この記事は仮面ライダービルドの数式の第18話です。
\#\{family\ of\ finite\ group\}=18
有限単純群の無限個クラスは18種類ある、という意味です。
よく見かける、へんな足し算があります。
薬草+薬草=上薬草
イーブイ+みずのいし=シャワーズ
こういう、数ではない足し算を扱ってみよう、という考えで生まれたのが群です。
群ってのは、一通り計算ができるようにある程度定めたものです。
その条件は次の通り。
・必ず答えが出る
薬草+こんぼう=?
・順番を入れ替えても同じ結果になる
(薬草+毒消し草)+万月草=薬草+(毒消し草+万月草)
・何もしない計算ができる
薬草+?=薬草
・合成元でもぴったり当てはまるものがある
上薬草+?=薬草
このような条件が整ったものが群と呼ばれます。
モンスターやアイテムを合成するゲームはいろいろありますが、
最後の、合成元でも当てはまるものがある、と言う条件を満たすものはまずないでしょうね。
数学に戻ると、足し算において自然数(マイナスではない整数)は群にはなりません。
次の式を満たすxが自然数ではないからです。
3+x=1
なので、足し算と整数なら群になります。
整数同士の足し算では、分数(有理数)や実数はでてきませんね。
さて、整数は無限にあるので、無限群です。
ゲームのアイテムやモンスターは無限に作ることはできないはずなので、有限群になります。
有限群の例はこれです。
\begin{align}
1\times1&=1\\
-1\times1&=-1\\
1\times-1&=-1\\
-1\times-1&=1
\end{align}
1と-1の2種類だけで世界が完結しています。
これは2の循環群で、こう書くことが多いです。
\begin{align}
0+0&=0\\
0+1&=1\\
1+0&=1\\
1+1&=0\\
\end{align}
最後の、1+1=0、というのが違和感がありますが、
二進数の1桁目だけを取り出したもの、と考えれば良いです。
n進数の1桁目を取り出した足し算は、全部循環群になります。
単純有限群の有限群までわかったところで、最後の単純の意味です。
これは、それ以上分解できないという意味です。
単純有限群は、有限群の素数、みたいに考えて下さい。
そして、有限群は循環群、交換群、リー群の3つにわけられ、リー群はさらに16種類にわけられ、
全部で18種類、というのが冒頭の式です。
群をテーマにした数学は群論と呼ばれ、
第5話で出てきた「5次方程式が解の公式を持たない」というのも、
「5次未満の交換群は循環群でもあるが、5次以上は循環群にならない式で表せない」という
説明で解決されています。
流石に疲れたと思いますが、あと少しだけ続きがあります。
第26話に続きます。