BERTのfill-maskとは?
BERT(bert-base-uncased)は、Googleが2018年に発表した 双方向言語モデル で、文中の一部を [MASK] という特別トークンに置き換え、その位置に最も自然な単語を予測する「Masked Language Modeling」に強みがあります。
この機能は Hugging Face の pipeline("fill-mask") から手軽に呼び出せ、文の穴埋め・言い換え・校正支援に活用できます。
・uncased版:大文字小文字を区別しない("English" = "english")
・生成ではなく校正寄り:新しい文章を生み出すのではなく、既存文を「より自然な形に整える」用途に向く
【使ってみる】
冗長表現の見直し(“very” まわり)
The results are [MASK] significant for future studies.
結果
very 0.924
particularly 0.022
highly 0.008
most 0.004
more 0.003
どう読むか?
・“very” が 0.924 と圧倒的。BERTはニュース/一般文脈では“very significant” の共起が最も自然と判断。
・“particularly”“highly” も候補に出るが、頻度/汎用性の点で及ばないというシグナル。
・ただし文体ガイド次第では「veryの多用を避ける」ことがある。そんなときは スコア2位以降の中から置換を選ぶのが実務的。
実務の指針
・カジュアル・一般読者向け → “very” を許容
・学術・フォーマル → “highly / particularly / especially” を推奨(スコアは下がるがトーン適合を優先)
オリジナル vs 置換提案(ターゲット指定なし)
入力
This is a [MASK] important result.
出力(上位5候補):
very 0.924
particularly 0.022
highly 0.008
most 0.004
more 0.003
どう読むか?
・BERTが最も自然だと判断したのは "very"(確率 92.4%)
→ 「The results are very important …」が一番自然な表現と判定されています。
・ただし "particularly" や "highly" も候補に上がっているので、言い換えの選択肢としては有効。
・スコアは「文脈に合う自然さの目安」で、0.9 超はかなり強い確信度。
実務の指針
・カジュアル・一般読者向け → “very” を許容
・学術・フォーマル → “highly / particularly / especially” を推奨(スコアは下がるがトーン適合を優先)
【手順】
1. 準備(Colabでのセットアップ)
!pip -q install transformers accelerate torch --upgrade
from transformers import AutoTokenizer, pipeline
model_id = "google-bert/bert-base-uncased"
# トークナイザーとモデルの読み込み
tok = AutoTokenizer.from_pretrained(model_id)
fill = pipeline("fill-mask", model=model_id, tokenizer=tok, top_k=5)
2. 実行例:穴埋め予測
文中の1単語を [MASK] に置き換えて実行します。
for p in fill("This is a [MASK] important result.", top_k=5):
print(p["token_str"].strip(), round(p["score"],3))
【おすすめの用途】
・英文校正
「very」「really」などの冗長表現を検出して、フォーマルな候補に置換。
・言い換え支援
synonym 候補を提示して、文体に合わせた選択をサポート。
・誤用チェック
affect/effect など混同しやすい単語をスコアで判定。
・英語学習補助
自分の文を [MASK] で穴埋め → 自然な語彙を学習。
【まとめ】
・BERTのfill-maskは「文脈に最も自然な単語」を返す機能
・Colabで数行のコードで簡単に利用可能
・出力スコアから「自然な表現」「フォーマルな言い換え」の両方を検討できる
・生成ではなく“校正アシスタント”として使うのがベスト
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