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ITストラテジストに大学院生が業務未経験で合格したコツ

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Qiita初投稿です。
はじめまして。九州大学修士2年の岩附陽太と申します。
この度(大昔)、令和5年度のITストラテジスト試験に合格しました。

画像1.png

この記事では、ITストラテジストの概要、個人的な体験談、合格のためのコツについてお話させていただければと思います。

<ITストラテジスト(ST)とは>

「高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。」と説明されています。ITストラテジスト

令和5年度試験の結果は以下の通りです。
平均合格年齢:40.3歳
受験者数:4972人
合格者数:769人
合格率:15.5%

要はITを活用して、事業特性理解→問題分析→課題解決案の構築といったコンサル・企画領域の専門家になります。経済産業省が推進する情報処理技術者試験のうちの一つであり、国家資格です。業務独占等のメリットはありませんが、IT関連の資格の中では最難関の一角として認識されており、上流寄りのキャリアを形成したい場合は他者と差別化ができます。

当然,実際未経験でいきなりコンサルができるのかというとそんなわけありません。
・国語力(正確、高速に文章を読む能力・論理的な文書を書く能力)
・IT、経営の基礎知識
・試験に合格できる程度の、IT関連プロジェクトで創意工夫をした経験
などが問われ、品質が保証される試験だと思います。
以上がITストラテジストの概要になります。

次に個人的な体験談を話します。

<受験の動機>

・能力の客観的な証明が欲しかった。
・新卒で入社する前に、希望する配属がされるように、戦略などに関連するバックグラウンドを確保したかった。

新卒就活にはギリ間に合いませんでしたが、今後のキャリア形成上受けないより受けたほうがいいなと思った感じです。他の高度情報を狙わなかった理由としては、やりたい仕事が、ITはツールとして使って、課題にフォーカスする領域だったので、上流寄りの内容の方がいいと判断したためです。資格試験のコツは、受かるかどうか考えるより、まず受けてみたい試験の申し込みをして、その後受かるためにベストを尽くすが正解だと思います。

<合格後の感想>

試験を通じて特別何ができるようになったわけではないですが、希少性が魅力的だと感じました。
・24歳以下:13人→レアリティ、ヨシ!
・学部生合格者数:0人
・大学院生情報系合格者数:0人
・大学院生非情報系合格者数:3人→レアリティ、ヨシ!
受験結果

ITストラテジストの資格だけではピンキリだと思います。しかし、1年で3人しかいないレベルでレアリティが高いのであれば、一生使える名刺として「大学院の時にITストラテジストとった」と言えるのは魅力的だと感じます。逆に言えば何ができるわけでもないので、来年度以降社会人1年目として、謙虚に仕事を覚えていきたいと思っています。

次は試験のコツについてお話したいと思います。

<全体像の把握>

・午前2:4択30問>88%の受験者が合格
・午後1:ITに関する長文読解→記述解答>午前2合格者の63%が合格
・午後2:ITプロジェクトに関する論文>午後1合格者の32%の受験者が合格

午前1は応用情報以上に合格していれば免除できます。3つ全て合格する必要があります。午前2と午後1は合格率が比較的高いので、午後2の突破が肝心です。

<午前2の対策方法>

→過去問周回・以下サイトが参考になります
ITストラテジスト過去問

<午後1の対策方法>

→過去問周回・過去問は以下の午後問題の重点対策が最も参考になります。逆によくある基礎に詳しすぎる参考書はいりません。試験で問われない内容が多くコスパが悪いですし,午後問の重点対策にも必要知識のまとめがあるためです。
午後問の重点対策

<午後2の対策方法>

以下の流れで対策しました。
・問題と合格答案の音読
・ネタだし
・要点の把握
・論文を書く練習

<問題と合格答案の音読>

午後2の問題と合格答案を参考書1周分、音読します。読むだけでは頭に入ってきません。問題と解答のノリをつかむことを目的にしてください。参考書は上記の午後問題の重点対策の他に、合格論文の書き方・事例集が参考になりました。
合格論文の書き方・事例集

<ネタだし>

・自分の経験のネタだしをします。いままでやってきたことをブレーンストーミングして、発散させたのち、論文として使えそうな経験を選びましょう。ネタとして弱いと思った場合は、架空のネタでもいいですし、ネタ同士のおいしいところを混ぜ合わせて一つのネタにしてもよいです。(事実であることより受かることを優先すべきです)また、ネタを選ぶ際のコツとしては、業務や事業の内容に特色があればあるほど良いです。ありきたりな話をするより、「○○社は△△の業種で□□市を中心に展開していて、□□市は高齢化率が非常に高いため、××という特殊な戦略を行っている。」のように問題が特殊である方が、問題に対し妥当な解決策を書きやすいです。就活のグループワークで、ターゲットを絞ろう、議題の前提条件を確認しよう、といわれるのとまったく同じ理屈だと感じました。何かに特化することで、議論のオリジナリティを出しやすくすることができます。

<要点の把握>

午後2では要点の把握が重要です。要点とは、「どんなテーマを狙うのか」「実際何が聞かれることが多いのか」「どのレベルまで書ければ合格なのか」です。

午後2のテーマは

・課題解決or新規事業の立案
・組み込みシステム
・システム化構想
・IT戦略立案
あたりがヘビーローテーションしています。この中で、組み込みシステム・システム化構想・IT戦略立案は聞かれる内容や角度が年度によってばらつきがあり、また実際の業務は未経験であることから対策が難しいと思いました。なので、自分は聞かれる内容がほぼ決まっていて業務未経験でも対策の立てやすい・課題解決or新規事業の立案に絞りました。

課題解決or新規事業の立案で聞かれることは以下のような内容です。

・事業概要
・課題の背景、ニーズ
・事業特性
・解決策の詳細
・なぜその解決策に至ったのか、問題→解決策のロジック
・解決策の候補を複数だし、その比較評価をすること
・ITストラテジストとしての思考過程や決断内容
・ステークホルダーとの関係性や困難だったこと
・新たな価値
・扱うデータなど技術の詳細
・経営層への提案内容
・経営層の評価
・評価を受けたあとの改善点
これらに対し、合格答案を参考に、自分のネタにおける解答を事前に作っておきましょう。ポイントは採点者に「こいつは受からせてもよいな」と思わせる意識を持つことです。事実を書くだけでなく、論文を通じてプレゼン、アピールができるように準備しましょう。

どのレベルまで書ければ合格なのか

・全部書ききっている。十分な文字数(設問A800字、設問B800字、設問C600字、空白などは含まない)がある
・聞かれたことにこたえている。(的外れなことを書かない)
・聞かれたことに漏れなく答えている。
・課題の分析→解決策の立案の中身が妥当。
・活躍内容が「ITストラテジスト」である。(作業者や運用者では駄目)
・具体的、客観的、わかりやすい
・面白い(ありきたりなアイデアでは足らない)
・基礎知識があるアピールができている(○○という技術は△△という特性があるため□□という対策をした、とか専門知識をさりげなく披露しプロとして耐えうる力を持っていることをアピール)
この辺は合格論文の書き方・事例集の受け売りですが、その通りにしたら受かったので対策の方針は正しいと思いました。

<論文を書く練習>

M1の三月は研究と就活が忙しく、そんなにできてないです。ただし重要なのは上のネタだしと要点を把握して時間内に書ききることなので、書けるなら別に回数の問題ではないかなと思います。手書き論文のため修正も容易ではなく、時間内に書ききることが予想以上に難しく感じるので、どんなに時間がなくても最低1回は書いた方がよいと思います。

<当日のエピソード>

新規事業にヤマをはっていったら、テーマに新規事業がありませんでした。
・ITシステムにかかわる改修要望の分析と対応方針の立案
・個別システム化計画におけるシステムリスク対応方針の立案
・組み込み
だったので、「問いみた瞬間、終わったわチャチャ」みたいな感じで、自宅へオールバックしようと思いました。

10分くらい茫然とした後に、組み込みとシステムリスクなんか未経験でできるわけないので、消去法で考えたらITシステムにかかわる改修要望の分析と対応方針の立案をやるしかないと頭を切り替えました。ネタはそのまま新規事業の内容ですが、課題の分析内容をしっかり深ぼって、他のエピソードと合体させればいけなくもないと考え、なんとか書ききりました。心の中の安西先生を信じました。先生...ITストラテジストがしたいです...!の結果、ITストラテジスト(業務未経験)が出来上がりました。

<最後に>

ITストラテジスト、受けている人が少なくて勉強法がよくわからないと感じた経験があるので、何かの参考になれば幸いです。難関資格に名前負けしないよう、これからしっかり頑張っていきたいなと思っています。M2になって就活や学会も落ち着き(嘘)、時間もとれてきたので、学生時代のネタと経験の整理、棚卸をしてきたいと思っています。これを機にお見知りおきいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願いします。

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