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Typedefの考え方

Last updated at Posted at 2016-12-27

はじめに

関数ポインタを勉強していたら、typedef でハマってしまったというお話。間違ってたら、優しく教えてほしいな…(小声)

まずは基本から

typedef といえば、こういう風に書くのが基本だと思います。

// 符号なし整数型を Typedef した場合
typedef unsigned int UINT;
UINT a = 10; 

typedef したことで、符号なし整数型(unsigned int)と同じ意味を持つ新しい型名 UINT が出来ました。1

ここから、下記のように公式を導くことができます(私の発見ではなくて、よく見かけるものだけど)。

typedef 既存の型名 新規の型名

簡単ですね!

ポインタ

typedef といえば構造体でしょうが、ここではポインタを typedef しておきたいと思います。ちなみに、下記は K&R にも載っている例です。2

先程の公式に従うと、このようになるでしょう。

typedef 既存の型名 新規の型名

-->
既存の型名: char *
新規の型名: STRING

-->
typedef char* STRING

では、実装してみます。

// char 型へのポインタ(文字列)を typedef した場合
typedef char* STRING;
STRING str = "ABCDEFG";

見事、文字列型が出来ました!

関数ポインタ

ところで、関数もメモリに配置されているため、ポインタで指すことができます。あまり面白くないコードですが、こんな感じです。

#include <stdio.h>

// 関数ポインタを通して呼び出される関数
void func(int a); 

int main() {
    // 関数ポインタを宣言する
    void (*funcPtr)();

    // 関数ポインタに関数名(関数のアドレス)を代入する
    funcPtr = func;

    // 関数ポインタを間接参照し、関数を呼び出す
    (*funcPtr)(1);

    return 0;
}

void func(int a) {
    printf("Input value is %d\n", a);   
}

関数ポインタで一番わかりにくいのは、下記の部分だと思います。

void (*funcPtr)();

これは「『void 型を戻り値とする関数』へのポインタ」を宣言しています。

void *funcPtr();

こんな風に書きたくもなりますが、こう書くと、「void 型へのポインタを戻り値とする関数」を宣言したことになってしまいます。それを防ぐために、() を付けることになったそうな…3

ちなみに、「配列名」が「配列の先頭要素のアドレス」を指しているように、「関数名」も「関数のアドレス」を指しています。なので、ポインタにアドレスを代入する際も &func とする必要はありません。

funcPtr = func;

関数ポインタをtypedefしたい!

さて、ポインタを typedef できたなら、関数ポインタもできるはずです。実際、関数ポインタは長くなりがちなので、typedef することも多いらしいです。

まずは公式に当てはめて考えてみます。

typedef 既存の型名 新規の型名

-->
既存の型名: void (*)()
新規の型名: FUNCTYPE

-->
typedef void (*)() FUNCTYPE

うん、なんか不格好だけど、やってみよう!

#include <stdio.h>

void func(int a); 

int main() {
    typedef void (*)() FUNCTYPE;

    FUNCTYPE funcPtr = func;
    funcPtr(1);

    return 0;
}

void func(int a) {
    printf("Input value is %d\n", a);   
}

あれっ、エラーが出てコンパイルできないぞ…

正しい書き方はこれ

いろいろと調べると、以下の書き方が正しいみたい。

typedef void (*FUNCTYPE)();

公式への疑惑

うーん、たしかに動いたけど、これって、公式と違わない?

typedef 既存の型名 新規の型名

そう思って調べてると、こんな 文章 を見つけました。

私も typedef の話をする時には、「まず変数宣言をするふりをして、頭に typedef を付けると型になる」と説明しています。

えっ、そういうこと?

typedefと変数宣言

変数宣言を念頭に考えると、typedef は一気にわかりやすくなります。例えば、符号なし整数型の場合。

// 0.変数を宣言する
unsigned int a;

// 1.typedef を先頭につける
typedef unsigned int a;

// 2.変数名を新しい型名にする => 完成!
typedef unsigned int UINT;

文字列型を作る場合も同じ。

// 0.変数を宣言する
char* str;

// 1.typedef を先頭につける
typedef char* str;

// 2.変数名を新しい型名にする => 完成!
typedef char* STRING;

そして、関数ポインタの場合。

// 0.変数を宣言する
void (*funcPtr)();

// 1.typedef を先頭につける
typedef void (*funcPtr)();

// 2.変数名を新しい型名にする => 完成!
typedef void (*FUNCTYPE)();

実は配列も typedef できるのですが、これも最初に考えた公式では到底導き出せません。

// 0.変数を宣言する
int numbers[5];

// 1.typedef を先頭につける
typedef int numbers[5];

// 2.変数名を新しい型名にする => 完成!
typedef int ARRAY[5];

// 実際の使い方
ARRAY hoge = {1, 2, 3, 4, 5}; 

規格ではどうなってるの?

コンパイラがこういう風に解釈しているのだから、規格にも記述があるはず。ということで、K&R を探してみました。以下の場所がそれっぽい?4

宣言子中の各名前には、一つの typedef 宣言により、通常のやり方で型が与えられる(8.6節)。その後では、そうした typedef 名は、その型に対応する型指定子キーワードと文法的には同じになる。

ここでいう「8.6節」には、ポインタや配列、関数などの宣言方法が書かれています。それと同じようにして型が与えられるということは、変数宣言と同じようにして typedef もできるということでしょうか?

まとめ

よく聞く公式?

typedef 既存の型名 新規の型名

では汎用性が低いので、下記の手順を踏むようにしましょう。

0.変数を宣言する
1.typedef を先頭につける
2.変数名を新しい型名にする

  1. 新しい が出来たわけではなく、型名 が出来ただけであることに注意。

  2. こんな例を載せるぐらいなら文字列型を用意しておいてくれよ、と思わなくもないが(笑)

  3. 演算子の優先順位が原因なのですが、あれを覚える気力が湧かない…

  4. 『プログラミング言語C』第2版、p.276

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