はじめに:dependent オプションとは?
dependent オプションはRailsであるモデルが子のレコードを持っている場合、親レコードを削除するときに子レコードをどうするのかを決めるオプションです。実際の挙動はいくつかの選択肢の中から選ぶことができます。
オプションの種類
-
:destroy
親と一緒に子レコードも削除する。(無理心中パターン) -
:delete_all
親と一緒に子レコードも削除する。ただし、直接DBのレコードを削除するので、子レコードのコールバック処理は実行されない。 -
:nullify
子レコードの外部キーをNULL
更新する。(みなしごパターン) -
:restrict_with_exception
子レコードがある場合はActiveRecord::DeleteRestrictionError
が発生する。(引き留めパターン) -
:restrict_with_error
子レコードがある場合は削除できず、親レコードにエラー情報が付加される。(引き留めパターン)
参考:ActiveRecord::Associations::ClassMethods
設定例
class Category < ActiveRecord::Base
has_many :items, dependent: :restrict_with_exception
end
この記事ではこの中から restrict_with_error
と restrict_with_exception
をピックアップして、両者の違いを説明します。
restrict_with_exception と restrict_with_error の違いをサンプルコードで確認する
次のようなモデルを定義します。
# カテゴリ
class Category < ActiveRecord::Base
# :restrict_with_exception を指定
has_many :items, dependent: :restrict_with_exception
end
# 商品
class Item < ActiveRecord::Base
belongs_to :category
# :restrict_with_error を指定
has_many :orders, dependent: :restrict_with_error
end
# 注文
class Order < ActiveRecord::Base
belongs_to :item
end
挙動の違い確認するテストコード
Minitestでテストコードを書いてみました。
require 'test_helper'
class CategoryTest < ActiveSupport::TestCase
test 'restrict options' do
category = Category.create!(name: '本')
item = category.items.create!(name: 'Ruby入門')
order = item.orders.create!(customer: 'Alice')
# 子レコードがあると削除できない
refute item.destroy
assert_equal ["Cannot delete record because dependent orders exist"],
item.errors.messages[:base]
assert_raises(ActiveRecord::DeleteRestrictionError) do
category.destroy
end
# 子レコードがなければ削除可能
assert order.destroy
assert_difference 'Item.count', -1 do
item.reload.destroy
end
assert_difference 'Category.count', -1 do
category.reload.destroy
end
end
end
注文があると商品は削除できません。
restrict_with_error
を付けているので destroy
を呼ぶと false
が返され、商品にエラーメッセージが付加されます。
refute item.destroy
assert_equal ["Cannot delete record because dependent orders exist"],
item.errors.messages[:base]
同様に、商品があるとカテゴリは削除できません。
ただし、こちらは restrict_with_exception
を付けているので、 ActiveRecord::DeleteRestrictionError
が発生します。
assert_raises(ActiveRecord::DeleteRestrictionError) do
category.destroy
end
先に子レコードを削除しておくと、親レコードを削除することができます。
assert order.destroy
assert_difference 'Item.count', -1 do
item.reload.destroy
end
assert_difference 'Category.count', -1 do
category.reload.destroy
end
サンプルコードはこちら
このコードはGitHubに置いてあります。気になる人は実際に動かしてみてください。
そもそもなんでこの記事を書こうと思ったのか
restrict_with_error
と restrict_with_exception
の意味を勘違いしていたからです。
話がちょっとそれますが、 Ruby には Exception クラスと StandardError クラスがあります。
StandardError は Exception のサブクラスです。
参考: rescue節で例外の型を指定しない場合に補足できるのはStandardErrorとそのサブクラスだけ
さらに、 ActiveRecord::DeleteRestrictionError は StandardError のサブクラスになっています。
僕は restrict_with_error
と restrict_with_exception
の違いを StandardError と Exception の違いだと思っていました。
なので、こうなると思っていたのです。(error と Error が同じという理由で)
class Item < ActiveRecord::Base
belongs_to :category
has_many :orders, dependent: :restrict_with_error
end
# 実際はActiveRecord::DeleteRestrictionErrorは発生しない
assert_raises(ActiveRecord::DeleteRestrictionError) do
item.destroy
end
が、実際は restrict_with_error
の error は ActiveRecord の error (つまりバリデーションエラー)のことを意味しているようでした。
restrict_with_exception
を付けると DeleteRestrictionError が発生し、 restrict_with_error
を付けるとActiveRecordに error が付加されるって、なんかややこしくないですか?
そうでもないですか、そうですか。。。
まとめ
というわけで、 restrict_with_error
と restrict_with_exception
、 StandardError と Exception の違いを正しく理解し、バグのないRubyプログラムを書きましょう!!
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