この記事は仮面ライダービルドの数式の第43話です。
(\frac{1}{\pi}\ln 884736744)^2\simeq43
この式を書き直すとこうなります。
e^{π\sqrt{43}} \simeq 884736744 = 123(92 − 1)^3 + 744
要は、eにルートと円周率乗したら整数に近くなるよ、という意味の式です。
他にもこんな感じの式はあります。
e^{\pi\sqrt{67}} \simeq 123(212 − 1)^3 + 744\\
e^{\pi\sqrt{163}} \simeq 123(2132 − 1)^3 + 744
最後の数はラマヌジャンの定数と呼ばれます。
全盛期のラマヌジャン伝説
・自身の考案した式で、世界最高峰の円周率の桁数を求める
・式の証明を聞きにいったら、未証明の式が増える
・寝てたら女神が新しい式を教えてくれる
・自身が死んだ後も自分の名前を冠した定数が発表される ←(イマココ)
ラマヌジャンの定数はラマヌジャンの死後発表された数です。
遺稿が見つかったとか証明が完了した、という理由ではなく、
そもそも考案者はラマヌジャンではありません。
1975 年のエイプリルフールにマーティン・ガードナーが
「ラマヌジャンも予想した通り、この数は整数になる」と言い出したのが発端です。
ラマヌジャンの定数はかなり整数に近いです。
e^{π\sqrt{163}} = 262537412640768743.99999999999925 ⋯
倍精度浮動小数点数(double 型)ですら整数とみなされる数です。
この数は超越数なので整数になるわけがないのに、計算してみると整数になる、
エイプリルフールとしては良い冗談だったでしょう。
もちろん、これがこんなにも整数に近いのは理由があります。
この数は楕円モジュラー関数というもので計算できます。
j(τ) =\frac{1}{q} + 744 + 196884𝑞 + 21493760q^2 + ⋯
例えば、$e^{π\sqrt{43}}$であれば、q=1/884736700 を入れて計算します。
そうすると、この数はかなり小さいので、最初の2 項以外はほとんど0 になります。
e^{π\sqrt{43}} = 884736700 + 744 + 0.0002225 ⋯+ 0.000000000027…
もちろん、$e^{π\sqrt{163}}$はもっと0に近いqを使うので、もっと整数に近づきます。
ところで、43,67,163 という数に見覚えがないでしょうか…。
第41 話に出てきたヒーグナー数です。やはり虚二次体の類数が1 というのに関係しています。
j(τ)というのが、虚二次体に関わる式なんですね。
43より小さいヒーグナー数でも同様の事が起きますが、
q の値が0 に近くないので、そんなに整数に近づかないのでインパクトにはやや欠けます。