はじめに
Raspberry Piシリーズは、小型でありながら多くの用途に対応できる優れたシングルボードコンピュータとして人気があります。
最新モデルのRaspberry Pi 5は、従来モデルに比べて性能が大幅に向上していますが、その一方で消費電力や発熱量も気になるポイントです。
今回の投稿では、Raspberry Pi 5と過去のRaspberry PiのCPU温度を比較し、それぞれの通常時および負荷時の違いを報告します。
実験環境
使用したデバイス
- Raspberry Pi 5
- OS: Raspberry Pi OS(64-bit)
- Raspberry Pi 5(公式のアクティブクーラー取付)
- OS: Raspberry Pi OS(64-bit)
- Raspberry Pi 3 Model B
- OS: Raspberry Pi OS(64-bit)
- Raspberry Pi 1 Model B+
- OS: Raspberry Pi OS(32-bit)
- Raspberry Pi Zero W
- OS: Raspberry Pi OS(32-bit)
実験条件
- 物理的な状況
- 素のOSインストール直後の状態で測定
- ケース無しの裸
- アクティブクーラー使用を明示しているもの以外はクーラー等のオプション無し
- 実験した部屋の気温:約20°C
- 通常時: OS起動後、アイドル状態で5分間放置
- 負荷時: stress コマンドでCPUを100%使用し、3分間実行
ラズパイ5&4は4コアなので、stress -c 4 で負荷をかける
ラズパイ1&Zeroはシングルコアなので、stress -c 1 で負荷をかける - 測定ツール : vcgencmd measure_temp
測定開始 1分後、2分後、3分後の温度を計測
結果
以下の表に、通常時と負荷時のCPU温度をまとめました。
デバイス | 通常時 | 1分後 | 2分後 | 3分後 |
---|---|---|---|---|
Raspberry Pi 5 | 40.0°C | 82.3°C | 84.5°C | 86.2°C |
Raspberry Pi 5(クーラー) | 40.0°C | 55.4°C | 58.2°C | 59.8°C |
Raspberry Pi 3 | 39.7°C | 65.6°C | 72.5°C | 76.3°C |
Raspberry Pi 1 | 34.2°C | 34.7°C | 35.8°C | 35.8°C |
Raspberry Pi Zero W | 38.5°C | 42.8°C | 42.8°C | 43.3°C |
考察
通常時の温度
Raspberry Pi 5&3は性能向上に伴い、通常時の温度も気持ち若干高め
となっています。
負荷時の温度
負荷をかけた場合、Raspberry Pi 5(クーラー無し)は急激に温度が上昇しました。
ラズパイは85°Cが動作限界温度とされているようで、温度もその付近で上がらなくなりました。
vcgencmd get_throttled
コマンドで見ると、80°C到達時点でリミット到達した旨が確認できているので、強制的に処理能力を落とされているのかと思います。
Raspberry Pi5(クーラー有り)は負荷をかけるのと同時にファンが回り始め、3分経過しても60°C以下をどうにかキープしました。
まとめ
複数コアのラズパイは負荷が高くなるとCPU温度が一気に上がります。
最も高機能なラズパイ5はアクティブクーラーが存在するので、これを付けると良いかと思います。
また、処理内容とその想定負荷、設置場所の気温に応じて、機器選定やケース選定、冷却対策が必要です。