マウスがばらばらにデスク上に鎮座してしまうこと。ちょっと場所を開けたいときにはじゃまになりそうなので、オーガナイザー的な何かが必要です。
そんなとき目にしたのが以下の記事。
なるほど、ディスプレイ台を木材で作ってその背面にミニPCについてくるVESAマウント用金具をねじ止めして一体化すればいいのか! 板を増やして収納を作ることもできる!
ただこのままでは安定性やディスプレイ設置仕様に不満があったので、造作が少しややこしくなりますが、以下のように工夫してみました。
- 蝶板で2枚の板をテント状に設置する。安定させるため横幅はディスプレイ幅とする。
- こうすればある程度高い位置にディスプレイを設置できる。蝶板の角度を調整することでディスプレイの角度も調整可能。
- しかし単純に長方形の板2枚で作るのではなく、イーゼル型のフォルムにすることで材料を削って軽量化。板をうまく切り貼りすれば、造作もそれほど複雑にならない。
- イーゼルの後ろ側にキーボード設置のための空間を設けてミニPCを固定することで、キーボード未使用時は収納して片付けることができるようにする。
ミニPC構成
- PC本体 Beelink EQ12 (intel N100, 16GB RAM, 500GB SSD)
- 電源はACアダプタ供給
- モバイル液晶ディスプレイ WINTEN WT-156PA-BK (15.6インチ, 1920x1200, ノングレア)
- USB Type-C 1本で本体と接続
- ワイヤレスキーボード Logicool K295GP
- ワイヤレスマウス Logicool M510
- キーボードとマウスは Unifying USBレシーバ で無線接続
PCスタンド作成
材料と必要な工具
参考のため一部の材料のおおよその値段を記載しておきます。(記載なしは手元にあるものを利用)
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桐集成材 15cm幅×15mm厚×90cm長 ※600円
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SPF1×2材 3ft長 ※400円
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ベニヤ板 (切れ端で十分) 5mm厚
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(桧)工作材 2.5cm幅×5mm厚
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木ダボ 6mm 2個
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蝶板 ※1,100円
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ネジ各種
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コーナークッション 90cm長 ※500円
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スポンジ等の緩衝材
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ノコギリ
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ドライバードリル
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木工ドリルピット 6mm (ダボ穴開け用)
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ダボ合せセンターポンチ --- 有れば(私のDIYの腕では必須)
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木工用ボンド
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両面テープ
蝶板はテント状に設置したときに角度を保ってくれないと困るので、ある程度の大きさでかつ動きが硬めのものを選びましょう。今回の製作では、摺動部に樹脂キャップが入っているものを選びました。
桐集成材は軽くて切削加工が楽で、しかも安価なところがよい。基本的に木板なら何でもよいのだけれど、ディスプレイの設置面は平らでないと困るので、狂いの出にくい集成材が良いでしょう。
実は一度組み上げてみたら、キーボード収納部分がキーボードの厚みより狭いことが判明して慌ててベニヤ板を切ってスペーサーとして追加しました。(やっつけ作業だったので、実物はだいぶ大きめではみ出しています。)
作業手順
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それぞれの木材をノコギリで切断して以下の部材を切り出す。
(サイズは参考です。自分の環境とお好みに合わせて調整してください。)- 桐集成材 A(36cm),B(14cm),C(28cm),D(17cm)
- SPF SPF1×2材 E(36cm),F(30cm)
- ベニヤ板 G(15cm×1.9cm) --- 桐集成材とSPF材の幅に合わせてスペーサを切り出す
- (桧)工作材 H(36cm)
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以下の平面図、側面図に示すように組み上げる。
おおよそ次のような手順で。
- 桐集成材 A, B は縦横を互い違いにしてダボ継ぎする。(ここが一番弱そうなのでダボ穴およびA, Bの接合面を木工ボンドで接着。)
- BとCを蝶板でつなぐ。(蝶板の向きに注意。蝶板をテント状にしたとき裏側になる部分に設置) テント状にしたときにガタつきがないか確認。
- SPF材Eを桐集成材Aの上にビス止め。Bの上端(蝶板設置側)からEの上端までが液晶ディスプレイの高さと一致するように。
- SPF材Fを桐集成材Cの上にビス止め。Cの上端(蝶板設置側)からFの上端までがキーボードの奥行きとだいたい一致するように。
- (必要に応じて)スペーサーのベニヤ板をSPF材Fの上にビス止め。
- 桐集成材Dをさらにその上にビス止め。
- 工作材HをSPF材の上に(ずらして)ビス止め。液晶ディスプレイのずれ落ち防止のための袴の役割スタンドを立てたときに若干後ろ重心になるように、前面の高さ(A15cm+B14cm)より後面の高さ(C28cm)を若干低くしています。前に倒れて液晶を傷つけるよりは、後ろに倒れてくれたほうが安全なので。
また、後面のSPF材Fが桐集成材の幅から飛び出て張り出しているのは、ここに横長のキーボードを収納したときに安定するようにです。
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テント状に立てたときに接地する桐集成材AとCの縁部分にそれぞれコーナークッションを切って両面テープで貼り付ける。 滑り止めになるのと同時にガタつきを防止します。
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ミニPC本体にVESA取り付け金具を取り付け、金具のVESA穴を使って桐集成材DにミニPC本体をビス止め固定する。
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工作材Hの裏側(桐集成材Aとの間)にディスプレイとの間の隙間埋めおよび傷防止のため、緩衝材を両面テープで貼り付ける。(実物では、ミニPCのパッケージに入っていた薄いスポンジ緩衝材を適当にカットして貼り付けました。)
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テント状にスタンドを置き、ディスプレイを前面に設置します。
- ディスプレイを固定しているのは下部の袴だけなので、倒れてこないようにディスプレイ背面と桐集成材の間をコマンドタブのようなもので粘着しておいたほうがよいでしょう。
使用感について
作業時の目線が上に上がって、未使用時はキーボードを片付けることができるので個人的には大満足です。
少しだけ気になることといえば、蝶板の角度を小さくしすぎると倒れてしまうので思ったよりは設置場所に奥行きが必要なことと、ノートPCと違って液晶の開閉でスリープができないので、マウスをちょっと触っただけでPCが復帰してしまうことでしょうか。
まとめと雑感
ミニPCとモバイルディスプレイ、ワイヤレスマウス・キーボードを組み合わせてこのイーゼル風スタンドにセットアップすることで、自宅内くらいだったら持ち運びできる一体型PC風が完成しました。
今回のミニPCは性能的にはボトムラインのIntel N100 ですが、ネット、メール、動画視聴、たまにWord Excelくらいだったらサクサク快適です。これがありものを合わせるだけで、重量も全部合わせて3kgにも満たないものが作れるのですから、技術の進歩を実感します。
この事実を目の当たりにすると、今後これといった特徴のない中途半端なデスクトップPCやノートPCは生き残りが大変そうですね。