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第8話 フルビッツの定理

Last updated at Posted at 2018-05-30

この記事は仮面ライダービルドの数式の第8話です。

\arg_n ⁡\max_{z:bilinear}[\sum_i^n x_i^2 \sum_i^n y_i^2 = \sum_i^n z_i^2 ]=8

これは、フルビッツの定理の「組成代数は実数、複素数、四元数、八元数だけである」を表す式です。
大カッコの中が組成代数の条件、そしてその最大が8なので答えは8です。

ちなみに、フルビッツの定理はいくつかあり、
今回の話題は合成代数とついているものになります。

まず、虚数は二乗すると-1になる数です。
しかし、二乗すると-1になる数は本当に1つだけなのでしょうか。
そこで、虚数が2個あることにしてみましょう。

i^2=j^2=-1, \ i \neq j

さて、次の式が常に成り立つルールとします。
組成代数とは次の式のルールが成り立つ世界だと思って下さい。

|a||b|=|ab|

これは何かというと、積によって大きさ(ノルム)が変わらない、ということを意味します。
基本的に大きさは原点からの距離を表します。

|a+bi|=\sqrt{a^2+b^2}

これにそって、虚数が2つの世界を完成させていきます。
しかし、どうやっても次の式を満たすa,b,cがうまく定まりません。

ij=a+bi+cj

2つの虚数同士を掛け合わせるとどうなるか、です。
この世界でどんな数でも$a+bi+cj$と表せるはずなので、当然この積も同様に表せないといけません。
ですが、$i \neq j$を満たしながら値を設定することができません。

そこで、次のようにします。

ij=k

3つ目の虚数の導入です。しかも、こうすると辻褄が合う式が出来ます。
この、実数が1つに虚数が3つの世界を四元数(クォータニオン)といいます。

この四元数の計算式を解いていくと以下のことがわかります。

\displaylines{
i^2=j^2=k^2=-1 \\ 
ij=-ji=k\\ jk=-kj=i\\ ki=-ik=j
}

2つの違う虚数を掛け合わせると別の1つの虚数になることがわかりました。
ところが、よく式を見てみると、$ij=-ji$となっています。
つまり、掛け算の順序を逆にすると答えが変わります。
これを交換法則が成り立たない、といいます。
交換法則が成り立つ世界だと、二元数…いわゆる複素数が限度なのです。

さて、さらに虚数は増やせないのでしょうか。
虚数が7つの八元数という世界もあります。
しかし、この世界は次の式のようなことが起こります。

(ab)c \neq a(bc)

結合法則と呼ばれるものです。
交換法則が成り立たないものに行列がありますが、その世界でもこの結合法則は成り立っていました。
しかし、八元数では、結合法則が成り立たなくなります。

その次、十六元数というものもあるのですが、割り算(積に対する逆元)が自由にできなくなります。
次の式を見て下さい。

ab=0,a≠0,b≠0

aもbも0ではないのに、掛け合わせると0になるものです。
実数の世界ではもちろん、複素数でもこれはありえません。四元数や八元数でも同様です。

では、次の式を見てみましょう。

a≠0 ならば |a|>0 かつ a^2>0

二乗して0になるのは0だけ、というルールです。
掛け合わせると0になるということは、
「掛け合わせても大きさが変わらない」というルールを壊しています。
組成代数を満たさないので八元数が限度なのです。

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