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O'Reilly Online Learning とは

O'Reilly Online Learning とは、O'Reilly Mediaが提供する、主に技術情報を中心とした学習プラットフォームです (以下Online Learningと呼びます)。オライリー本が読み放題になるサービスとして聞いたことのある方も多いと思います。ですが、実際はそれにとどまりません。オライリー本読み放題は非常にありがたいですが、それ以外にも役立つ機能がたくさんあります。本稿では、Online Learningの便利な機能を紹介します。利用しようかどうか検討されている方、あるいは既に利用されている方の参考になれば幸いです。
※本稿で「書籍」や「本」と言った場合、特に明示が無い場合、電子書籍を意味します。

なお、Online Learningの利用には料金が発生します。契約申し込みの前にちょっと試してみたい方は、個人ユーザー向けの10日間の無料お試し期間が利用できます。会社によっては、自社エンジニアの技術力向上や福利厚生のために利用できるようにしていたり、あるいは会社に相談したら費用負担してくれたという話も聞きます。個人で契約しても十分元が取れるくらいには有益なサービスだと思います、料金面での負担が気になるという方は、所属の会社に一度相談してみてもよいかもしれません。筆者も以前は個人で契約していたこともありますが、現在の所属会社では、会社がサブスクリプション契約を行い、社員は利用することが可能になっています。

クラウドサービスをハンズオンで学べる!

Online Learningでは、AWS等のクラウドサービスや各種プログラミング言語、フレームワーク等を、実際に手を動かしながら学べるハンズオンコンテンツが提供されています。利用料金を気にせずクラウドサービスを使えたり、面倒な開発環境の構築を行う必要がないので、気軽に実践的な経験を積むことができます。

Online Learning上では、Interactive Learningと呼ばれており、大きく以下の3種類に分かれています。

  • クラウドラボ (CloudLabs)
  • ラボ (Labs)
  • サンドボックス

クラウドラボ

AWS、Azure、Google Cloud等の主要なクラウドサービスを実際に操作しながらインタラクティブに学べるハンズオンの学習コンテンツです。書籍やドキュメントから学ぶこともできますが、やはり実際にサービスを使いながら手を動かし学ぶ方法が、一番学習効率が高いでしょう。コンテンツは、トピック別に豊富に用意されています。例えば、Amazon RDSでDBのバックアップとリストアを実際にやってみる、等のコンテンツがあります。

クラウド利用に必要なアカウントについては、使い捨てできる一時的なアカウントをOnline Learning側で提供してくれます。ユーザーが学習コンテンツを利用する度に、一時アカウントが毎回新規に作成されます。アカウントの有効期限は通常1時間です。AWSを例にすると、一時的なAWSアカウント、IAMユーザー、アクセスキー等必要なもの一式が自動作成され、マネジメントコンソールやCLIを用いた操作ができます。ユーザーは、自分のクラウドアカウントを用いる必要が無いので、クラウド利用に掛かる費用やセキュリティリスクを心配することなく学習に集中できます。実際、試してみたいサービスがあっても、リソースの消し忘れや想定外の費用が心配だったり、誤設定/誤操作でトラブルを起こしたりしないか不安になったりと、ちょっと二の足を踏むこともありますよね。そういうときに、何も心配せず使えるハンズオンコンテンツがおすすめです。

以下の画像は、Amazon RDSを用いてデータベースのバックアップとリストアを実際に操作しながら学ぶハンズオンコンテンツのウェブブラウザ画面です。左ペインに詳細な手順とその内容がステップバイステップで表示され、右ペインではブラウザ上でCLI操作ができるターミナルが利用できます。クラウドの認証情報はターミナルに既に設定済みです (画面の認証情報は既に失効してますが念のためマスクしています)。

cloudlab-terminal.png

もちろん正規のWebコンソール (マネジメントコンソール) から操作することもできます。

cloudlab-console.png

ラボ

ラボは、各種プログラミング言語、フレームワーク、DB、アプリケーション等々の開発環境が自動で作成され、ユーザーが自分で環境を準備することなくすぐに学び始めることができるサービスです。クラウドラボと同様に開発環境は一時的なものです。クラウドラボから「クラウド」を除いたものと考えるとよいでしょう。

以下は、KubernetesのpostStart Hookに関するラボの画面です。左ペインにステップバイステップのガイダンス、右上にエディタ(VSCode)、右下にターミナルという構成になっています。ユーザーがガイダンスを参照しつつ、手を動かしながら学ぶことができます。

image.png

サンドボックス

サンドボックスは、クラウドラボ/ラボの、特定のテーマなくユーザーが自由に好き勝手使うバージョンです。クラウドラボ/ラボは、コンテンツ毎に学ぶ内容が明確に設定され、それに合わせたステップバイステップの詳細ガイダンスが提供されますが、サンドボックスはユーザーが自由に使うことを想定した使い捨て環境で、ガイダンスはありません。

何かちょっと実験したいけれど手元に環境が無いというときに、ブラウザさえあれば使えるサンドボックスは便利でしょう。

オライリー以外の本も読める!

書籍サービスで特筆すべき点は、O'Reilly以外の出版社の書籍も読めることです。例えば人気のManningや、Pragmatic BookshelfPearsonNo Starch Press等、様々な出版社の書籍が読めます。もちろんオライリー・ジャパンの日本語書籍も利用できます。さらに、米O'Reilly等一部の出版社のものは、Early Release版として一般公開前の書籍にもアクセスできます。Early Release版はソフトウェアで言うベータ版のようなものです。

Manning Publications:
image.png

オライリージャパン:
image.png

書籍リーダーはダークテーマも対応!

これは気にされる方も多いと思います。書籍リーダーはお好みでダークテーマ/ライトテーマが選択できます。後述するスマホアプリ版でも対応しています。

ブラウザ版 ダークテーマの例:
image.png
(『ソフトウェアアーキテクチャメトリクス』(Christian Ciceri, 他 著, 島田 浩二 訳) より)

書籍には、マーカーを引いたり、テキストでメモを記入することもできます。

動画、オーディオブックも利用可能!

書籍だけではなく、動画やオーディオブックも利用できます。動画オリジナルのコンテンツもあれば、書籍版を動画化、オーディオブック化したものもあります。これらは後述するスマートフォンやタブレットでの利用と相性が良いですね。

英語の動画コンテンツは、日本語字幕を付けることもできます。動画、オーディオブックともに、再生速度を0.5倍 - 2.0倍の範囲で調整可能です。

image.png
(Software Architecture Hour with Neal Ford: Software Design (Tidy First) with Kent Beck より)

スマホアプリも!

O'Reilly公式のAndroidアプリiOSアプリ が提供されています。スマートフォンやタブレットから、書籍、オーディオブック、動画コンテンツ等が利用できます。ライフスタイルに合わせてぜひ活用してください。

スマホアプリの場合、コンテンツをダウンロードすることが可能です。事前にダウンロードしておけばオフラインでも楽しむことができます。オーディオブックをダウンロードしておき、移動中に聞くという使い方も可能です。

プレイリスト機能

プレイリストは、特定の観点でまとめたコンテンツ集です。大きく分けて、Online Learningが提供するエキスパート・プレイリスト (Expert Playlist) と、ユーザー独自のプレイリストの2種類があります。

エキスパート・プレイリスト

特定のトピックを体系立てて学べるように、その道の専門家またはO'Reillyの編集者がまとめたコンテンツ一覧です。O'Reillyから公式に提供されるもので一定の品質が確保されていると言えます。プレイリストに含まれるコンテンツの種類は書籍、動画等、様々あります。一例として、Neal Fordがマイクロサービス学習者向けにまとめたプレイリスト、Microservices Essentials のページをリンクしておきます。

ユーザー独自プレイリスト

ユーザーが自分専用のプレイリストを作成することもできます。自分の関心事でまとめても良いですし、利用スタイル (通勤時に聞くオーディオブック集など) でまとめても良いでしょう。プレイリストにはコンテンツの一部のみを (書籍やオーディオブックなら章単位で) 追加することもできます。

ユーザー独自プレイリストは以下の公開範囲を設定できます。

  • 非公開
  • チーム内限定公開 (会社や組織がTeam契約している場合、チームメンバー限定で共有できる)
  • 公開 (Online Learning上で公開され、他ユーザーが参照可能になります)

資格対策にも!

Online Learningは、各種ベンダー認定資格向けのコンテンツも多数提供されています。AWS, Microsoft Azure, Google Cloud, Cisco, Oracle等、主だったベンダー認定資格が対象になっています。特定の資格に特化した書籍や動画コンテンツはもちろん、エキスパート・プレイリストも提供されています。以下は認定資格用コンテンツ一覧の画面です。画面左からベンダー別にフィルタリングができ、豊富にあることが分かります。この時点で800以上のコンテンツが提供されています。

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さらに、ピアソンと提携しており、Pearson Practice Testも利用できます。テスト問題を解きながら学習することができます。以下はAWS Certified Solution Architect Associate向けの問題サンプルです。

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ライブイベント

ライブイベントは、定められた時間に行われるWebinar形式のライブセミナーです。講師がスライドを使いつつトークをします。Q&Aやチャット用のウィンドウがあり、講師あるいは参加者同士でインタラクティブなやり取りが可能です。筆者も全貌を把握しているわけではないので、この形式でないライブイベントもあるかもしれません。

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ライブイベントは数も多く、トピックも多岐にわたります。本稿執筆時点で一覧を見ると、400弱のイベントが予定されていました。トピックや、時間帯 (日付ではない) でフィルタリングできます。ご自身の興味とライフスタイルに合わせて探してみるとよいでしょう。参加したいライブイベントは、事前の参加登録が必要です (登録は1クリックでできます)。

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画面に表示される時間は、お使いの端末に設定したタイムゾーンでの時間です。実際に一覧をざっと見てみると分かりますが、多くのライブイベントは日本時間で夜中に行われます。しかもほとんど数時間に渡るもので、リアルタイムでフルに参加するのは難しい人も多いでしょう。参加登録したイベントは、後でレコーディングバージョンを視聴できるようになっています。リアルタイムの参加が難しい場合は、参加登録をして後でレコーディングを活用すると良いでしょう。

英語のトレーニングにも効く!

既にお気づきだとは思いますが、Online Learningで提供されるコンテンツの多くが英語ベースです。英語が得意でない人間にとっては、筆者がまさにそうですが、ちょっと敷居が高く感じられます。とはいえ語学は、苦手だからと避けていては全く身につかないのも事実です。苦手→避ける→苦手の負のループに陥ります。なので筆者は、自分をだまして逆に考えるようにしています。すなわち、これは技術が学べて同時に英語の練習にもなる、一石二鳥でお得じゃないか! とポジティブに考えています。語学は「下手だから使わない」ではなく「使わないから下手なんだ」と考えるようにしています。きっとスポーツと同じだと思います。

さいごに

以上、O'Reilly Online Learningの主だった機能を紹介しました。カバーする領域の広さ、コンテンツの量、水準どれも並のものではありません。ユーザーがどんな役職、立場であっても、きっと役に立つと思います。特に技術を競争力とする会社にとっては、社員やチームの技術力向上に直結する O'Reilly Online Learningの利用は、大きなリターンがあるはずです。書籍が読み放題になれば、社内の勉強会、輪読会もより活発にできるようになります。所属の技術者が思う存分スキルアップできるようになれば、会社の競争力もグンと上がります。いっそうの躍進のためにぜひ活用をご検討ください。

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