はじめに
今回紹介する本
「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック
ITエンジニア本大賞という企画でこの本のことを知り、
技術書のインプットが足りてないなと思う時期だったため、改めて技術書の読み方を学んでみようと思い読んでみました。
本書の構成を簡単にお伝えすると以下の3部で構成されております。
- 第1部 選び方
- 第2部 読み方
- 第3部 情報発信&共有
各部ごとに2人の著者それぞれが章を受けもってそれぞれ書かれている感じで、1冊の本なのですが、読書術を2人の視点から学べるお得な本となっております。
この本は次のような方におすすめできると思いました。
- これから技術書を読み始める人
- 技術書を読んでいるがまだ数冊、読み方など考えたことがない
- 自己流でこれまで読んできているが他の人がどのように読んでいるのか知りたい
この記事では「第2部 読み方」について特に印象に残った2つのことをお伝えしようと思います。
狩野分析法を用いた読書の優先順位づけ
アジャイル開発などで使われる「狩野分析法」を用いた読書の優先順位づけ方法です。
狩野分析法とは
狩野分析法は、顧客のニーズを5つのカテゴリーに分類する手法です。
- 魅力品質: 顧客が意識していないが、存在すると満足度が向上するニーズ
- 一元品質: 顧客が当たり前と考えるニーズ
- 当たり前品質: 顧客が製品やサービスに求める最低限のニーズ
- 期待品質: 顧客が製品やサービスに期待するニーズ
- 無関心品質: 顧客にとって重要ではないニーズ
これを本の優先順位づけに応用しています。
狩野分析法では、「気に入る」「当然」「なんとも感じない」「仕方ない」「気に入らない」の5つの評価を「充分(ある)」「不充分(ない)」の2軸で行って判定しますが、読書の場合は「嬉しい」「普通」「困る」の3つの評価を「読んでいる」「読んでいない」の2軸で判定します。
手順
- 読書したい本をリストアップする。
- 各本について、以下の3つの視点で「うれしい」、「普通」、「困る」の3段階評価を行う。
- 仕事を進めるうえで、読めていたらうれしいか?
- 仕事を進めるうえで、読んでいなくても困らないか?
- 知識やスキルアップに役立つか?
- 評価結果に基づき、以下の表を参考に優先順位をつける。
結果、この図のような優先順位判定ができます。
気の赴くままに買った本を読んでいると2、3番の本はよく消化されるのですが、1番の本がモチベーションが他より低いために消化されなかったりします。
この優先順位づけをすることで、本を読むことによる効果を客観的に把握できるので、これからの読書に取り入れていきたいと思いました。
1冊90分で読む時間制限読書法
時間制限読書法とは、定めた時間内に1冊を読了するという目標を掲げて読書することです。最初は連続して集中できる限界値とよくいわれている90分に設定します。 「90分で1冊を読めるはずがない」と思う人がいるかもしれません。ところが、皆さんも知らないうちに実践しているはずです。〜 時間が制限されると人は思わぬ力を発揮するのです。これを日々の読書に応用したのが時間制限読書法になります。
※ 本書より引用抜粋
この読書方法にはメリットが4つあります。
- 集中して読書できる
- パーキンソンの法則を活用できる
- 悪書のリスクを軽減することができる
- 速読の訓練になる
また、本書では「パレートの法則」を用いて「本の要点の80%は20%にまとめられている」と言っており、全部を読む必要がないことを示唆してくれており、今まで全ページを読んでこそ読書と思っていた私は、軽いカルチャーショックを受けました。
時間制限読書法の実践法
・時間を区切る:慣れるまでは90分で挑戦する。
・読書量(ページ数)を決める必要はない:読書時間の決定は必須。読書量の決定は任意。読書量のみを決めてしまうと、それを達成するためにダラダラと読んでしまう恐れがある。
・誘惑となるモノを排除する:読書に専念するために、そういったモノを片づけておく。スマホやPCを触らない。YouTube、メーラー、Twitter、ニュースサイト、株価を見ない。
・時間を計る道具はキッチンタイマーが好ましい:スマホのタイマー機能でも代用できるが、スマホそのものが誘惑の1つなので好ましくない。
・タイムリミット時に読書をいったんやめる:切りのよいところまで読み続けてしまいがちだが、あえて切りの悪いところでやめる方が次回への読書のモチベーションを保てる。
・速読や飛ばし読みのスキルを意識する:時間内に読破するためには、どうしても集中力だけでは達成できず、読書テクニックを要する。
・再読では最初から読む:あらためて最初から目を通して、すでに理解したところは飛ばし読みし、前回到達したページに素早く到達することを目指す。前回読み終えた途中から始めるという選択肢もあるが、それでは通常の読書とあまり変わらない。
・メモは最小限でよい:基本的にメモは不要だが、どうしてもメモしたい場合は簡潔にまとめる。後述する一点突破読書法であれば、精読やメモと相性がよい。
実践してみた
レベル感のちょうど良い本ですと、とても良い効果を発揮します。だらけることもなく、短い時間で普通に読むよりも多くのインプットがあったように感じました。しかし、レベルが高めの本を選んでしまうと、要点を押さえているとはいえ要約されている内容をうまく理解できず、結局頭から読んでいるのと変わらない状態になってしまいました。技術書のみならずビジネス書などにも同じような効果があり、良書は繰り返し読むことを前提としていることが多いので、悪書に無駄な時間をかけてしまうというリスクを軽減する効果が本当に大きいことを実感しました。
さいごに
読んで良かったと思う本でした。優先順位の付け方や読書法を取り入れつつ、今後も自分自身の読書活動を加速させていきたいと思います。
今回は触れませんでしたが、アウトプットの重要性についても第3部で触れられていて、なかなか億劫になっている私も少し前向きになる内容だったのでぜひ読んでいただければと思います。
最後に載っていた名言をひとつ、
「よい本は私の人生におけるイベントである」
──スタンダール(フランスの小説家)