はじめに
WebアプリケーションやAPI開発において、認証や認可は避けて通れない重要な概念です。特に、外部のサービスと連携する場合にはOAuth2がよく使われます。しかし、「認証と認可の違いは何?」や「OAuth2の流れが複雑で分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、認証と認可の違い、そしてOAuth2が何を提供するのかを明確に解説し、OAuth2の流れを図解するような形で分かりやすく説明します。ぜひ、OAuth2の仕組みを理解して、Web開発に役立てましょう!
認証とは?
認証(Authentication)は、ユーザーが誰であるかを確認するプロセスです。たとえば、ログインフォームでユーザー名とパスワードを入力することで、そのユーザーが本当に本人であることを確認する作業が認証です。
認証の例
- ログイン時にユーザーIDとパスワードを入力する。
- 指紋認証や顔認証。
- APIキーやトークンを使ってAPIリクエストを行う。
認可とは?
認可(Authorization)は、特定のユーザーがシステム上のリソースにアクセスする権限があるかどうかを確認するプロセスです。認証によって「誰か」が確認された後、そのユーザーに特定のリソースに対するアクセス権限があるかをチェックします。
認可の例
- 管理者ユーザーだけが管理画面にアクセスできる。
- ユーザーが自分のプロフィール情報を編集できるが、他のユーザーの情報にはアクセスできない。
OAuth2とは?
OAuth2は、第三者のアプリケーションに対してユーザーのリソースにアクセスする権限を委譲するための認可プロトコルです。ユーザーが第三者のアプリケーションに直接パスワードを渡すことなく、安全にアクセスを委任できる仕組みを提供します。
OAuth2の利用シーン
- Googleアカウントでログインして、他のアプリケーションにユーザーのGoogleプロフィールやGmailのデータを共有する。
- Facebookアカウントでログインし、Facebookの写真や友達リストにアクセスする権限を他のアプリに与える。
OAuth2は、ユーザーの認可(Authorization)を行うためのプロトコルですが、後述のOpenID Connectを使うことで、認証もカバーできます。
OAuth2の基本的な流れ
OAuth2の認可フローは、4つの主要な役割(登場人物)に基づいて動作します。
OAuth2の登場人物
- リソースオーナー(Resource Owner): アクセスを許可するユーザー(例: 自分のGoogleドライブのファイルを第三者アプリに提供するユーザー)。
- クライアント(Client): リソースオーナーに代わって、リソースサーバーにアクセスするアプリケーション(例: アクセスを求めるサードパーティアプリ)。
- リソースサーバー(Resource Server): リソース(データ)を保管しているサーバー(例: Googleのサーバー)。
- 認可サーバー(Authorization Server): 認可を管理し、トークンを発行するサーバー(例: GoogleのOAuth2認可システム)。
OAuth2のフロー(認可コードフロー)
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認可リクエスト
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クライアント(サードパーティアプリ)は、ユーザーに対して認可サーバー(Google)への認可リクエストを送る。ユーザーは認可リクエストを承認するかどうかを選択する。
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例: Googleアカウントでログインボタンをクリックすると、Googleの認可画面が表示され、アクセスを許可するか選べる。
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認可コードの発行
- ユーザーがアクセスを許可すると、認可サーバーはクライアントに認可コードを発行する。このコードは、クライアントがアクセストークンを取得するために必要なもの。
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アクセストークンの取得
- クライアントは認可コードを受け取り、認可サーバーにアクセストークンのリクエストを行う。このリクエストには、クライアントID、認可コード、リダイレクトURL、クライアントの秘密鍵が含まれる。
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アクセストークンの発行
- 認可サーバーがリクエストを承認すると、クライアントにアクセストークンを発行する。このアクセストークンを使って、クライアントはリソースサーバー(GoogleのAPI)にアクセスできる。
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リソースへのアクセス
- クライアントは、リソースサーバーにアクセストークンを送り、リソースにアクセスする(例: Googleドライブのファイルリストを取得)。
OAuth2の流れを図解
OAuth2の利点と課題
利点
- パスワードを直接共有しない: クライアントがユーザーのパスワードを保持する必要がなく、安全にアクセス権を付与できる。
- アクセストークンで操作: トークンに有効期限があるため、セキュリティが高くなる。
課題
- 実装の複雑さ: OAuth2は実装が少し複雑で、特にトークンの管理やリフレッシュの扱いに注意が必要。
- 認証ではない: OAuth2自体は認可のフレームワークであり、認証を行うものではない。認証が必要な場合はOpenID Connectのようなプロトコルを使用する。
まとめ
- 認証はユーザーが誰であるかを確認するプロセス。
- 認可は特定のユーザーがリソースにアクセスする権限があるかを確認するプロセス。
- OAuth2は、第三者のアプリケーションにユーザーのリソースへのアクセス権限を委譲するための認可フレームワーク。
OAuth2は、Webアプリケーション開発において外部サービスと安全に連携するための基本的な仕組みです。認証や認可の違いを理解し、適切にOAuth2を活用することで、安全で効率的なアプリケーションを構築しましょう!