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【要件定義】いきなり内容説明しない!業務フローを説明するまでの「長い道のり」をまとめました。

Last updated at Posted at 2021-05-11

要件定義をしているときに、お客さんに資料を説明することがあります。ITを専門にしていないお客さんにどのように説明するのがよいのでしょうか。まずは、資料の中身を説明する前に、前提を話す必要があります。資料の作り方は書籍やネットの記事でよく目にしますが、資料説明の仕方はあまりないようにみえます。ので、資料を丁寧に説明する流れを検討し、自分なりの言葉でまとめました。

本記事では、
①紙媒体で行っていた業務をシステム化するプロジェクト
②「要件定義フェーズ」
③「業務フロー」を「お客さん(ITを専門にしない方)」に説明する
と仮定して、セリフと解説を記載してきます。

説明の流れ
1.ウォーターフォールモデルにおける要件定義の解説
2.使用する資料の概要説明
3.近々のスケジュールの確認
4.資料の見方と説明の流れの提示
5.資料の説明開始!

#1.ウォーターフォールモデルにおける要件定義の解説

スライド1.JPG

「要件定義を説明する前に、ウォーターフォールモデルについて、簡単に確認します。
ウォーターフォールモデルとは、計画重視の開発モデルです。
要件定義、設計、開発(実装)、テストと分け、各フェーズごとに成果物を作成し、
次のフェーズに進みます。」

解説
要件定義を説明するうえで、全体の流れを確認します。今どの段階にいて、今後何をするのかを確認します。ウォーターフォールモデルでは途中での大きな変更に対応できないことも事前に説明しておきたいですね。

スライド2.JPG

「要件定義とは、お客様の要望と解決策をまとめることです。
今回の要件定義の目的は2つあります。
1つ目は現状業務の認識をそろえること、2つ目はシステム化範囲を決定することです。」

解説
1つ目の「現状業務の認識をそろえること」で、誰が何をしているのかを洗い出します。そうして、現状把握と、課題の発見をしたいです。ここで、認識齟齬があると、問題です。議事録等を作成したり、決まったことを簡単にまとめたり、認識齟齬がないように進めたいです。

2つ目の「システム化範囲を決定すること」で、どの作業をシステム化するのか、しないのかを決めたいです。開発コストや運用でカバーできる部分も加味して、範囲を明確化します。一番難航するところでしょうか。

#2.使用する資料の概要説明

「弊社で作成した業務フローをもとに、現状業務の認識合わせを行います。
業務フローとは、業務の流れを可視化したものです。
部署(アクターも含む)、業務、資料などを時系列に沿って表現しています。」

解説
ここでやっと、説明したい業務フローが登場します。ポイントは「いきなり内容を説明しないこと」です。まず、何をするのか、どのような資料なのか、を説明します。業務フローをはじめて見る人に理解いただくための、前提知識ですね。

#3.近々のスケジュールの確認

スライド7.JPG

「次に、近々のスケジュールを確認します。
業務フローを用いた「現状業務の認識合わせ」のミーティングは全4回を想定しております。
日程と確認範囲は表の通りです。

4回で完了できない場合は、ミーティング時間の延長や追加ミーティングの実施など
対策を検討しますので、ご協力をお願いいたします。

本日の確認範囲は、〇から〇〇までです。」

解説
全体スケジュールを共有済であることが前提です。
資料の説明をする前に、何をいつまでに確認するのか、お客さんと認識合わせをしておく必要があります。1回ごとの会議で何を話すのか提示しておいて、それに向けた準備をしたり、時間感覚を共有したりします。

また、スケジュール遅延の対策もここで頭出ししておきたいですね。

#4.「資料の見方」と「説明の流れ」の提示

スライド3.JPG

「資料内容の説明をする前に、凡例(はんれい)と見方を説明します。

凡例は以下の通りです。四角のアイコンは1つの作業を表します。
書類の不備確認など結果が分かれる際は、分岐をひし形で表現しています。
円柱のアイコンはデータベースを表し、データの格納先です。
データベースの次にあるアイコンはドキュメントを表します。
申請書など書類がある場合を想定しています。
矢印は処理の関連を表します。
作業が完了したら、次どの作業をするのか矢印の向きで表現しています。

業務フローは上から下、左から右に見ていただければと思います。
基本的に左上が業務のスタート地点、右下がゴールとなります。

また、誰が業務を行うかは、レーンにて記載を分けています。
例えば、「申込書作成」は担当者のレーンにあるので、担当者が「申込書を作成」します。

業務フローに沿って説明した後に、吹き出し記載の質問事項のやり取りを行います。
場面ごとにシートをわけているので、1シートごとに区切って進めます。」

解説
忘れがちな資料の見方を説明します。地味に大事な説明です。
凡例で「どのアイコンが何を指しているのか」業務フローの構成要素を簡潔に伝えたいです。

業務フローは「いつ」「誰が」「どのような作業を」「どのような場合に」するのかまとまてある資料です。そのためにアイコンや矢印、レーンで整理してあります。認識合わせが目的なので、共通の言葉をつくってから、説明したいです。

また、「フローの説明後に質疑応答する」など順番も整理できていると、次にどの話をするのか、お互いに予測しやすくなります。吹き出しは番号をつけて、目立つように表現しました。

#5.資料の説明開始!

スライド4.JPG

「それでは、業務フローの説明を始めます。~」

ここまで説明して、やっと業務フローの内容説明が開始できます。長かった。
前提をおさえようとすると、いろいろ説明したほうがいいことがありました。相手に推測させず、認識齟齬がないように進めるのは大変です。が、後のことを考えると段階を追って細かく説明した方がいいのかなと思っています。

お客さんからの返答は、吹き出しの中に記載しメモとして残しておくようにしています。さらに、回答が済んでいることを表現するために、回答記載後は吹き出しの背景の色を変えました。

お客さんに説明後のフロー↓
スライド5.JPG


仕事中にやり方・進め方で悩む時があります。どの方法を選んだらよいか確かな根拠を持っていないときです。どの方法でも結果はあまり変わらないが、初動が変わるような選択です。

「悩んだら、丁寧な方を選ぶ。」

スピードに価値があると気づいてからは、悩むより進めることを意識して、「丁寧な方」を選んでいます。また、気づいたこと・依頼されたことはすぐに取り入れようと心がけています。

今回の業務フローでの改善点の例です。
・質問には番号をふる
・印刷範囲をあらかじめ調整しておく
・Excelのシートが多いときは、非表示にする
・Excelのシート名を赤など目立つ色で印をつける
・保存するときは、ページの一番上を表示し、左上のセルにあわせておく
・システム化範囲と誤認されないよう、システム化を連想させる言葉を使わない(「送信」はNGで「送付」はOK)
・どの資料かわかるように、簡潔でわかりやすいファイル名をつける
・簡潔な質問文を書く
・文字サイズを大きくして見やすいようにする

自分では気づかないことも多いので、「言われたとき」「気づいたとき」に修正するのがポイントです。「認識合わせ」が大切といわれますが、どのように合わせていくか工夫が必要です。最近学んだことが何かの役にたったら、うれしいです。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

#参考
backlogブログ『要件定義とは何?スムーズな進め方や成果物(要件定義書)についても解説』(2021年5月3日利用)
https://backlog.com/ja/blog/what-is-project-requirements-definition/

業務可視化Note『【業務フローの書き方】業務フローを書く為に必要な図形(記号)とは?』(2021年5月3日利用)
https://kashika.biz/flowchart-5/

栄前田勝太郎・河野めぐみ・岸正也・藤村新・藤原茂生・山岡広幸(2017年)『Webディレクションの新・標準ルール システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス』エムディエヌコーポレーション

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