この記事は仮面ライダービルドの数式の第37話です。
\arg\min_{p:prime}[p∉regular] =37
最小の非正則素数は37という意味です。
非正則素数とは、正則素数ではない素数で、正則素数とは円のp分体の類数を割り切らない素数です。
つまり、非正則素数は円のp分体の類数を「割り切る」素数です。
素数pがabを割り切り、bがpで割り切れないなら、aはpで割り切れる。
具体的な数を入れると、30は5で割りきれます。
30を3×10として、3は5で割り切れないので、10は5で割り切れます。
当たり前のように見えますが、円分体という考えを導入したときにこの当たり前が成り立たない場合が出てきました。
フェルマーの最終定理を証明するときに円分体の考えが出てきました。
x^3+y^3=z^3
このx,y,zを満たす自然数は存在しません。
x^3+y^3=(x+y)(x+ωy)(x+ω^2 y)
ωは3乗すると1になる複素数です。
このとき、各項は互いに素なので、x+yもなにかの3乗になるはずだがそんな数はない、
という方法を使って、式を満たす自然数がないことを証明しています。
前にも書いたとおり、足し算というのは使いづらいので、掛け算にして考えたいわけです。
そこで、自然数だけで考える範疇でも複素数を持ち込んで掛け算にしています。
この方法、n=5と増やすとこうなります。
x^5+y^5=(x+y)(x+ωy)(x+ω^2 y)(x+ω^3 y)(x+ω^4 y)
今回のωは5乗すると1になる複素数として使っています。
こんな感じでフェルマーの最終定理が解けたかと思いきや、実はn=23以降は「互いに素」の部分に問題が起きます。
整数なら「割り切る」事ができるかどうかなんて自明なのですが、
このように、円分体を用いるのなら、もう一度割り切るということを証明し直さないといけません。
そして、23では、aもbもpでは割り切れないが、かけ合わせたabならpで割り切れる、
という状態が存在することを証明されたわけです。
これは、23未満の素数がユークリッド聖域になる数でしたが23はそうではなく、
ユークリッド聖域の数は最大でも73なのでそれ以降は使えません。
要は、この考えは73より大きい素数には全く使えないわけです。
そこで、改良を加えイデアルという方法が考えだされました。
これを使うことにより、大体の素数に対してうまくいくようになります。
しかし、一部うまくいかない素数が存在し、具体的には100以下なら37,59,67がそれです。
こういう数を非正則素数と呼びます。
非正則素数は無限に存在します。
もし、この非正則素数というものが存在してなければ、
フェルマーの最終定理はもっと早く証明されていました。