なりゆきで社内のイベントを主催することになり、ちょうど個人開発したかったので自作アプリ開発イベントを開くことにしました。「競争ではなく自己成長が目的」と明言して始めたところ、参加者が自分のチャレンジに集中しやすいイベントになった...かもしれないので、その話を共有させてください。
「競争ではなく自己成長が目的」と明言した理由
このようなイベントでは、順位によって賞品を与えるという競争要素はわりと一般的かと思います。イベントを企画する際に私もそれを考慮しましたが、今回は単に個人開発を楽しみたいという目的で始めていたので、競争要素の導入はあまり望ましくありませんでした。そのため競争要素を取り入れない形でイベントを計画することにしました。
ただ、そのまま進めても、周りから「せっかくなので順位をつけて賞品を出すのはどう?」という意見が出るかもしれないと考えました。そこで「競争ではなく自己成長が目的」という点をあえて強調してイベントを開催することにしました。
なんか後ろ向きな理由ですね(汗)
「自己成長」というのも後からとってつけたお題目だったのですが、結果的にはこれらが参加者の自由なチャレンジをもたらしたのかも...と勝手に思っています。
イベント概要
イベント概要は以下の感じです
(会社のSlackに送った通知文より要点だけ抜粋)
結構しつこく「競争要素を取り入れない」という意図を埋め込みました。
以下補足説明です。
やること: 期間中に自作のアプリを作成&デプロイしてください
開催期間は約1ヶ月とし、デプロイをある種の到達目標として設定しました。
競争要素を無くしたとはいえ、イベント参加者共通の具体的な目標は一応必要と考え、それを「デプロイ1」とした形です。このイベントでほぼ唯一のアウトプットに対する縛りになりました。
これは、気軽に参加できるイベントで、競争ではなく自己成長を重視しています
「競争しないよ」だけだと体裁が悪いと感じ、ChatGPTに相談した結果出てきたのがこの「自己成長」というワードです。この文言が加わるだけでそれっぽくなり、競争要素推進派からの攻撃をやり過ごすことができます(そんなものは存在しない)。なんにせよChatGPTはこういう時ほんと便利です。
アプリの規模: 休日1日で作成できる規模 ~ それ以上の規模でもOK!
参加のハードルを下げることも意図した内容です。
また同時にすべての参加者が同じ時間をかけるわけではないことも示しています。このことで成果物を比較する意味がさらに失われ競争意識を低下させるという心理的効果(?)を狙いました
抽選プレゼント: デプロイまでした人の中から抽選で2名に4000円プレゼント
「デプロイをある種の到達目標」という話を補強する要素になっています。
またあくまで抽選という形を取ることで競争要素を...(以下略
参加者
全部で7名が参加してくれました。弊社のエンジニア数は30人強なので、1/5 ~ 1/4程度が参加してくれた形になります。誰も参加してくれなかったらどうしようかと思っていたのででとても嬉しかったです。
参加者がしてくれたチャレンジ
1ヶ月後つつがなくイベントは完了しました。
ここでは参加者がしてくれたチャレンジについていくつか紹介します。
Webアプリケーションを初めてデプロイした
普段はデスクトップアプリの開発に携わっている参加者の幾人かが、Webアプリケーションのデプロイに挑戦してくれました。彼らは以前からAWSに興味があったようで、同時にAWSへのチャレンジも行いました。具体的には、AWSのEC2を使用してサーバーを立てる方法を選択し、初めてAWSに触れる機会となり、非常に勉強になったそうです。
自分で考えたものをを1から設計する機会を持てた
普段は開発作業に従事しているものの、自身で要件を考えて設計し、実装するという経験は、意図的に作らない限りなかなか得られません。本イベントに参加してくれたエンジニア歴2年目の参加者は、今回の取り組みを通じて、全てをゼロから考え、設計し、実装することの難しさと楽しさを再認識したと話してくれました。
Microsoft Storeに作成したアプリを公開した
参加者が記事を書いてくれたのでこちらご参照ください。
アプリをMicrosoft Storeに提出してみる
案件で利用しているフレームワークの触ったことのない機能を活用してアプリを作った
参加者が記事を書いてくれたのでこちらご参照ください。
Laravel 10のアプリケーションをrenderでデプロイするときのつまずきポイント
Ruby Kaigi の資料と並行してイベントに参加した
こちらの参加者は2023年5月に行われた RubyKaigi2023 年にSpeakerとして参加されていました。
Loading Gems in the browser with WASM
実は本記事のイベントも開催したのは2023年5月であり、RubyKaigiの準備で忙しかったにもかかわらず並行して参加をしてくれました。
作ったものに関しては記事を書いてくれたのでこちらご参照ください。
ruby.wasmでひらがなの書き方を練習する紙を印刷するアプリケーションをつくりました
ふりかえり: 参加者が自分のチャレンジに集中しやすいイベントになった...ような気がする
参加者全員が、私が思っていなかったような様々な方向からこのイベントに取り組んでくれたと感じました。各々が自身の興味に基づいたチャレンジの機会として、このイベントを活用してくれたように思います。
またイベントが終了した後、参加者全員で座談会を開催しました。私が予想していた以上に、多くの人が自身のチャレンジに関して積極的に語ってくださり、少し驚きながらも非常に嬉しい気持ちになりました。
結果的に「参加者が自分のチャレンジに集中しやすいイベントだった...」ような気がしています。それが「競争要素を取り入れない」という方針が良かったのだ!などと言うのは烏滸がましいのですが(まぁ普通に考えたら参加者が良かったと言う話になりますね。うーん...タイトル詐欺)、少なからず良い影響があったのではないかと勝手に思っています。
さいごに
弊社はRuby, C#のエンジニアを積極的に採用しています。興味のある方は是非ともご応募ください。
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なおここでの「デプロイ」は「他の人が容易に利用できる状態にすること」と定義してます。例えばWebアプリならURL押下でアクセスできる等です。デスクトップアプリやスマホアプリも同等のことができれば「デプロイ」としています ↩