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第12話 ゼータ関数の解析接続

Last updated at Posted at 2018-06-13

この記事は仮面ライダービルドの数式の第12話です。

-\frac{1}{ζ(-1)}=12

ゼータ関数の式です。わかりやすく書き直すとこうです。

ζ(-1)=1+2+3+4+⋯=-\frac{1}{12}

自然数の和は-1/12という常識はずれな式です。このような式はいくつかあります。

1+1+1+1+⋯=-\frac{1}{2}\\
1+2+4+8+16+⋯=-1\\
1-2+4-8+16-…=\frac{1}{4}

もちろん、これらの式は発散したり振動したりで、普通に考えれば、こんな値になりません。
実際このような書き方は正確とはいえません。

1+2+3+\cdots=1+(1+1)+(1+1+1)+\cdots=1+1+1+\cdots

この式はどこもおかしい場所はありません。
しかし、上の例から見ると値が違っています。
ですから、先程までに出てきた不思議な式は、こういう変形ができない形で計算します。

具体的にはこのようにします。

ζ(s)=\frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\cdots

これはゼータ関数と呼ばれる関数です。
もし、これにs=2を入れると、第6話に出てきたバーゼル問題になります。
もちろんその時の値は$\frac{\pi^2}{6}$です。

s=-1を入れると、1+2+3+4+…という式を表します。
その時の値は普通に考えれば無限大、となるでしょう。

そこで、この式を別の形で表します。

ζ(s)=\frac{1}{1−2^{1−s}}\sum_{m=1}^{∞}2^{−m}\sum_{j=1}^{m}(−1)^{j−1}
\Bigl(
\begin{matrix}
m−1\\
j−1
\end{matrix}
\Bigr)
j^{−s}

ややこしいですが、式の中身を見る必要はありません。
重要なのは以下の三点です。
・どちらの式も、s>1の範囲だと同じ値になる
・1個めの式は、s<1では定義されていない
・2個めの式は、s≠1の範囲で定義されている

つまり、定義されている領域では同じ値になる関数ですから、全く同じ式とみなします。
これを、解析接続といいます。

解析接続をする条件はいくつかあり、その条件を守れば別の値が出ません。
自然数の和を無限大以外に定義するなら、必ず-1/12になります。

そして、この意味不明な式が現実的に役に立つものなのか、という疑問が浮かびますが、
実際には物理学の世界で「繰り込み」という方法で利用されています。

つまり、
・実際に役に立つ場面がある
・無限大と-1/12以外に適切な値が出ない
というところから、この不思議な式も認められているわけです。

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