ERPとは何か?
ERP (Enterprise Resource Planning) は「企業資源計画」と言う、簡単な言葉で説明すると全部門共通システムと言うことができます。
ERP誕生の歴史
1.各部門単独で業務を最適化時代(各業務部門が独自にシステム開発)
※限界がある、データ連携が難しい
2.システムを統合することのメリットを強く意識して生み出されたのが「ERP」
ERPとは
企業全体の資源(人・モノ・金・情報)を一元的に管理するシステム
ERPパッケージとは?
自社独自のERP開発に費やす時間・費用は非常に膨大なものとなります。
ビジネスの商機を見出した企業のERPベンダーからERPシステムをパッケージ化(各企業に展開可能なソフトウェア・アプリケーションにすること)各企業に販売します。
そうした流れの中で生み出されたERPのパッケージ製品が、SAP(by SAP社)であり、Oracle EBS(by Oracle社)なのです。
SAPとは何か?
「SAP」は「SAP社」が製造する「ERP」製品のことです。
各モジュールからリアルタイムに全業務のデータが連携されてきます。
SAPのモジュールとは?
ERPはいろいろなシステムがあります、
例えば:会計システム + 調達システム + 在庫管理システムなど
一つずつシステムについて、SAP用語では「モジュール」と呼んでいます。
SAPを導入する際には、モジュール単位で各種の設定(=パラメータ設定/カスタマイズ)を進めていきます。
会社別、利用必要なシステムは違うので、単独なモジュールを設定だけ行えばOKです。
※SAPをインストールすると全てのモジュールが同時にインストールされます。
SAPにおける代表的なモジュール
FI(Financial Accounting):財務会計
財務会計に関する業務をカバーするモジュール、会計システムの部分です。
調達したらお金を払いますし、ものが売れればお金をもらいます。また、人を雇えば給料が発生します。それらのデータがリアルタイムにFIモジュールに流れてくることになります。
※最も根本的なモジュールとなる、SAPを導入する際にFIモジュールを利用しない企業は存在しない
CO(Controling):管理会計
管理会計領域の業務をカバーするモジュール、管理会計とは企業内部の細かなコストの発生状況を分析する業務のこと。部門単位の業績管理や、間接費の管理などを主な目的とします。適切に運用すると、社内全体のコスト管理・コスト分析が可能となり、次なる業務改善を進めることが可能となります。
FIとCOの違う
・FI(財務会計)
社外向け(財務諸表の作成がゴール)
・CO(管理会計)
社内向け(費用・収益の分析が目的)
SD(Sales and Distribution):販売管理
販売管理システムに該当します。
お客さんからの注文を受けてから商品を出荷するまでの一連の業務を管理するのが主な目的です。モノを売れば代金を受け取る、書類フォーマットで送信、その売り上げのデータはFIモジュールに自動的に連携されていきます。
補足:メーカー企業よく使います。
MM( Material Management ):在庫購買管理
「在庫管理システム」「調達管理システム」に該当するモジュールです。
SDモジュールが販売管理だとすれば、MMモジュールは購買管理です。
発注金額や、在庫量データは財務諸表に関わってくるのでこれも自動的にFIモジュールに連携される仕組みです。
補足:SDモジュールを利用して販売管理を行う企業は、製品販売のための製造管理も行っている場合はほとんどなので、MMモジュールとSDモジュールはセットで導入されることが多いです。
それ以外モジュール
モジュール | 略称 |
---|---|
生産計画/管理(Production Planning and Control) | PP |
プラントメンテナンス(Plant Maintenance) | PM |
プロジェクトシステム(Project System) | PS |
品質管理(Quality Management) | QM |
人事管理(Human Resources) | HR |
倉庫管理(Warehouse Management) | WM |
設備予算管理(Inventment Managemant) | IM |
不動産管理(Real Estate) | RE |
文書管理(Document Management System) | CA-DMS |
分類(Classification) | CA-CL |
クロスアプリケーション(Cross Application) | CA |
SAP S/4HANA組み込みのオペレーショナルレポーティング機能 | SAP S/4HANA Embedded Analytics |
SAP専用Enterprise Data Warehouse(EDW)ソリューション | SAP BW/4HANA |
さまざまな情報活用シーンに適したBIフロントエンドツール(BusinessObjects) | SAP BO |
情報活用に必要な機能をワンストップで提供するBIクラウドアプリケーション(SAP Analytics Cloud) | SAC |
モジュール関連図
SAPを導入するには?
SAPはインストールするだけでは利用できません。インストールを行ったあとの設定作業や自社の業務内容に合わせた機能開発が必要となります。
SAP導入時の必要作業
①パラメータ設定(コンフィグレーション / カスタマイズ)
②ABAP開発(アドオン開発)
パラメータ設定(コンフィグレーション / カスタマイズ)
各パラメータ項目は、自社の組織情報の表示といった基礎的な設定パラメータから、国ごとに異なる税制や税率の設定、その他業務詳細に関するものまで、非常に細かく多岐に渡ります。
SAP内では基礎的な表示上のパラメータを設定することを「コンフィグレーション」、業務ごとの詳細な設定を任意に行うことを「カスタマイズ」と呼びます。
ABAP開発
他社との差別化のために独自の業務で効率化を行っているような場合が多く存在します。そのような業務はパラメータ設定(SAPの設定)だけでは処理することができないため、SAP専用のABAP(Advanced Business Application Programming)と呼ばれるプログラミング言語を用いて、独自の機能を開発します。