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レッドチーム戦略で強化するサイバーセキュリティ

Last updated at Posted at 2024-08-15

目次

  1. はじめに
  2. レッドチームとは
  3. レッドチーム戦略のメリット、デメリット
  4. レッドチーム演習の実施例
  5. レッドチーム演習後の対策
  6. まとめ

1. はじめに

皆さんはレッドチーム演習についてご存知でしょうか?
この記事では私がエンジニアとしてサイバーセキュリティを意識するきっかけとなったレッドチーム演習について、まとめてみました。

サイバーセキュリティの脅威は、年々高度化し、複雑化しています。2024年も多くのサイバー攻撃によるシステム障害が発生し多くの企業やサービスを利用する人々に影響を及ぼしました。

企業や組織にとって、サイバー攻撃への対応力を高めることは必要不可欠です。ただ、実際にどんな敵がどんな手法で、どこから攻撃を仕掛けてくるかを理解し対策することはなかなか難しいことだと思います。そこで注目されているのが「レッドチーム戦略」です。

2. レッドチームとは

レッドチームとは、サイバー攻撃者の視点に立って、組織のセキュリティ体制をテストする専門チームのことを指します。彼らは意図的にシステムの脆弱性を発見し、これを攻撃することで、防御策の実効性を評価します。この手法は、組織のセキュリティ体制を現実的かつ実践的に見直すための重要な手段となっています。
レッドチームの活動は、シミュレーションされた攻撃を通じて行われ、組織がどのように攻撃に対処できるかを検証します。

レッドチーム演習を提供するベンダーにより戦略も手法も様々です。

3. レッドチーム戦略のメリット、デメリット

レッドチーム戦略には、多くの利点がありますが、同時に考慮すべき欠点も存在します。

メリット

  • リアルな脅威のシミュレーション
    レッドチームは、実際の攻撃者の視点から組織のセキュリティを評価するため、理論上の対策ではなく、実際の脅威に対する防御力を測定できます。

  • 防御策の強化
    発見された脆弱性に対する対策を行うことで、組織のセキュリティが強化され、将来的な攻撃に対する耐性が向上します。

  • セキュリティ意識の向上
    レッドチームの活動を通じて、従業員のセキュリティ意識が高まり、日常的な業務におけるリスク対応能力が向上します。

デメリット

  • コストとリソースの負担
    レッドチームの実施には、専門的な知識や技術が必要となり、また時間とコストがかかります。特に小規模な組織にとっては、これが大きな負担となる可能性があります。

  • 誤った優先順位設定のリスク
    レッドチームによって発見された脆弱性が、実際のリスクと比べて過剰に評価されることで、対策が偏る可能性があります。

  • 業務への影響
    レッドチームの攻撃がリアルに行われると、業務に一時的な混乱を招く可能性があり、それが組織にとっての負担になることがあります。

4. レッドチーム演習の実施例

ここでは、実際のレッドチーム演習の一例を紹介します。

A社におけるレッドチーム演習

A社では、2020年東京オリンピック開催に向けてサイバーテロ攻撃を想定したセキュリティ対策を評価するためにレッドチーム演習が実施されました。

  • 演習のゴールについて
    まず最初にレッドチーム演習におけるゴールを設定します。
    (マルウェア感染、管理者権限の取得、情報資産の持ち出し、物理的侵入など)

  • 実施期間
    そして実施期間については、いつからいつまでの間に実施するというかたちで伝えられます。いつ起きるかは誰にも分かりません。こちらの企業では情報システム担当の職員以外の一般職員には事前通知もありませんでした。

  • 結果①
    そして演習の結果、いくつかの重要な脆弱性が明らかになりました。
    そのうちの一つは、職員が普段から利用するメールに添付されたデータやURLを開いたことによるマルウェア感染でした。こちらは職員へのセキュリティ教育と運用の見直しが必要となりました。

  • 結果②
    そしてもう一つ、システム担当者のみ入室できる部屋への物理的侵入です。こちらは入室台帳の記入とカードキーの受け渡しまでされていたそうですが間一髪のところで職員が違和感に気づき侵入を阻止できたそうです。
    相手が身近に見える分、恐怖も感じますね。

5. レッドチーム演習後の対策

レッドチーム演習が終了した後には、以下のような対策が必要です。

1. 演習結果の評価と報告

演習後は、結果を詳細に分析し、発見された脆弱性や攻撃が成功した理由について報告書を作成します。この報告書は、経営陣やセキュリティチームに対して、今後の対策を決定するための重要な資料となります。

2. 脆弱性の修正

演習で明らかになった脆弱性に対しては、迅速に修正を行います。これは、システム設定の変更、パッチの適用、または新たなセキュリティ対策の導入などを含みます。

3. フォローアップテスト

修正が行われた後、再度テストを実施し、脆弱性が確実に修正されたことを確認します。また、新たな脆弱性が生じていないかどうかもチェックします。

4. セキュリティ教育の強化

演習結果を基に、社員向けのセキュリティ教育を見直し、強化します。特に、フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングに対する防御策を徹底します。

6. まとめ

レッドチーム戦略は組織のサイバーセキュリティを強化するための強力な手法です。攻撃者の視点から自社のセキュリティを評価することで、現実的な脅威に対する対応力を高めることができます。特に、現代の高度化するサイバー攻撃に対しては、理論的な防御策だけではなく、実践的な防御策を確立することが求められます。
色々と書いてきましたが、この記事を通して「守るために攻め方を知ること」とその方法の一つにこんな演習もあるということを伝えられたら嬉しく思います。

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