数日前(4/21頃)に Next.js のチュートリアルが一新されました。
Next.js は 3 月頭に ver 9.3 がリリースされ、ビルド時に静的に HTML を生成する関数などが追加されるなど、今までよりもかなりパワフルになり、いわゆる JAMstack と呼ばれるようなアプリケーションを作りやすくなりました。
そのバージョンアップに対応するかたちで、チュートリアルも大幅に書き直されました。
参考(開発チームの @chibicode さんのツイッター)
Next.jsの公式チュートリアルを最新版に沿ってゼロから書き直しました!
— Shu Uesugi (@chibicode) April 21, 2020
🎓英語ですが初心者向けです!
⚛️最近導入されたgetStaticProps等の関数や、
🎨CSS Modulesの解説をしています!
🗣ブログを作りながら学びます
🤗ご感想お待ちしております!https://t.co/R4j9vpAQoc
新しくなったチュートリアルに取り組むことで、バージョン 9.3 で導入された新しい機能について学習することができますし、チュートリアルが終わる頃にはしっかりしたブログアプリが完成してしまいます。また、コードの書き方を説明して終わりではなく、ビルドからデプロイまでのワークフローも丁寧に解説されているという、一度食べて何度も美味しいという内容になっています。
しかし、この Next.js のチュートリアルは全編英語なので、日本人の方でも取り組みやすいように全編和訳を行いました。それがこの記事です。
注意
- この翻訳は非公式です。
- 訳が不正確な部分やその他不備があればお知らせください。
- 本文中の画像もすべて公式チュートリアルが出典です。
ちなみに、私はふだん Next.js で個人開発を行ったりしている者です。
Twitter もやっているのでよかったらフォローおねがいします! @_thesugar_
主な更新履歴 : 2020/4/26 本文中の 画像内の文言の日本語化 (本家公式チュートリアル執筆者の @chibicode さんご本人が翻訳してくださいました。ありがとうございます )
Next.js チュートリアル
(基本編)
レッスン1. Next.js アプリをつくる
React で 0 からちゃんとした Web アプリケーションを構築するには、考慮しなくてはならない細かい点が数多くあります:
- コードは webpack のようなバンドラでバンドルし、Babel のようなコンパイラを使って変換しなくてはならない
- コード分割といったプロダクションの最適化を行う必要がある
- パフォーマンスや SEO のために静的にプリレンダリングしたいページがある一方で、サーバサイドレンダリングやクライアントサイドレンダリングを利用したいページもあるかもしれない
- React アプリとデータストアを接続するために、いくらかのサーバサイドのコードを書く必要があるかもしれない
フレームワークを使えばこういった問題は解決できます。しかし、こういったフレームワークは適切な抽象度を兼ね備えたものでなければなりません。そうでなければあまり便利なものとは言えないでしょう。そうしたフレームワークはすばらしい「開発者経験(Developer Experience)」を提供し、コードを書いているときにあなたやあなたのチームがすばらしい経験を味わえるものである必要があります。
Next.js: React のフレームワーク
React フレームワークの Next.js を見ていきましょう。Next.js を使えば先ほど述べたあらゆる問題を解決できます。しかしより重要なことは、React アプリケーションを構築するときにあなたやあなたのチームが、まるで導かれるように成功するということなのです。
Next.js には最高クラスの開発者経験があり、数多くの特徴が組み込まれています。例えば以下のような特徴があります。
- ページベースの直感的なルーティングシステム(動的ルーティングをサポート)
- プリレンダリングでは、静的生成(SSG)とサーバサイドレンダリング(SSR)の両方をページ単位でサポート
- より速いページロードのための自動コード分割
- 最適化されたプリフェッチングによるクライアントサイドルーティング
- CSS と Sass のビルトインサポートおよびあらゆる CSS-in-JS ライブラリのサポート
- HMR (Hot Module Replacement) をサポートする開発環境
- サーバレス関数を用いて API エンドポイントを構築するための API ルート
- 完全に拡張可能であるという点
Next.js は、世界でも最大級のブランドを含む数多くの Web サイトや Web アプリで使われています。
このチュートリアルについて
この無料で対話形式のコースに取り組むことで Next.js の始め方を学ぶことができます。
このチュートリアルでは、シンプルな ブログアプリ を作ることで Next.js の基本を学びます。最終的な結果の例はこちらです:
https://next-learn-starter.now.sh (ソースコード)
それでは始めましょう!
このチュートリアルは JavaScript と React の基本知識を前提にします。もし React のコードを書いたことがなければ、まずは React の公式チュートリアル に取り組んでみるとよいでしょう。
Next.js のドキュメンテーションを探している方はこちら。
セットアップ
まずは、開発環境が準備できているか確認しましょう。
- Node.js をインストールしていない場合は、こちらからインストールしてください。Node.js のバージョン 10.13 以降が必要です。
- このチュートリアルではあなたが普段使っているテキストエディタとターミナルを使っていきます。
Windows を使っている方は、Git for Windows をダウンロードし、同梱の Git Bash(このチュートリアルで使う UNIX 固有のコマンドをサポートしています)を使うことをおすすめします。
Next.js アプリを作る
Next.js アプリを作るためには、ターミナルを開き、アプリを作りたいディレクトリに cd
コマンドで移動し以下のコマンドを実行します。
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/learn-starter"
内部的には、こうすることで
create-next-app
が呼ばれ、Next.js アプリを立ち上げます。また、--example
フラッグを使うことでこちらのテンプレートを利用しています。
これでうまくいかない場合はこちらのページをご覧ください。
開発サーバを動かす
今、nextjs-blog
というディレクトリができたと思います。ではそのディレクトリの中に cd
で移動しましょう。
cd nextjs-blog
続いて、以下のコマンドを実行してください。
npm run dev
# yarn の場合
yarn dev
こうすることで、Next.jsアプリの「開発サーバー」(詳しくは後述)が 3000 番ポートで起動します。
正しく動いているかどうかチェックしてみましょう。http://localhost:3000 をブラウザから開いてください。
Question: ページにはなんというテキストが表示されていますか?
- A. Welcome to Next.js!
- B. Hello Next.js!
答えを見る
ANext.js にようこそ
http://localhost:3000 にアクセスすると以下のようなページが表示されます。これは開始用のテンプレートページで、Next.js に関する有用な情報が書かれています。
ヘルプが利用できます:もし詰まったら、GitHub のディスカッション から Next.js のコミュニティに連絡してください。
次はこのページを編集してみましょう!
ページを編集する
この開始用ページを編集してみましょう。
- Next.js の開発サーバがまだ起動していることを確かめてください。
-
pages/index.js
をテキストエディタで開いてください。 -
<h1>
タグ配下にある "Welcome to" というテキストを探して、それを "Learn" に変更してください。 - ファイルを保存しましょう。
ファイルを保存するとすぐに、ブラウザが自動的にリロードを行いページを新しいテキストで更新します。
Next.js の開発サーバは Hot Reloading という特徴を持っています。ファイルに変更を加えると、Next.js が自動的にブラウザ内で変更を適用します。ページをリフレッシュする必要はありません。この特徴により、アプリ開発の繰り回しを素早く行うことができます。
次のレッスンでは、さらに多くのページを作成し、ページ間の遷移を行います。
開発サーバは起動したままにしておくとよいでしょう。もしも後から再起動させたいという場合は、サーバを停止するために
Ctrl + c
を押してください。
レッスン2. ページ間の移動
ここまでで我々が作った Next.js アプリにはひとつのページしかありません。一般的な Web サイトや Web アプリは、複数の異なるページを持つことができます。
それでは、アプリにより多くのページを追加する方法を探ってみましょう。
このレッスンで学ぶこと
このレッスンでは、
- ファイルシステムルーティングという特徴を使って新しいページを作成します
-
Link
コンポーネントを使って、クライアントサイドのページ遷移を実現する方法を学びます - コード分割とプリフェッチングに関するビルトインのサポートについて学びます。
Next.js のルーティングに関する詳細なドキュメントを探している場合は、ルーティングドキュメンテーションをご覧ください。
セットアップ
スターターコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn がお好みなら `npm init` の代わりに `yarn create` としてください
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/navigate-between-pages-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn がお好みなら代わりに `yarn dev` としてください
npm run dev
Next.js におけるページ
Next.js では、ページとは pages
ディレクトリに存在するファイルからエクスポートされる React コンポーネントです。
ページは ファイル名 に基づいてルーティングに関連づけられます。例えば、開発時は:
-
pages/index.js
は/
にルーティングされます。 -
pages/posts/first-post.js
は/posts/first-post
としてルーティングされます。
すでに pages/index.js
ファイルはありますから、pages/posts/first-post.js
を作成して、うまく機能するか見てみましょう。
新しいページを作成する
pages
配下に posts
というディレクトリを作成してください。
posts
ディレクトリの中に、以下の内容で first-post.js
というファイルを作成してください。
export default function FirstPost() {
return <h1>First Post</h1>
}
コンポーネントはどんな名前でもいいですが、必ず default
エクスポートしなくてはなりません。
そうしたら、開発サーバが起動していることを確かめて http://localhost:3000/posts/first-post にアクセスしてください。以下のようなページが見えるはずです。
これが、Next.js において異なるページを作成する方法です。
pages
ディレクトリの配下にシンプルに JavaScript ファイルを作成すれば、そのファイルへのパスが URL のパスになります。
ある意味、HTML や PHP のファイルを使って Web サイトを構築するのと似ています。HTML を書く代わりに JSX を書き、 React コンポーネントを使います。
新しく追加したページにリンクを追加して、最初のページから遷移してみましょう。
Link コンポーネント
Web サイトのページ間でリンクを貼るときは一般的には <a>
という HTML タグが使われます。
Next.js では、<Link>
という、 <a>
タグをラップした React コンポーネントを使います。<Link>
によって、アプリ内の異なるページへクライアントサイドで遷移することができます。
<Link>
を使う
まず、pages/index.js
内で、以下の行を一番上に加えて、 next/link
から Link
コンポーネントをインポートします。
import Link from 'next/link'
そうしたら、h1
タグ内に存在する以下の行を・・・
Learn <a href="https://next.js.org">Next.js!</a>
次のように変更します:
Read <Link href="/posts/first-post"><a>this page!</a></Link>
次に、pages/posts/first-post.js
の内容を以下のように書き換えます。
import Link from 'next/link'
export default function FirstPost() {
return (
<>
<h1>First Post</h1>
<h2>
<Link href="/">
<a>Back to home</a>
</Link>
</h2>
</>
)
}
見てのとおり、Link
コンポーネントは <a>
タグを使うのと似ています。<a href="...">
の代わりに <Link href="...">
を使い、その中に <a>
タグを配置します。
これが機能するか見てみましょう。各ページにリンクが表示されており、ページを戻ったり進んだりできるはずです。
クライアントサイドのページ遷移(ナビゲーション)
Link
コンポーネントによって、同じ Next.js アプリ内にある 2 つのページ間のクライアントサイドでのナビゲーションが可能になります。
クライアントサイドのナビゲーションとは、ページ遷移が JavaScript を使って 行われることを意味し、ブラウザによって行われるデフォルトのページ遷移よりも高速です。
簡単な検証方法を紹介します。
- ブラウザの開発者ツールを使って、
<html>
のbackground
CSS プロパティをyellow
に変更します。 - リンクをクリックして、2 つのページ間を進んだり戻ったりしてください。
- 黄色の背景が、ページ遷移の間にも持続していることがわかります。
これは、ブラウザがページ全体をロードしているのではなく、クライアントサイドでのナビゲーション(ページ遷移)が機能していることを示しています。
もし <Link href="...">
でなく <a href="...">
を使って上記と同様のことを行ったら、リンクをクリックするとブラウザはページ全体をリフレッシュするので背景色はクリアされます。
コード分割とプリフェッチング
Next.js は自動的にコード分割を行うので、各ページはそのページに必要なものだけを読み込みます。つまり、トップのページがレンダリングされたときに、他のページのコードが最初からサーブされるわけではないということです。
このことにより、たとえ数百ものページを持つアプリであってもトップページは素早く読み込まれることが保証されます。
リクエストしたページのコードだけを読み込むということは、ページが分離されるということでもあります。あるページでエラーが発生したとしても、アプリの他の部分は動作し続けます。
さらに、(開発時のビルドでなく)本番環境でのビルドにおいては、Link
コンポーネントがブラウザのビューポートに表示されると、Next.js は自動的にリンク先のページのコードをバックグラウンドでプリフェッチします。リンクをクリックするときまでには、目的のページのコードはバックグラウンドで読み込まれ終わっており、ページ遷移はほぼ瞬時に行われるのです!
サマリー
Next.js は、コード分割、クライアントサイドのナビゲーション、(本番環境における)プリフェッチングによって、最良のパフォーマンスのためにアプリを自動的に最適化します。
pages
ディレクトリ配下のファイルがルーティングになり、ビルトインの Link
コンポーネントを利用することができます。ルーティング用のライブラリは必要ありません。
Link
コンポーネントについては API リファレンスドキュメンテーション から、ルーティングについては ルーティングのドキュメンテーション から、さらに学ぶことができます。
メモ:Next.js のアプリの外にある外部のページにリンクを貼る必要があるときは、
Link
無しで<a>
タグだけを使ってください。
className
といった属性を加える必要があるときは、Link
タグでなく、a
タグに加えてください。
レッスン3. アセット、メタデータ、CSS
我々が追加した 2 つめのページは現時点ではスタイリングされていません。では、ページをスタイリングするためにいくつか CSS を付け加えてみましょう。
Next.js には CSS と Sass のサポートが組み込まれています。このコースでは CSS を使用します。
このレッスンでは Next.js が画像のような静的なアセットや title
タグのようなページのメタデータといったものをどのように扱うかもお話しします。
このレッスンで学ぶこと
- 静的なファイル(画像など)を Next.js に追加する方法
- 各ページの
<head>
内に入るものをカスタマイズする方法 - CSS モジュールを使ってスタイルされた再利用可能な React コンポーネントを作成する方法
-
pages/_app.js
の中にグローバル CSS を追加する方法 - Next.js においてスタイリングを行ううえでのいくつかの便利な Tips
Next.js のスタイリングに関する詳細なドキュメンテーションをお探しの場合は CSSドキュメンテーション をご覧ください。
セットアップ
スターターコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn の場合は `npm init` の代わりに `yarn create` としてください
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/assets-metadata-css-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn の場合は `yarn dev`
npm run dev
アセット
まず、Next.js が画像といったような静的なアセットをどのように扱うかお話しましょう。
Next.js は画像などの静的なファイルを、トップレベルの public
ディレクトリ 配下でサーブすることができます。pages
ディレクトリと同様に、public
内のファイルはアプリケーションのルート(root)から参照することができます。
アプリの pages/index.js
を開いて <footer>
を見てみると、次のように画像を参照している部分があります。
Powered by <img src="/vercel.svg" alt="Vercel Logo" />
vercel.svg
は アプリケーションのトップレベルの public
ディレクトリの中にあります。
public
ディレクトリには robots.txt
や Google Site Verification、その他あらゆる静的なアセットを有効に配置することができます。もっと学ぶには静的ファイルサービングに関するドキュメンテーション をチェックしてください。
メタデータ
<title>
という HTML タグのようなページのメタデータを変更したくなったらどうしましょうか?
<title>
は <head>
という HTML タグの一部ですから、Next.js で作ったページにおいて、 <head>
タグに変更を加える方法を見ていきましょう。
pages/index.js
をエディタで開いて、以下の行を見てください。
<Head>
<title>Create Next App</title>
<link rel="icon" href="/favicon.ico" />
</Head>
小文字の <head>
ではなく <Head>
が使われていることに注目してください。<Head>
は Next.js に組み込まれている React コンポーネントです。<Head>
を使えばページの <head>
を修正することができます。
Head
コンポーネントは next/head
モジュールからインポートできます。
<Head>
を first-post.js
に追加する
我々はまだ /posts/first-post
に <title>
を追加していませんので、いま追加してみましょう。
pages/posts/first-post.js
ファイルを開いてください。
まず、Head
を next/head
からインポートしてください:
import Head from 'next/head'
続いて、Head
を FirstPost
コンポーネントに追加してください。現時点では、title
タグだけを追加します。
export default function FirstPost() {
return (
<>
<Head>
<title>First Post</title>
</Head>
…
</>
)
}
http://localhost:3000/posts/first-post にアクセスしてみてください。ブラウザのタブには「First Post」と表示されているはずです。ブラウザの開発者ツールを使えば、title
タグが <head>
に追加されていることがわかります。
next/head
についてさらに学ぶには、API リファレンスのドキュメンテーション をチェックしてください。
たとえばlang
属性を加えるといったように<html>
をカスタマイズしたい場合は、カスタムのDocument
コンポーネントを作成することで実現できます。詳しくはカスタムドキュメントに関するドキュメンテーションを参照してください。
CSS スタイリング
では CSS スタイリングについてお話しましょう。
見ての通り、インデックスページ( http://localhost:3000 )にはすでにいくらかスタイリングが施されています。pages/index.js
を見てみると、このようなコードが目に入ると思います:
<style jsx>{`
...
`}</style>
これは styled-jsx というライブラリを使用しています。これは「CSS-in-JS」のライブラリ、すなわち、React コンポーネント内で CSS を書くことができ、CSS スタイルがスコープ付けられます(他のコンポーネントは影響を受けません)。
Next.js は styled-jsx のサポートが組み込まれていますが、styled-components や emotion といった他の人気の高い CSS-in-JS ライブラリを使うこともできます。
CSS の記述とインポート
Next.js には CSS と Sass のサポートが組み込まれており、.css や .scss ファイルをインポートすることができます。
Tailwind CSS のような人気のある CSS ライブラリを使うこともサポートされています。
このレッスンでは、Next.js で CSS を書き、インポートする方法について説明します。また、Next.js に組み込まれている CSS モジュールと Sass のサポートについてもお話します。では詳しく見ていきましょう!
レイアウトコンポーネント
まずは、すべてのページで共通して使う Layout コンポーネントを作成しましょう。
-
components
という名前のディレクトリをトップレベルに作成してください - その中に、以下の内容で
layout.js
というファイルを作成してください。
function Layout({ children }) {
return <div>{children}</div>
}
export default Layout
続いて、pages/posts/first-post.js
の中で Layout
をインポートして、一番外側のコンポーネントにしてください。
import Head from 'next/head'
import Link from 'next/link'
import Layout from '../../components/layout'
export default function FirstPost() {
return (
<Layout>
<Head>
<title>First Post</title>
</Head>
<h1>First Post</h1>
<h2>
<Link href="/">
<a>Back to home</a>
</Link>
</h2>
</Layout>
)
}
CSS を追加する
では、Layout
にスタイルを追加していきましょう。そのために、CSS モジュール (CSS ファイルを React コンポーネントの中でインポートすることができるようになります)を使います。
layout.module.css
というファイルを components
ディレクトリ内に、以下の内容で作成してください。
.container {
max-width: 36rem;
padding: 0 1rem;
margin: 3rem auto 6rem;
}
重要:この CSS モジュールを使用するためには、CSS ファイル名は
.module.css
で終わる必要があります。
これを Layout
内で使用するために、以下のことが必要になります。
-
styles
としてこのファイルをインポートする -
styles.<class-name>
をclassName
として使う - 今回のケースでは、クラス名は
container
なので、styles.container
を使う
import styles from './layout.module.css'
export default function Layout({ children }) {
return <div className={styles.container}>{children}</div>
}
いま http://localhost:3000/posts/first-post にアクセスしてみれば、センタリングされたコンテナーの中にテキストが配置されているのがわかるはずです。
一意のクラス名を自動的に生成する
いま、ブラウザの開発者ツールの HTML を見てみると、div
タグには layout_container__...
というようなクラス名が付けられていることに気づくと思います。
これは CSS モジュールによるものです。CSS モジュールは自動的に一意のクラス名を生成します。CSS モジュールを使っているかぎりは、クラス名の衝突を気にする必要はないのです。
さらには、Next.js のコード分割という特徴は CSS モジュールに対しても機能します。これにより、各ページで読み込まれる CSS の量が最小限に抑えられます。その結果、バンドルのサイズが小さくなります。
CSS モジュールはビルド時に JavaScript のバンドルから抽出され、Next.js によって自動的に読み込まれる .css
ファイルを生成します。
グローバルなスタイリング
CSS モジュールはコンポーネントレベルでのスタイリングには便利です。しかし、いくつかの CSS を すべての ページで読み込みたい場合、Next.js はそれにもサポートを用意してあります。
グローバルな CSS ファイルを読み込むには、pages
ディレクトリ配下に _app.js
というファイルを作成 し、以下の内容を記述してください。
export default function App({ Component, pageProps }) {
return <Component {...pageProps} />
}
この App
コンポーネントは、すべてのページに共通するトップレベルのコンポーネントです。たとえば、ページ間を移動するときに状態(state)を保持するために App
コンポーネントを使用することができます。
開発サーバを再起動する
重要: _app.js
を追加したときは開発サーバを再起動する必要があります。Ctrl + c
を押してサーバを停止し、再度起動してください。
npm run dev
# yarn の場合
# yarn dev
グローバル CSS を追加する
Next.js では、グローバル CSS ファイルを _app.js
内でインポートすることでグローバル CSS を利用することができます。それ以外の場所ではグローバル CSS をインポート できません。
グローバル CSS を _app.js
の外ではインポートできない理由は、グローバル CSS はページのすべての要素に影響を与えてしまうからです。
(_app.js
以外でもグローバル CSS をインポートできてしまったら、)トップページから /posts/first-post
ページに移動した場合、トップページでインポートしたグローバルスタイルは意図せず /posts/first-post
にも影響を与えてしまいます。(ので、_app.js
以外ではグローバル CSS をインポートできないようになっている)
グローバル CSS ファイルはどこにでも配置することができ、どんな名前にすることもできます。では以下のようにやってみましょう。
-
styles
ディレクトリをトップレベルに作成し、その中にglobal.css
を作成してください - 以下の内容を記述してください。これにより、いくつかのスタイルがリセットされ、
a
タグの色が変わります。
html,
body {
padding: 0;
margin: 0;
font-family: -apple-system, BlinkMacSystemFont, Segoe UI, Roboto, Oxygen, Ubuntu,
Cantarell, Fira Sans, Droid Sans, Helvetica Neue, sans-serif;
line-height: 1.6;
font-size: 18px;
}
* {
box-sizing: border-box;
}
a {
color: #0070f3;
text-decoration: none;
}
a:hover {
text-decoration: underline;
}
img {
max-width: 100%;
display: block;
}
最後に、_app.js
内でそれをインポートします。
import '../styles/global.css'
export default function App({ Component, pageProps }) {
return <Component {...pageProps} />
}
今、http://localhost:3000/posts/first-post にアクセスすると、スタイルが適用されているのがわかります。
うまくいかない場合:
_app.js
を追加したときに開発サーバを再起動しているかどうか確かめてください。
ここまでで我々が学んだことを要約します。
- CSS モジュールを使うためには、
*.module.css
という名前の CSS ファイルをどんなコンポーネント内からでもインポートすればよい - グローバル CSS を使うには、
pages/_app.js
内で CSS ファイルをインポートする
Layout を磨き上げる
ここまでは、CSS モジュールといったコンセプトを説明するために、最小限の React および CSS のコードを追加したのみでした。次のレッスン(データフェッチング)に移る前に、ページのスタイリングとコードを磨き上げましょう。
プロフィール画像をダウンロードする
まず第一に、あなたのプロフィール画像を最終的なデザインに使用します。
- あなたのプロフィール画像を GitHub や Twitter、LinkedIn その他からダウンロードしてください(もしくはこちらを使用してください)。
-
images
ディレクトリをpublic
ディレクトリの中に作成してください。 -
public/images
ディレクトリの中にprofile.jpg
として画像を保存してください。 - 画像サイズはだいたい 400px × 400px 程度になります。
-
public/vercel.svg
は削除して構いません。
components/layout.module.css
を更新する
第二に、以下のコードを components/layout.module.css
に使います。単純にコピー&ペーストしてください。これによりいくぶん洗練されたスタイルになります。
.container {
max-width: 36rem;
padding: 0 1rem;
margin: 3rem auto 6rem;
}
.header {
display: flex;
flex-direction: column;
align-items: center;
}
.headerImage {
width: 6rem;
height: 6rem;
}
.headerHomeImage {
width: 8rem;
height: 8rem;
}
.backToHome {
margin: 3rem 0 0;
}
styles/utils.module.css
を作成する
第三に、複数のコンポーネントにまたがって便利に使える、タイポグラフィなどのためのユーティリティとなる CSS クラスのセットを作成しましょう。
styles/utils.module.css
に CSS モジュールとして追加します。
.heading2Xl {
font-size: 2.5rem;
line-height: 1.2;
font-weight: 800;
letter-spacing: -0.05rem;
margin: 1rem 0;
}
.headingXl {
font-size: 2rem;
line-height: 1.3;
font-weight: 800;
letter-spacing: -0.05rem;
margin: 1rem 0;
}
.headingLg {
font-size: 1.5rem;
line-height: 1.4;
margin: 1rem 0;
}
.headingMd {
font-size: 1.2rem;
line-height: 1.5;
}
.borderCircle {
border-radius: 9999px;
}
.colorInherit {
color: inherit;
}
.padding1px {
padding-top: 1px;
}
.list {
list-style: none;
padding: 0;
margin: 0;
}
.listItem {
margin: 0 0 1.25rem;
}
.lightText {
color: #999;
}
components/layout.js
を更新する
4 つめのステップとして、以下のコードを components/layout.js
にコピーして、上部にある Your Name
をあなたの名前に 書き換えてください。ここでは新しく次のようなものが出てきます。
-
meta
タグ(例:og:image
) - タイトルと画像のサイズを調整するための
home
という真偽値の prop -
home
がfalse
であった場合に表示するページ下部の「Back to home」というリンク
import Head from 'next/head'
import styles from './layout.module.css'
import utilStyles from '../styles/utils.module.css'
import Link from 'next/link'
const name = 'Your Name'
export const siteTitle = 'Next.js Sample Website'
export default function Layout({ children, home }) {
return (
<div className={styles.container}>
<Head>
<link rel="icon" href="/favicon.ico" />
<meta
name="description"
content="Learn how to build a personal website using Next.js"
/>
<meta
property="og:image"
content={`https://og-image.now.sh/${encodeURI(
siteTitle
)}.png?theme=light&md=0&fontSize=75px&images=https%3A%2F%2Fassets.zeit.co%2Fimage%2Fupload%2Ffront%2Fassets%2Fdesign%2Fnextjs-black-logo.svg`}
/>
<meta name="og:title" content={siteTitle} />
<meta name="twitter:card" content="summary_large_image" />
</Head>
<header className={styles.header}>
{home ? (
<>
<img
src="/images/profile.jpg"
className={`${styles.headerHomeImage} ${utilStyles.borderCircle}`}
alt={name}
/>
<h1 className={utilStyles.heading2Xl}>{name}</h1>
</>
) : (
<>
<Link href="/">
<a>
<img
src="/images/profile.jpg"
className={`${styles.headerImage} ${utilStyles.borderCircle}`}
alt={name}
/>
</a>
</Link>
<h2 className={utilStyles.headingLg}>
<Link href="/">
<a className={utilStyles.colorInherit}>{name}</a>
</Link>
</h2>
</>
)}
</header>
<main>{children}</main>
{!home && (
<div className={styles.backToHome}>
<Link href="/">
<a>← Back to home</a>
</Link>
</div>
)}
</div>
)
}
pages/index.js
を更新する
最後に、トップページを更新します。
pages/index.js
を以下のとおりに書き換えてください。
import Head from 'next/head'
import Layout, { siteTitle } from '../components/layout'
import utilStyles from '../styles/utils.module.css'
export default function Home() {
return (
<Layout home>
<Head>
<title>{siteTitle}</title>
</Head>
<section className={utilStyles.headingMd}>
<p>[Your Self Introduction]</p>
<p>
(This is a sample website - you’ll be building a site like this on{' '}
<a href="https://nextjs.org/learn">our Next.js tutorial</a>.)
</p>
</section>
</Layout>
)
}
そうしたら [Your Self Introduction]
をあなたの自己紹介文で置き換えてください。これは筆者の例です。
出来上がりです!これでレイアウトのコードを磨き上げることができたので、データ取得のレッスンに移ります。
このレッスンをまとめあげる前に、Next.js の CSS サポートに関連する便利なテクニックについてお話します。
スタイリングに関する Tips
きっと便利に使えるスタイリングの Tips がいくつかあります。
以下、本セッションは読み通すだけで結構です。アプリに変更を加える必要はありません。
クラスを切り替えるために classnames
ライブラリを使う
classnames
は、クラス名を簡単に切り替えるための便利なライブラリです。npm install classnames
か yarn add classnames
とすることでインストールできます。
詳細は README を読んでいただくとして、基本的な使い方は以下のとおりです:
-
type
('success'
か'error'
という値をとりうる)を受け取るAlert
コンポーネントを作成したいという状況だと想定してください。 -
type
が'success'
であれば、文字の色を緑にします。type
が'error'
であれば、文字の色は赤にします。
まずは CSS モジュール(例:alert.module.css
)を以下のように書くことができます:
.success {
color: green;
}
.error {
color: red;
}
そして classnames
を次のように使いましょう。
import styles from './alert.module.css'
import cn from 'classnames'
export default function Alert({ children, type }) {
return (
<div
className={cn({
[styles.success]: type === 'success',
[styles.error]: type === 'error'
})}
>
{children}
</div>
)
}
PostCSS 設定をカスタマイズする
初期設定のまま、なんの設定も不要で、Next.js は CSS を PostCSS を使ってコンパイルします。
postcss.config.js
というファイルをトップレベルに作成して PostCSS の設定をカスタマイズできます。これはTailwind CSS のようなライブラリを使っている場合に便利です。
以下は Tailwind CSS を purgecss
(使われてない CSS を削除するものです)と合わせて使うときの例です。
-
tailwindcss
、@fullhuman/postcss-purgecss
、およびpostcss-preset-env
をインストールする必要があります -
autoprefixer
はデフォルトで Next.js に含まれているため不要です
module.exports = {
plugins: [
'tailwindcss',
...(process.env.NODE_ENV === 'production'
? [
[
'@fullhuman/postcss-purgecss',
{
content: [
'./pages/**/*.{js,jsx,ts,tsx}',
'./components/**/*.{js,jsx,ts,tsx}'
],
defaultExtractor: content =>
content.match(/[\w-/:]+(?<!:)/g) || []
}
]
]
: []),
'postcss-preset-env'
]
}
PostCSS の設定についてもっと知るためには、我々のドキュメンテーション をチェックしてください。
Sass を使う
初期設定のまま、Next.js では .scss
および .sass
両方の拡張子を使って Sass をインポートすることができます。CSS モジュールと .module.scss
または .module.sass
拡張子を介して、コンポーネントレベルの Sass を使用することができます。
Next.js に組み込まれている Sass のサポートを利用する前に、sass をインストールしてください。
npm install sass
このレッスンはこれで以上です!
Next.js に組み込まれている CSS サポートや CSS モジュールについてもっと知りたい方は、我々のドキュメンテーション をチェックしてください。
レッスン4. プリレンダリングとデータフェッチング
我々はブログを作りたい(作りたいものはこれです)のですが、ここまででブログの中身は何も追加していません。このレッスンでは、外部にあるブログデータを自分のアプリに取り込む方法を学びます。
このレッスンではブログのコンテンツをファイルシステムに保存していきますが、コンテンツが他の場所(データベースやヘッドレス CMS など)に存在する場合も問題なく動作します。
このレッスンで学ぶこと
- Next.js のプリレンダリングに関する特徴
- プリレンダリングの 2 つの形式:静的生成(Static Generation)とサーバサイドレンダリング
- データがある場合とない場合の静的生成
-
getStaticProps
と、外部のブログデータをインデックスページにインポートするためのそれ(getStaticProps
)の使い方 -
getStaticProps
に関する便利情報
セットアップ
スターターコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn をお好みなら `npm init` の代わりに `yarn create` としてください
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/data-fetching-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn をお好みなら `yarn dev` としてください
npm run dev
スターターコードをダウンロードしたら、以下を更新してください:
-
public/images/profile.jpg
をあなたの写真にしてください(推奨:400px × 400px) -
components/layout.js
内のconst name = '[Your Name]'
をあなたの名前にしてください。 -
pages/index.js
内の<p>[Your Self Introduction]</p>
をあなたの自己紹介文にしてください。
プリレンダリング
データフェッチングについて説明する前に、Next.js の最も重要な概念のひとつである プリレンダリング について説明します。
デフォルトで、Next.js はすべてのページをプリレンダリングします。つまり、Next.js は、クライアント側の JavaScript ですべてのレンダリングを行うのではなく、あらかじめ各ページの HTML を生成しておくということです。プリレンダリングの結果、パフォーマンスと SEO が向上します。
生成された各 HTML はそのページに必要な最小限の JavaScript コードと関連づけられます。ブラウザによってページが読み込まれると、そのページの JavaScript コードが実行され、ページが完全にインタラクティブなものになります(このプロセスは ハイドレーション と呼ばれます)。
プリレンダリングが行われていることを確認する
以下のステップによって、プリレンダリングが行われていることを確認できます。
- ブラウザの JavaScript を無効にしてください(Chromeを使っている場合はこちらから)
- このページにアクセスしてみてください (このチュートリアルで作るサイトです)
アプリが JavaScript 無しでレンダリングされていることがわかるはずです。これは Next.js が静的な HTML としてアプリをプリレンダリングしているからで、これによって JavaScript を実行せずともアプリの UI を見ることができるのです。
メモ:上記のステップは
localhost
でも試すことができますが、JavaScript を無効化していると CSS は読み込まれません。
プレーンな React で(つまり Next.js は使わずに)アプリを作った場合、プリレンダリングは行われません。したがって、JavaScript を無効にするとアプリは表示されなくなってしまいます。たとえば:
- ブラウザで JavaScript を有効にした状態でこのページを確認してください。これは Create React App で作成したプレーンな React アプリです。
- いま、JavaScript を無効にして同じページに再度アクセスしてください。
- アプリは表示されなくなっているはずです。代わりに、「You need to enable JavaScript to run this app.」と表示されています。これはアプリが静的な HTML にプリレンダリングされていないためです。
サマリー:プリレンダリングあり vs プリレンダリングなし
簡単にまとめてみると以下のようになります。
次は、Next.js におけるプリレンダリングの 2 つの形式についてお話します。
プリレンダリングにおける 2 つの形式
Next.js のプリレンダリングには 2 つの形式があります:静的生成(Static Generation) と サーバサイドレンダリング(SSR) です。それらの違いは、いつ HTML を生成するかというところにあります。
- 静的生成 は ビルド時 に HTML を生成するプリレンダリング手法です。プリレンダリングされた HTML は各リクエストに対して 再利用 されます。
- サーバサイドレンダリング は 毎回のリクエストごとに HTML を生成するプリレンダリング手法です。
開発モード(
npm run dev
あるいはyarn dev
を実行したとき)では、静的生成を使用しているページであっても、すべてのページが毎回のリクエストごとにプリレンダリングされます。
ページ単位
重要なことは、Next.js ではページごとにどちらのプリレンダリング形式を使用するか 選択 できるということです。ほとんどのページにおいて静的生成(Static Generation)を使用しつつ、残る一部のページはサーバサイドレンダリングを使用するというような「ハイブリッド」な Next.js アプリを作ることができるのです。
いつ静的生成(Static Generation)を使い、いつサーバサイドレンダリングを使用すべきか
可能ならばいつでも静的生成(データの有無を問わず)を使用することを推奨します。そうすることで、ページは一度ビルドされたら CDN によって提供されるので、毎回のリクエストに対してサーバサイドレンダリングを行うよりもはるかに高速になるからです。
静的生成はいろんなタイプのページで使用できます。一例を示すと:
- マーケティングページ
- ブログ記事
- E コマースの商品リスト
- ヘルプやドキュメンテーション
自分自身に尋ねてみましょう、「このページをユーザーのリクエストに 先立って プリレンダリングすることはできるだろうか?」。答えが yes であれば、静的生成を選択すべきです。
一方、ユーザーのリクエストに先立ってページをプリレンダリングすることができないのであれば、静的生成は良い考えでは ありません。頻繁に更新されるデータを表示するページや、毎回のリクエストごとに内容が変わるページなどです。
そういったケースでは、サーバサイドレンダリング を使用することができます。静的生成に比べて遅くなってはしまいますが、プリレンダリングされたページはつねに最新状態が保たれます。あるいはプリレンダリングは行わずに、クライアント側の JavaScript を使用してデータを埋め込むこともできます。
静的生成にフォーカスを当てる
このレッスンでは、静的生成にフォーカスを当てます。次は、データが ある場合と無い場合 の静的生成についてお話します。
データがある場合とない場合の静的生成
静的生成は データ がある場合も無い場合も行うことができます。
ここまでで我々が作ってきたページでは外部データの取得(フェッチ)は必要ありませんでした。こういったページは、本番用にアプリがビルドされるときに自動的に静的生成されます。
しかし、ページによっては、最初に外部データを取得しないと HTML をレンダリングできない場合があります。ファイルシステムにアクセスしたり、外部 API を取得したり、ビルド時にデータベースに問い合わせたりする必要があるかもしれません。Next.js ではこうしたケース、すなわち データ有り の静的生成も、追加設定なしで対応できます。
getStaticProps
を使った、データ有りの静的生成
データ有りの静的生成はどのように動作するのでしょうか?Next.js では、ページコンポーネントを export するとき、getStaticProps
という async
関数も export することができます。そうした場合、
-
getStaticProps
は本番環境用のビルド時に実行されます - 関数内部では、外部データを取得(フェッチ)して、取得したデータを props としてページに渡すことができます。
export default function Home(props) { ... }
export async function getStaticProps() {
// ファイルシステムや API、DB などから外部データを取得する
const data = ...
// `props` キーに対応する値が `Home` コンポーネントに渡される
return {
props: ...
}
}
本質的には、getStaticProps
を使うことで Next.js にこう伝えることができるということです。「このページにはいくつか外部に依存しているデータがあるよ。だからビルド時にこのページをプリレンダリングするときは、まずその依存関係をしっかり解決してよ!」
メモ:開発環境では、
getStaticProps
は毎回のリクエストごとに実行されます。
getStaticProps
を使いましょう
習うより慣れろです。次からは getStaticProps
を使ってブログに実装を加えていきましょう!
ブログのデータ
では、ファイルシステムを使って、アプリにブログのデータを追加しましょう。各ブログの投稿はマークダウンファイルにします。
- 新たに
posts
という名前のディレクトリをトップレベルに作成してください(pages/posts
とは異なります)。 - そのディレクトリの中に
pre-rendering.md
とssg-ssr.md
という 2 つのファイルを作成してください。
以下を pre-rendering.md
にコピーしてください。
---
title: 'Two Forms of Pre-rendering'
date: '2020-01-01'
---
Next.js has two forms of pre-rendering: **Static Generation** and **Server-side Rendering**. The difference is in **when** it generates the HTML for a page.
- **Static Generation** is the pre-rendering method that generates the HTML at **build time**. The pre-rendered HTML is then _reused_ on each request.
- **Server-side Rendering** is the pre-rendering method that generates the HTML on **each request**.
Importantly, Next.js lets you **choose** which pre-rendering form to use for each page. You can create a "hybrid" Next.js app by using Static Generation for most pages and using Server-side Rendering for others.
以下を ssg-ssr.md
にコピーしてください。
---
title: 'When to Use Static Generation v.s. Server-side Rendering'
date: '2020-01-02'
---
We recommend using **Static Generation** (with and without data) whenever possible because your page can be built once and served by CDN, which makes it much faster than having a server render the page on every request.
You can use Static Generation for many types of pages, including:
- Marketing pages
- Blog posts
- E-commerce product listings
- Help and documentation
You should ask yourself: "Can I pre-render this page **ahead** of a user's request?" If the answer is yes, then you should choose Static Generation.
On the other hand, Static Generation is **not** a good idea if you cannot pre-render a page ahead of a user's request. Maybe your page shows frequently updated data, and the page content changes on every request.
In that case, you can use **Server-Side Rendering**. It will be slower, but the pre-rendered page will always be up-to-date. Or you can skip pre-rendering and use client-side JavaScript to populate data.
title
とdate
を含むメタデータ部分が各マークダウンの一番上にあることに気づいたかもしれません。これは YAML Front Matter と呼ばれているもので、 gray-matter というライブラリを使って解析できます。
getStaticProps
でブログデータを解析する
では、このデータを使ってインデックスページ(pages/index.js
)を更新しましょう。やろうとしていることは
- 各マークダウンファイルを解析して
title
、date
およびファイル名(その投稿の URL に対応するid
としてファイル名を使います)を取得します - インデックスページのデータをリスト化し、日付によってソートします。
getStaticProps を実装する
最初に、各マークダウンファイルのメタデータを解析するために gray-matter をインストールします。
npm install gray-matter
次に、ファイルシステムからデータを取得するための簡単なライブラリを作ります。
-
lib
というディレクトリをトップレベルに作成してください - そのディレクトリの中に
posts.js
というファイルを以下の内容で作成してください。
import fs from 'fs'
import path from 'path'
import matter from 'gray-matter'
const postsDirectory = path.join(process.cwd(), 'posts')
export function getSortedPostsData() {
// /posts 配下のファイル名を取得する
const fileNames = fs.readdirSync(postsDirectory)
const allPostsData = fileNames.map(fileName => {
// id を取得するためにファイル名から ".md" を削除する
const id = fileName.replace(/\.md$/, '')
// マークダウンファイルを文字列として読み取る
const fullPath = path.join(postsDirectory, fileName)
const fileContents = fs.readFileSync(fullPath, 'utf8')
// 投稿のメタデータ部分を解析するために gray-matter を使う
const matterResult = matter(fileContents)
// データを id と合わせる
return {
id,
...matterResult.data
}
})
// 投稿を日付でソートする
return allPostsData.sort((a, b) => {
if (a.date < b.date) {
return 1
} else {
return -1
}
})
}
そうしたら、 pages/index.js
内で、この関数をインポートしてください。
import { getSortedPostsData } from '../lib/posts'
続いてこの関数を getStaticProps
内で呼びます。関数を呼び出した結果は props キーの内部で返す必要があります。
export async function getStaticProps() {
const allPostsData = getSortedPostsData()
return {
props: {
allPostsData
}
}
}
このように設定すれば、allPostsData
prop は Home
コンポーネントに渡されます。この渡された prop を見るために、コンポーネントの定義を { allPostsData }
を受け取るように修正しましょう。
export default function Home ({ allPostsData }) { ... }
データを表示するために、別の <section>
タグをコンポーネントの下部に追加します。
export default function Home({ allPostsData }) {
return (
<Layout home>
<Head>…</Head>
<section className={utilStyles.headingMd}>…</section>
<section className={`${utilStyles.headingMd} ${utilStyles.padding1px}`}>
<h2 className={utilStyles.headingLg}>Blog</h2>
<ul className={utilStyles.list}>
{allPostsData.map(({ id, date, title }) => (
<li className={utilStyles.listItem} key={id}>
{title}
<br />
{id}
<br />
{date}
</li>
))}
</ul>
</section>
</Layout>
)
}
いま、http://localhost:3000 にアクセスすればブログのデータが見えるはずです。
おめでとうございます!外部のデータを(ファイルシステムから)取得して、そのデータを使ってインデックスページをプリレンダリングすることが無事成功しました!
getStaticProps
を使うにあたっての Tips をいくつか紹介します。
getStaticProps の詳細
getStaticProps
に関するより詳しい情報は ドキュメンテーション から確認できますが、ここでは getStaticProps
について知っておくべきいくつかの本質的な情報を紹介します。
外部 API を取得する あるいは データベースに問い合わせる
我々が作ったアプリの lib/posts.js
では、getSortedPostsData
を実装してファイルシステムからデータを取得しました。しかし、外部の API エンドポイントといった他のデータソースからもデータを取得することができますし、そのようにしても問題なく動作します。
import fetch from 'node-fetch'
export async function getSortedPostsData() {
// ファイルシステムのかわりに、
// 外部の API エンドポイントから投稿データを取得する
const res = await fetch('..')
return res.json()
}
直接データベースにクエリを発行することもできます。
import someDatabaseSDK from 'someDatabaseSDK'
const databaseClient = someDatabaseSDK.createClient(...)
export async function getSortedPostsData() {
// ファイルシステムのかわりに
// データベースから投稿データを取得する
return databaseClient.query('SELECT posts...')
}
これは、getStaticProps
は サーバサイドでのみ 実行されるから可能なことです。getStaticProps
がクライアントサイドで実行されることは決してありません。ブラウザ用の JS バンドルに含まれることもありません。つまり、直接データベースにクエリを投げるようなコードを書くことができて、ブラウザにそのコードが送られることは無いということです。
開発環境 vs 本番環境
- 開発環境(
npm run dev
あるいはyarn dev
)では、getStaticProps
は毎回のリクエストごとに実行されます。 - 本番環境では、
getStaticProps
はビルド時にのみ実行されます。
ビルド時にのみ実行されるよう想定されているため、クエリパラメータや HTTP ヘッダなど、リクエスト時にしか利用できないデータを使用することはできません。
ページでのみ利用できる
getStaticProps
は ページ からのみ export できます。ページではないファイルから export することはできません。
この制約の理由のひとつは、React では、ページがレンダリングされる前に、必要なデータがすべて揃っている必要があるからです。
リクエスト時にデータを取得する必要がある場合はどうする?
ユーザーのリクエストに先立ってページをプリレンダリングすることができない場合には静的生成はいいアイデアでは ありません。頻繁に更新されるデータを表示したり、ページの内容が毎回のリクエストで変化するようなページの場合です。
こういったケースでは、サーバサイドレンダリング を試すか、プリレンダリングをスキップしてしまうこともできます。次のレッスンに進む前に、こういった戦略について説明します。
リクエスト時にデータを取得する
ビルド時ではなく リクエスト時 にデータを取得する必要がある場合、サーバサイドレンダリング を試してみることができます。
サーバサイドレンダリングを使うには、getStaticProps
ではなくgetServerSideProps
をページから export する必要があります。
getServerSideProps
を使う
こちらが getServerSideProps
のスターターコードです。我々のブログアプリの例では必要ありませんので実装は行いません。
export async function getServerSideProps(context) {
return {
props: {
// コンポーネントに渡すための props
}
}
}
getServerSideProps
はリクエスト時に呼ばれるので、そのパラメータ(context
)にはリクエストの特定のパラメータが含まれます。これは ドキュメンテーション でもっと知ることができます。
getServerSideProps
は、リクエスト時にデータを取得しなければならないページをプリレンダリングする必要がある場合にのみ使うべきです。毎回のリクエストに対してサーバはレンダリング処理を行わなくてはならず、また、その処理の結果は追加の設定をしないかぎり CDN にキャッシュしておくこともできないので、Time To First Byte(TTFB、最初の 1 バイトが到着するまでの時間)は getStaticProps
よりも遅くなってしまいます。
クライアントサイドレンダリング
データをプリレンダリングする必要が ない 場合には、以下の戦略(クライアントサイドレンダリング と呼ばれる)を使うこともできます。
- 外部データを必要としないページの部分を静的生成(プリレンダリング)する
- ページが読み込まれたら、クライアント側で JavaScript を使って外部データを取得し、残る部分にデータを埋め込む
このアプローチは、たとえば、ユーザーのダッシュボードページを作るときなどにうまくいきます。ダッシュボードはプライベートなもので、ユーザーに固有のページであり、SEO は関係なく、ページがプリレンダリングされる必要もないからです。データは頻繁に更新され、リクエスト時のデータ取得を必要とします。
SWR
Next.js を開発しているチームは、SWR というデータフェッチ用の React フックを作成しました。クライアント側でデータを取得する場合にはこちらを強くおすすめします。キャッシング、再検証(revalidation)、フォーカストラッキング、インターバルを開けた再フェッチなどに対応しています。ここでは詳細までは触れませんが、使用例を紹介します。
import useSWR from 'swr'
function Profile() {
const { data, error } = useSWR('/api/user', fetch)
if (error) return <div>failed to load</div>
if (!data) return <div>loading...</div>
return <div>hello {data.name}!</div>
}
完了です!
次のレッスンでは、各ブログの投稿に対して 動的ルーティング を使用してページを作成します。
繰り返しになりますが、
getStaticProps
とgetServerSideProps
についてより深く知りたい場合は ドキュメンテーション をご確認ください。
レッスン5. 動的ルーティング
ブログのデータをインデックスページに埋め込みましたが、個々のブログ記事のページはまだ作成していません(作りたいものはこちらです)。こうした個々の記事のページの URL はブログのデータに依存するものにしたいところです。つまり、動的ルーティングを使用する必要があるということです。
このレッスンで学ぶこと
-
getStaticPaths
を使って動的ルーティングによりページを静的に生成する方法 - ブログの各投稿のデータを取得するための
getStaticProps
の書き方 -
remark
を用いたマークダウンのレンダー方法 - 日付を表す文字列をきれいに出力する方法
- 動的ルーティングを用いてページにリンクを貼る方法
- 動的ルーティングに関するいくつかの便利な情報
セットアップ
スターターコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn がお好みなら `yarn create` を `npm init` の代わりに使用できます
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/dynamic-routes-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn がお好みなら `yarn dev` を使用できます
npm run dev
スターターコードをダウンロードしたら、以下を更新してください:
-
public/images/profile.jpg
をあなたの写真にしてください(推奨:400px × 400px) -
components/layout.js
内のconst name = '[Your Name]'
をあなたの名前にしてください。 -
pages/index.js
内の<p>[Your Self Introduction]</p>
をあなたの自己紹介文にしてください。
外部データに依存するページのパス
前のレッスンでは、ページの内容 が外部データに依存するケースを扱いました。getStaticProps
を使って、インデックスページをレンダーするのに必要なデータを取得したのでした。
今回のレッスンでは、各 ページのパス が外部データに依存するケースについて説明します。Next.js を使うことで、外部データに依存するパスを持ったページを静的に生成することができます。このことによって、Next.js では 動的な URL を使うことが可能になるのです。
動的ルーティングを使って静的にページを生成する方法
我々のケースでは、ブログの各投稿に対して動的にページを生成したいです。
- 各投稿を
/posts/<id>
というパスにしたいですし、ここで<id>
は、トップレベルに作成したposts
ディレクトリにあるマークダウンファイルの名前を使いたいです。 - 我々は
ssg-ssr.md
とpre-rendering.md
が手元にあるので、それらは/posts/ssg-ssr
と/posts/pre-rendering
というパスにしたいです。
ステップの概要
以上のことは、以下のステップを踏むことで可能です。まだこれらの変更を加える必要はありません、次のページ(節)から行っていきます。
まず、pages/posts
の下に [id].js
というページを作成します。[
で始まり ]
で終わるページは、Next.js では動的なページになります。
pages/posts/[id].js
では、ブログの投稿記事をレンダーするコードを書きます。我々が作った他のページと同様です。
import Layout from '../../components/layout'
export default function Post() {
return <Layout>...</Layout>
}
ここで、新たに次のことを行います。それは、このページから getStaticPaths
という async 関数を export するということです。この関数の中では、id
として とりうる値 のリストを返さなければなりません。
import Layout from '../../components/layout'
export default function Post() {
return <Layout>...</Layout>
}
export async function getStaticPaths() {
// id としてとりうる値のリストを返す
}
最後に、ここでまた getStaticProps
を実装します。今回は、受け取った id
に基づいて必要なデータを取得します。getStaticProps
は params
を受け取りますが、そこには id
が含まれています。
import Layout from '../../components/layout'
export default function Post() {
return <Layout>...</Layout>
}
export async function getStaticPaths() {
// id としてとりうる値のリストを返す
}
export async function getStaticProps({ params }) {
// params.id を使用して、ブログの投稿に必要なデータを取得する
}
以上で説明したことを視覚的にまとめると以下のようになります。
getStaticPaths を実装する
最初に、以下のファイルをセットアップしましょう。
-
[id].js
というファイルをpages/posts
ディレクトリの中に作成してください - また、
pages/posts
ディレクトリ内のfirst-post.js
を削除してください、こちらのファイルはもう使いません。
そうしたら、以下を pages/posts/[id].js
に書き加えてください。...
の部分はあとで埋めます。
import Layout from '../../components/layout'
export default function Post() {
return <Layout>...</Layout>
}
そうしたら、lib/posts.js
を開いて、以下の関数を追加してください。この関数は、posts
ディレクトリに存在するファイル名(.md
ファイルを除く)のリストを返します。
export function getAllPostIds() {
const fileNames = fs.readdirSync(postsDirectory)
// 以下のような配列を返します:
// [
// {
// params: {
// id: 'ssg-ssr'
// }
// },
// {
// params: {
// id: 'pre-rendering'
// }
// }
// ]
return fileNames.map(fileName => {
return {
params: {
id: fileName.replace(/\.md$/, '')
}
}
})
}
重要: return されるリストはただの文字列の配列では ありません。上記でコメントアウトされているようなオブジェクトの配列でなければなりません。各オブジェクトには params
キーが存在して、id
キーを持ったオブジェクトを含んでいなくてはなりません(ファイル名で [id]
を使用するため)。そうしなければ、getStaticPaths
は失敗します。
最後に、pages/posts/[id].js
の中で、この関数をインポートします。
import { getAllPostIds } from '../../lib/posts'
そうしたら、この関数を呼び出す getStaticPaths
を作成します。
export async function getStaticPaths() {
const paths = getAllPostIds()
return {
paths,
fallback: false
}
}
-
id
としてとりうる値の配列は、return されたオブジェクトのpaths
キーに対応する値でなければなりません。これはまさにgetAllPostIds()
が返すものです。 -
fallback: false
は今のところは無視してください。後ほど説明します。
これでほとんど完了ですが、getStaticProps
を実装する必要があります。
getStaticProps を実装する
与えられた id
を持つ投稿をレンダーするのに必要なデータをフェッチする必要があります。
そうするために、lib/posts.js
を再度開き、以下の関数を追記してください。これは id
に基づいてブログの投稿データを返します。
export function getPostData(id) {
const fullPath = path.join(postsDirectory, `${id}.md`)
const fileContents = fs.readFileSync(fullPath, 'utf8')
// 投稿のメタデータ部分を解析するために gray-matter を使う
const matterResult = matter(fileContents)
// データを id と組み合わせる
return {
id,
...matterResult.data
}
}
最後に、pages/posts/[id].js
の中で、以下の行を…
import { getAllPostIds } from '../../lib/posts'
次のように置き換えてください:
import { getAllPostIds, getPostData } from '../../lib/posts'
そうしたら、この関数を呼び出す getStaticProps
を作成してください。
export async function getStaticProps({ params }) {
const postData = getPostData(params.id)
return {
props: {
postData
}
}
}
その後、Post
コンポーネントを、postData
を使うように更新してください。
export default function Post({ postData }) {
return (
<Layout>
{postData.title}
<br />
{postData.id}
<br />
{postData.date}
</Layout>
)
}
これで出来上がりです!試しに次のページにアクセスしてみてください。
各ページのブログ記事のデータを見ることができるはずです。
素晴らしいですね!動的なページを生成することに成功しました。
うまくいかない場合
エラーに出くわした場合は、正しいコードを書いたファイルになっているか確認してください。
-
pages/posts/[id].js
はこのようなコードになります。 -
lib/posts.js
はこのようなコードになります。 - (それでもうまく動かない場合は)残りのコードはこのようなコードになります。
それでもまだ詰まっている場合は、GitHub のディスカッション からコミュニティにお気軽に質問してください。他の人がコードを見ることができるように、GitHub にあなたのコードを push してそれにリンクを貼っていただけるとありがたいです。
サマリー
ここでまた、我々が行ったことを視覚的にまとめておきます。
しかしまだブログの マークダウンのコンテンツ を表示していません。次にその部分に取り組みましょう。
マークダウンをレンダーする
マークダウンのコンテンツをレンダーするために、remark
ライブラリを使用します。まずはインストールしましょう。
npm install remark remark-html
それらを lib/posts.js
でインポートします。
import remark from 'remark'
import html from 'remark-html'
そして、getPostData()
を remark
を使用するように、以下のとおり書き換えてください。
export async function getPostData(id) {
const fullPath = path.join(postsDirectory, `${id}.md`)
const fileContents = fs.readFileSync(fullPath, 'utf8')
// 投稿のメタデータ部分を解析するために gray-matter を使う
const matterResult = matter(fileContents)
// マークダウンを HTML 文字列に変換するために remark を使う
const processedContent = await remark()
.use(html)
.process(matterResult.content)
const contentHtml = processedContent.toString()
// データを id および contentHtml と組み合わせる
return {
id,
contentHtml,
...matterResult.data
}
}
重要:async
キーワードを getPostData
に追加しましたが、これは、remark
に対して await
を使用する必要があるためです。
これは、pages/posts/[id].js
内の getStaticProps
を、getPostData
を呼び出すときに await
を使用するように書き換える必要があるということです。
export async function getStaticProps({ params }) {
// "await" キーワードを以下のように追加する
const postData = await getPostData(params.id)
// ...
}
最後に、Post
コンポーネントを書き換えて、dangerouslySetInnerHTML
を使って contentHtml
をレンダーするようにしましょう。
export default function Post({ postData }) {
return (
<Layout>
{postData.title}
<br />
{postData.id}
<br />
{postData.date}
<br />
<div dangerouslySetInnerHTML={{ __html: postData.contentHtml }} />
</Layout>
)
}
もう一度、以下のページにアクセスしてみてください。
ブログのコンテンツが表示されているはずです。
これでほぼ完了です。次は、各ページを磨き上げて完成させましょう。
投稿ページを磨き上げる
投稿ページに title
を追加する
pages/posts/[id].js
内で、投稿データを使って title
タグを追加しましょう。next/head
をインポートし、title
タグを追加します。
import Head from 'next/head'
export default function Post({ postData }) {
return (
<Layout>
<Head>
<title>{postData.title}</title>
</Head>
...
</Layout>
)
}
日付のフォーマットを整える
日付をフォーマットするために、date-fns
ライブラリを使用します。まずはインストールします。
npm install date-fns
次に、components/date.js
ファイルに Date
コンポーネントを作成します。
import { parseISO, format } from 'date-fns'
export default function Date({ dateString }) {
const date = parseISO(dateString)
return <time dateTime={dateString}>{format(date, 'LLLL d, yyyy')}</time>
}
そうしたらそれを pages/posts/[id].js
内で使いましょう。
// インポートのためにこの文を追加する
import Date from '../../components/date'
export default function Post({ postData }) {
return (
<Layout>
...
{/* {postData.date} を以下で置き換える */}
<Date dateString={postData.date} />
...
</Layout>
)
}
http://localhost:3000/posts/pre-rendering にアクセスすれば、「January 1, 2020」と日付が書かれているのが見えるはずです。
CSS を追加する
最後に、いくらか CSS を追加しましょう。pages/posts/[id].js
の中に、article
タグの下にあるコードをすべて書き、また、以下に示すとおりに CSS モジュールを使用してください。
// Add this line
import utilStyles from '../../styles/utils.module.css'
export default function Post({ postData }) {
return (
<Layout>
<Head>
<title>{postData.title}</title>
</Head>
<article>
<h1 className={utilStyles.headingXl}>{postData.title}</h1>
<div className={utilStyles.lightText}>
<Date dateString={postData.date} />
</div>
<div dangerouslySetInnerHTML={{ __html: postData.contentHtml }} />
</article>
</Layout>
)
}
http://localhost:3000/posts/pre-rendering にアクセスすれば、ページの見た目は少しよくなっているはずです。
すばらしい!次にインデックスページを磨き上げれば完了です!
インデックスページを磨き上げる
最後のステップとして、インデックスページ(pages/index.js
)を更新しましょう。
具体的には、各投稿ページに対してのリンクを追加する必要があります。
まずは、Link
と Date
を pages/index.js
内でインポートしてください。
import Link from 'next/link'
import Date from '../components/date'
そうしたら、Home
コンポーネントの下部近くで、li
タグを以下で書き換えてください。
<li className={utilStyles.listItem} key={id}>
<Link href={`/posts/${id}`}>
<a>{title}</a>
</Link>
<br />
<small className={utilStyles.lightText}>
<Date dateString={date} />
</small>
</li>
各記事に対してリンクすることができているはずです。
うまく動いていないものがあるときは、コードがこのようになっているか確認してください。
出来上がりです!このレッスンを終える前に、動的ルーティングを使うにあたっての Tips をいくつかご紹介します。
動的ルーティングの詳細
動的ルーティングについて深く知るには我々のドキュメンテーションをご覧ください。
しかしここでは、動的ルーティングについて知っておくべきいくつかの本質的な情報をお伝えします。
外部 API を取得する あるいは データベースに問い合わせる
getStaticProps
のように、getStaticPaths
はどんなデータソースからもデータを取得することができます。我々の例では、getAllPostIds
(getStaticPaths
によって使われます)は外部の API エンドポイントからデータをフェッチしてきても構わないのです。
export async function getAllPostIds() {
// ファイルシステムの代わりに
// 外部の API エンドポイントから投稿データを取得する
const res = await fetch('..')
const posts = await res.json()
return posts.map(post => {
return {
params: {
id: post.id
}
}
})
}
開発環境 vs 本番環境
- 開発環境(
npm run dev
またはyarn dev
)では、getStaticPaths
は毎回のリクエストごとに実行されます。 - 本番環境では、
getStaticPaths
はビルド時に実行されます。
Fallback
getStaticPaths
から fallback: false
を return したことを思い出してください。これは何を意味するのでしょうか。
もし fallback
が false
であれば、getStaticPaths
から return されていないあらゆるパスは、アクセスすると 404 ページ になります。
fallback
が true
であれば、getStaticProps
の挙動は異なります:
-
getStaticPaths
から return されたパスはビルド時に HTML としてレンダーされます。 - ビルド時に生成されなかったパスにアクセスしても 404 ページには なりません。代わりに、Next.js はそうしたパスへの最初のリクエストがあったときに、そのページの「fallback」バージョンを提供します(Fallback ページの詳細は後述します)。
- バックグラウンドでは、Next.js はリクエストがあったパスを静的に生成します。同じページに対する後続(初回以降)のリクエストに対しては、その生成されたページが提供されます(ビルド時にプリレンダリングされた他のページと同じように)。
この内容は本レッスンのスコープを超えてしまいますが、fallback: true
としたときの詳細についてはドキュメンテーションから詳しく知ることができます。
すべてのルート(route)をキャッチ
動的ルーティングは、ブラケットの中で三点ドットを加えることで、すべてのパスをキャッチするように拡張することができます。たとえば:
-
pages/posts/[...id].js
は/posts/a
とマッチしますが、/posts/a/b
、/posts/a/b/c
その他ともマッチします
この場合、getStaticPaths
では、以下のように id
キーの値として配列を返さなければなりません。
return [
{
params: {
// /posts/a/b/c を静的に生成する
id: ['a', 'b', 'c']
}
}
//...
]
そうすることで params.id
は getStaticProps
において配列となります。
export async function getStaticProps({ params }) {
// params.id は ['a', 'b', 'c'] のようになる
}
もっと学ぶには動的ルーティングのドキュメントをご覧ください。
ルーター(Router)
Next.js のルーターにアクセスしたければ、useRouter
フックを next/router
からインポートすることで可能になります。詳しくはrouter のドキュメントをご覧ください。
404 ページ
独自の 404 ページを作成するには、pages/404.js
を作成してください。このファイルはビルド時に静的に生成されます。
// pages/404.js
export default function Custom404() {
return <h1>404 - Page Not Found</h1>
}
詳細はエラーページのドキュメントをご覧ください。
他の例
getStaticProps
や getStaticPaths
を説明するためにいくつか例を作成しました。もっと学ぶにはこれらのソースコードを見てみてください。
これで出来上がりです!
次のレッスンでは、Next.js の API ルート機能について解説します。
レッスン6. API ルート
Next.js は API ルートをサポートしており、それにより、API エンドポイントを Node.js 関数として簡単に作成することができます。我々が作っているブログには必ずしも必要なものではありませんが、本レッスンではその使い方について手短にご説明します。
このレッスンで学ぶこと
- API ルートの作り方
- API ルートに関する便利な情報
セットアップ
スターターコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn がお好みなら `yarn create` を `npm init` の代わりに使える
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/api-routes-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn がお好みなら `yarn dev`
npm run dev
スターターコードをダウンロードしたら、以下を更新してください:
-
public/images/profile.jpg
をあなたの写真にしてください(推奨:400px × 400px) -
components/layout.js
内のconst name = '[Your Name]'
をあなたの名前にしてください。 -
pages/index.js
内の<p>[Your Self Introduction]</p>
をあなたの自己紹介文にしてください。
API ルートを作成する
API ルートを使うことで、Next.js アプリの中に API エンドポイントを作成することができます。そのためには、pages/api
ディレクトリの中に、以下のフォーマットを持つ 関数 を作成します。
// req = リクエストデータ, res = レスポンスデータ
export default (req, res) => {
// ...
}
これはサーバレス関数(ラムダ(Lambda)としても知られる)としてデプロイできます。
簡単な API エンドポイントを作成する
それでは試してみましょう。pages/api
の中に、以下に示すコードで hello.js
というファイルを作成してください。
export default (req, res) => {
res.status(200).json({ text: 'Hello' })
}
http://localhost:3000/api/hello にアクセスしてみてください。{"text":"Hello"}
と表示されているはずです。以下に留意してください。:
-
req
は http.IncomingMessage のインスタンスであり、加えて、ここにあるようなビルド済みのミドルウェアもあります。 -
res
は http.ServerResponse のインスタンスであり、加えてここにあるようなヘルパー関数もあります。
以上です!このレッスンを終える前に、API ルートを用いるうえでの Tips をいくつかご紹介します。
API ルートの詳細
API ルートに関して深く知りたい場合はドキュメンテーションから情報を得ることができますが、ここでは API ルートについて知っておくべき重要な情報をご紹介します。
getStaticProps
あるいは getStaticPaths
からは API ルートをフェッチしないこと
getStaticProps
あるいは getStaticPaths
からは API ルートをフェッチすべきではありません。そうする代わりに、getStaticProps
あるいは getStaticPaths
の中に直接サーバサイドのコードを書いてください(あるいはヘルパ関数を呼び出してください)。
理由は次のとおりです:getStaticProps
あるいは getStaticPaths
はサーバサイドでのみ実行されます。クライアントサイドで実行されることはありませんし、ブラウザ用の JS バンドルに含まれることもありません。これは、データベースに直接問い合わせるようなコードを書くことができて、そういったコードがブラウザ側に送られることは無いということです。
良い使用例:フォーム入力を処理する
API ルートの良い使用例は、フォーム入力の処理です。たとえば、ページ内にフォームを作成し、そのフォームから API ルートに POST
リクエストを送信させることができます。そうしたら、それを直接データベースに保存できます。API ルートのコードはクライアント側のバンドルには含まれないので、安全にサーバサイドのコードを書くことができるというわけです。
export default (req, res) => {
const email = req.body.email
// 続いて、データベースなどに e メールを保存する
}
プレビューモード
静的生成は、ページがヘッドレス CMS からデータを取得する場合に便利です。しかし、ヘッドレス CMS で下書きを書いていて、その下書きをすぐにページ上でプレビューしたい場合には理想的ではありません。これらのページをビルド時ではなくリクエスト時にレンダリングし、公開用のコンテンツではなく下書きの内容を取得したいと思うでしょう。こうした特別なケースに限っては、静的生成をバイパスしてほしいことと思います。
Nexrt.js はこの問題を解決する プレビューモード という機能を持っており、API ルートを利用しています。詳しくは、プレビューモードのドキュメントをご覧ください。
動的 API ルート
API ルートは、通常のページと同様に動的なものにすることもできます。詳しくは動的 API ルートのドキュメンテーションをご覧ください。
以上です!
次のレッスンでは、Next.js アプリを本番環境にデプロイする方法について説明します。
レッスン7. Next.js アプリをデプロイする
このレッスンでは、Next.js アプリを本番環境にデプロイします。
Next.js を Vercel(Next.js の製作者たちによって構築された Jamstack のデプロイプラットフォームです)にデプロイする方法を学びます。その他のデプロイの選択肢についてもご説明します。
前提事項:このレッスンでは GitHub アカウントが必要です。
このレッスンで学ぶこと
- Next.js アプリを Vercel にデプロイする方法
- DPS ワークフロー:Develop(開発)、Preview(プレビュー)、Ship(シップ)
- Next.js アプリを独自のホスティングプロバイダにデプロイする方法
スタータコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn がお好みなら `yarn create` を `npm init` の代わりに使える
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/api-routes-starter"
cd nextjs-blog
# Yarn がお好みなら `yarn dev`
npm run dev
スターターコードをダウンロードしたら、以下を更新してください:
-
public/images/profile.jpg
をあなたの写真にしてください(推奨:400px × 400px) -
components/layout.js
内のconst name = '[Your Name]'
をあなたの名前にしてください。 -
pages/index.js
内の<p>[Your Self Introduction]</p>
をあなたの自己紹介文にしてください。
GitHub に push する
デプロイの前に、まだしていなければ Next.js アプリを GitHub に push しましょう。
これによりデプロイが簡単になります。
- あなた個人の GitHub アカウントで
nextjs-blog
という新しいリポジトリを作成してください。 - そのリポジトリは public でも private でも構いません。README やその他のファイルで初期化する必要は ありません。
- 手助けが必要であれば、GitHub のこちらのガイド をご覧ください。
そうしたら、
- Next.js アプリ用に git リポジトリをローカルで初期化していない場合は初期化してください。
- Next.js アプリを上記で作成した GitHub のリポジトリに push してください。
GitHub に push するには、以下のコマンドを実行すればよいです(<username>
はあなたの GitHub のユーザ名で置き換えてください)。
git remote add origin https://github.com/<username>/nextjs-blog.git
git push -u origin master
GitHub リポジトリが準備できたら続けて次に進みましょう。
Vercel にデプロイする
Next.js を本番環境にデプロイするのに最も簡単な方法は、Next.js の製作者たちによって開発された Vercel プラットフォームを使うことです。
Vercel は、静的 & JAMstack 開発とサーバレス関数をサポートするグローバル CDN を備えたオールインワンのプラットフォームです。Vercel は Next.js アプリをデプロイするのに最適な場所だと考えます。無料で利用開始できます(クレジットカードは必要ありません)。
Vercel アカウントを作成する
まずは、https://vercel.com/signup にアクセスして Vercel アカウントを作成してください。Continue with GitHub を選択してサインアッププロセスを完了してください。
nextjs-blog
リポジトリをインポートする
サインアップを終えたら、nextjs-blog
リポジトリを Vercel に インポート してください。こちらから行うことができます:https://vercel.com/import/git
- Vercel for GitHub をインストールする必要があります。すべてのリポジトリ(All Repositories) に対するアクセス権を与えることができます。
- Vercel をインストールしたら、
nextjs-blog
をインポートしてください。
以下の設定は デフォルト値 を使うことができます。何か変更する必要はありません。Vercel は、Next.js アプリがあることを自動的に検知し、最適なビルド設定を選択してくれます。
- プロジェクト名
- ルートディレクトリ
- ビルドコマンド
- 出力されるディレクトリ
- 開発用のコマンド
デプロイを行うと、Next.js アプリはビルドを開始します。これは 1 分以内に完了するはずです。
ヘルプを利用できます:デプロイに失敗しても、GitHub のディスカッションでいつでも助けを得ることができます。デプロイについての詳細はドキュメントをご覧ください。
ビルドが完了すると、デプロイ用の URL がいくつか表示されます。その URL のいずれかをクリックすると、 Next.js のスターターページがライブで表示されるはずです。
おめでとうございます!Next.js アプリを本番環境にデプロイすることができました。次に、Vercel の詳細とおすすめのワークフローについて詳しく説明します。
Next.js と Vercel
Vercel は Next.js の製作者たちによって作られており、Next.js へのサポートは最高級の水準です。Next.js アプリを Vercel にデプロイすると、デフォルトで以下のことが起こります。
- 静的生成を使用しているページとアセット(JavaScript、CSS、画像、フォント等)がきわめて高速な Vercel Edge Network から自動的に提供(サーブ)されます。
- サーバサイドレンダリングを使用するページと API ルートは自動的に、他とは分離された サーバレス関数 になります。これによって、ページのレンダリングと API リクエストを限りなくスケールできます。
Vercel にはさらに多くの機能があります。たとえば:
- カスタムドメイン:一度 Vercel にデプロイしてしまえば、Next.js アプリにカスタムドメインを割り当てることができます。こちらの ドキュメンテーション をご覧ください。
- 環境変数:環境変数を Vercel 上で設定することも可能です。こちらから ドキュメンテーション をご覧ください。そして、これらの環境変数を Next.js アプリで使うことができます。
- 自動 HTTPS:HTTPS はデフォルトで有効になっており(カスタムドメインを含む)、追加設定は必要ありません。SSL 証明書は自動更新されます。
Vercel プラットフォームについてもっと詳しく知るには 我々のドキュメンテーション をご一読ください。
各 push ごとにデプロイをプレビューする
以下のステップは任意です。実際に試してみてもよいですし、読み通すだけでも構いません。
Vercel にデプロイを行ったあと、可能であれば以下を行ってみてください。
- アプリに新しいブランチを作成する
- いくつか変更を加えて、GitHub に push する
- 新たなプルリクエスト(GitHubのヘルプページ)を作成する
プルリクエストのページで now
bot によるコメントが表示されるはずです。
コメント内の プレビュー URL をクリックしてみてください。あなたが先ほど加えた変更が見えるようになっているはずです。
プルリクエストが開いていると、Vercel は push があるたびにそのブランチの プレビューデプロイ を自動的に作成します。プレビュー URL はつねに最新のプレビューデプロイを指すものになります。
このプレビュー URL は共同作業者と共有してすぐにフィードバックを得ることができます。
プレビューデプロイが問題ないようであれば、master
にマージしましょう。そうすれば、Vercel は自動的に本番用のデプロイを行います。
開発、プレビュー、シップ
ここまでで、我々が DPS : Develop(開発)、Preview(プレビュー)、Ship(シップ)と呼んでいるワークフローを一通り体験しました。
- 開発:Next.js でコードを書き、Next.js の開発サーバを使ってホットリロードの機能を利用しました。
- プレビュー:GitHub のブランチに変更を push し、URL から確認することができるプレビューデプロイが Vercel によって作成されました。このプレビュー URL は他の人と共有してフィードバックを受けることができます。コードレビューに加えて、デプロイのプレビューも行うことができるのです。
-
シップ:プルリクエストを
master
ブランチにマージして、本番環境にシップしました。
Next.js アプリを開発するときにはこのワークフローを用いることを強く推奨します。このワークフローは、アプリ開発のイテレーションをすばやく回すのに役立つでしょう。
ホスティングの他の選択肢
Next.js は、Node.js をサポートしているホスティングプロバイダであればどこにでもデプロイすることができます。
ここまでの指示通りに進めてきていれば、手元の package.json
には build
と start
スクリプトが書かれていることと思います:
{
"scripts": {
"dev": "next",
"build": "next build",
"start": "next start"
}
}
あなたが使おうとしているホスティングプロバイダで build
スクリプトを実行すると、.next
フォルダの中に本番用アプリケーションがビルドされます。
npm run build
ビルドが終わったら start
スクリプトを実行することで、ハイブリッドページをサポートする Node.js サーバを起動でき、静的生成によるページとサーバサイドレンダリングによるページの両方が提供(サーブ)されます。そのサーバで API ルートを扱うこともできます。
npm run start
Tip:
package.json
のstart
スクリプトをカスタマイズしてPORT
パラメータを受け取るようにするには、次のように書き換えます:"start": "next start -p $PORT"
以上です!Next.js のデプロイに関して疑問点があれば、GitHub のディスカッションから我々のコミュニティに質問することができます。
最後に
おめでとうございます、ベーシックコースのレッスンはすべて完了です。今後のおすすめのステップをご紹介します。
Next.js アプリをシェアしよう
このチュートリアルで作成したアプリを Twitter でシェアすることをおすすめします。その際、我々のチームが見に行けるように、 @vercel にメンションを飛ばしてください!このチュートリアルへのフィードバックもお待ちしております。
TypeScript を Next.js と組み合わせて使う
もし TypeScript をお好みなら、次のセクションで TypeScript を Next.js と一緒に使う方法を学ぶことができます。
次に学ぶべきこと
もっと知るには我々のドキュメンテーションをチェックしてください。特に、以下のページは興味深くご覧いただけるかもしれません。
- データフェッチ: データフェッチについて深く知る
- Next.js の設定: 特に、環境変数 に関するドキュメントが役に立つでしょう
- AMP サポート: Next.js を使えば簡単に AMP ページを作成することができます
会話に参加する
Next.js に関する質問があればそれがどんなことであれ、いつでも GitHub のディスカッション からコミュニティへの質問を歓迎します。
(応用編)
レッスン8. TypeScript
Next.js では初期設定のままで(追加設定不要で)TypeScript を書くことができます。このレッスンでは、ベーシックコースで作成したブログアプリを TypeScript を使ったものに書き換えていきます。
このレッスンで学ぶこと
- TypeScript を使えるように Next.js をセットアップする方法
- Next.js 固有の型(types)を使う方法
- ブログアプリを TypeScript を使ったものに書き換える方法
スタータコードをダウンロードする(任意)
前のレッスンから継続して取り組んでいる場合は、以下はスキップできます。
そうでないのであれば、スターターコードをダウンロードおよびインストールし、以下のとおり実行してください。繰り返しになりますが、前回のレッスンを終えているのであれば以下は不要です。
# Yarn がお好みなら `yarn create` を `npm init` の代わりに使える
npm init next-app nextjs-blog --example "https://github.com/zeit/next-learn-starter/tree/master/basics-final"
cd nextjs-blog
# Yarn がお好みなら `yarn dev`
npm run dev
スターターコードをダウンロードしたら、以下を更新してください:
-
public/images/profile.jpg
をあなたの写真にしてください(推奨:400px × 400px) -
components/layout.js
内のconst name = '[Your Name]'
をあなたの名前にしてください。 -
pages/index.js
内の<p>[Your Self Introduction]</p>
をあなたの自己紹介文にしてください。
tsconfig.json を作成する
取り掛かっていくために、空の tsconfig.json
ファイルをプロジェクトのルート(root)に作成してください。
touch tsconfig.json
ここで、開発サーバを立ち上げてみて(すでに起動している場合は再起動して)ください(npm run dev
または yarn dev
)。そうすると、以下のように何か警告が出てくると思います:
It looks like you're trying to use TypeScript but do not have the required package(s) installed.
表示されるインストラクションにしたがって TypeScript をインストールしてください。
# npm を使っている場合
npm install --save-dev typescript @types/react @types/node
# Yarn を使っている場合
yarn add --dev typescript @types/react @types/node
いま、もう一度開発サーバを起動してみてください。サーバが動き出したあと、Next.js は:
-
tsconfig.json
ファイル(上記で空ファイルとして作成したもの)に記述を埋めてくれます。このファイルはカスタマイズ可能です。 -
next-env.d.ts
ファイルを作成します。これによって Next.js の型が TypeScript のコンパイラによって拾われるようになります。このファイルはいじらないでください。
これでもう Next.js のアプリに TypeScript を使うことができます。Next.js アプリを TypeScript を用いたものに変換する方法をご説明します。
Next.js 固有の型
ここでは Next.js 固有の型(Types)をいくつか紹介します。
静的生成とサーバサイドレンダリング
getStaticProps
、getStaticPaths
、getServerSideProps
用に、それぞれ GetStaticProps
、GetStaticPaths
、GetServerSideProps
型を使用できます。
import { GetStaticProps, GetStaticPaths, GetServerSideProps } from 'next'
export const getStaticProps: GetStaticProps = async context => {
// ...
}
export const getStaticPaths: GetStaticPaths = async () => {
// ...
}
export const getServerSideProps: GetServerSideProps = async context => {
// ...
}
API ルート
以下は、API ルート用に組み込まれている型の使い方の例です。
import { NextApiRequest, NextApiResponse } from 'next'
export default (req: NextApiRequest, res: NextApiResponse) => {
// ...
}
カスタムの App
pages/_app.js
を pages/_app.tsx
にして、AppProps
というビルトインの型を使用することができます。次のようになります:
import { AppProps } from 'next/app'
function App({ Component, pageProps }: AppProps) {
return <Component {...pageProps} />
}
export default App
アプリを書き換える
ベーシックコースのレッスンで作成したブログアプリを TypeScript を用いたものに書き換えるには、以下のファイルを更新してください。
-
components/date.js
: このコード を使ってdate.tsx
に書き換えてください -
components/layout.js
: このコード を使ってlayout.tsx
に書き換えてください -
lib/posts.js
: このコード を使ってposts.ts
に書き換えてください -
pages/posts/[id].js
: このコード を使って[id].tsx
に書き換えてください -
pages/index.js
: このコード を使ってindex.tsx
に書き換えてください -
pages/_app.js
: このコード を使って_app.tsx
に書き換えてください -
pages/api/hello.js
: このコード を使ってhello.ts
に書き換えてください
また、remark-html
はパッケージ内や DefinitelyTypes に型定義がないので、トップレベルに global.d.ts
ファイルを作成して型宣言を加えてください。
declare module 'remark-html' {
const html: any
export default html
}
以上です!これで TypeScript でアプリが動くようになりました。
TypeScript で Next.js を使うことについてもっと知るためには、我々のドキュメンテーション をご覧ください。