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インターネットとTCP/IPの成り立ちと関係性について

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1. ネットワークとインターネットの違い

「インターネット」という言葉はしばしば「Web」と混同されがちであるが、実際にはより広い意味を持つ。インターネットとは、TCP/IPという共通の通信規格で接続された複数のネットワークが集まった巨大なネットワークの集合体を指す。対して「ネットワーク」とは、例えば家庭内LANや大学内の閉じられたシステムなど、比較的限定された範囲で通信する仕組みである。

つまり、個別のネットワーク同士がTCP/IPでつながることで、初めて「インターネット」と呼べる状態になる。

2. TCP/IPの誕生と進化

1970年代、アメリカ国防総省の研究プロジェクトARPANETをきっかけに、異なるシステム間でも通信できる共通プロトコルの必要性が高まり、TCP(Transmission Control Protocol)が考案された。最初はこのTCPが信頼性の確保から経路の選択までをすべて担う設計であった。

しかし、すべての責務を一つのプロトコルに押し込めるのは効率が悪く、1981年にはTCPとIP(Internet Protocol)に分割される。この分離によって、IPは「どこに送るか」(経路選択=ルーティング)を担当し、TCPは「どう確実に届けるか」(信頼性のある通信)を担うようになった。

このようにして構成されたTCP/IPモデルは、「アプリケーション層」「トランスポート層」「インターネット層」「ネットワークインターフェイス層」という4層構造を持ち、現在でも通信の基本となっている。

3. DNSとWebの登場

1983年、ARPANETがTCP/IPに正式移行したことがインターネットの始まりとされる。そして1984年にはDNS(Domain Name System)が導入された。

DNSは、人間にとって扱いにくいIPアドレスの代わりに、「example.com」のようなドメイン名を使って通信先を指定できる仕組みである。これはWebが登場する前から、大学や企業のローカルネットワークなどでの通信に活用されていた。

その後1991年、ティム・バーナーズ=リーによってWWW(World Wide Web)が発明される。Webとは、HTTPという新たな通信プロトコルを用いて、インターネット上に分散した情報を相互にリンクし、閲覧できるようにしたシステムである。

4. Webとインターネットの関係

Webはあくまでインターネット上で動作する一つのアプリケーションにすぎない。HTTPやHTML、CSS、JavaScriptなど、Webを構成する技術はインターネット上でドキュメントをやり取りするために設計されている。

したがって、インターネットが存在するからといって、Webが必ず存在するわけではない。逆に、Webを利用するには、インターネットの接続環境と、TCP/IP、DNSなどの基盤があって初めて成立する。

5. ローカルネットワークとTCP/IP

では、インターネットがなかった時代、ローカルネットワークではどのような通信規格が使われていたのか。実際には、企業や大学などの組織ごとに独自の通信プロトコル(DECnetやIPX/SPXなど)を使っていた。

しかし、インターネットの拡大に伴い、これらのローカルネットワークでもTCP/IPの採用が進んでいく。なぜなら、TCP/IPを使うことで他のネットワークとの相互接続が可能になり、結果的に利便性が飛躍的に高まったからである。

補足メモ

ルーティングとは:IPアドレスに基づいてデータをどの経路で届けるかを決定する処理のこと。

DNSはWeb専用の仕組みではなく、すべてのTCP/IP通信において名前解決の役割を果たす。

TCP/IPモデルはOSI参照モデルの影響も受けつつ独自に進化してきたが、現代では実用的な基盤として標準になっている。

Web(WWW)は、インターネットの上で提供される多くのサービスの中の1つであり、メール(SMTP, POP3, IMAP)、ファイル転送(FTP)などと並ぶアプリケーション層のプロトコルの1つ。

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