はじめに
Webサイトでコンバージョンが発生した場合、
ユーザーとの接触に時間がかかると成約が出来なくなる可能性が高くなります。
そのため、
自動でユーザーごとに条件により異なるメールを送りつつ、顧客管理したい。
(が、専用システムを開発するほどのコストはかけられない…)
そのようなニーズに応える方法をご紹介します。
この記事では、
①kintone 、
②データシンカー for kintone 、
③kMailer
を組み合わせて、最低約47,000円(税別)/月でシステム構築する方法を解説します。
構築に使うツールの概要
kintone
ノーコードで業務アプリを構築できるデータベース型のサービスです。
プログラミングの知識がなくても直感的な操作でデータベースやアプリを作成できます。
データシンカー for kintone
テキストメールから特定の文章や単語を抜き出して、それをkintoneの指定したカラムフィールドに連携し、自動でレコードを作成してくれるサービスです。
他にも対象がCSVのものなどもありますが、今回は「DataSyncer® メール to kintone」を利用します。
kMailer
kintoneでレコードの追加や編集が行われた際に、設定されたメールを自動で送信するサービスです。
ユーザーの情報を動的に挿入できる機能も備えており、メールテンプレートも複数保存でき、自動でメールを送る際にも設定ごとにどのテンプレートを利用するかは変えていくことができます。
また、送信したメールに対してのユーザー開封率を見ることもできます。
全体の流れ
以下のステップで、WebサイトでのCVからユーザー対応まで自動化します。
- Webサイトでユーザーがコンバージョンする
- 連携してメールを受け取る
- データシンカーがメールからユーザー情報をkintoneにレコードとして登録する※
- 「レコードが登録時にメールを送信する」をトリガーとしてkMailerがメールを送信する
※Webサイトでのコンバージョン時にAPI連携が可能な場合、
データシンカーは不要で、直接kintoneのAPIと連携することも可能です。
設定ステップ
1. kintoneの準備
kintoneに新規アプリを作成します。このアプリでは、必要なユーザー情報のカラムフィールド(例:氏名、メールアドレス、コンバージョン日時など)を追加します。
2. データシンカー for kintoneの設定
データシンカーの設定画面で、受信するテキストメールから必要な情報を抜き出し、対応するkintoneのカラムフィールドに連携させます。json形式で"開始単語"、"終了単語"などが指定ができます。
ここの設定を書くのは少し大変なのでGPTにメールを見せて自然言語で依頼する方がいいです。
3. kMailerの設定
kMailerの管理画面で、kintoneのレコードが新規作成された際にトリガーとなる通知設定を行います。メール送信のテンプレートを作成し、必要に応じてメール本文にkintoneフィールドの情報を動的に挿入します。
費用について
初期費用とランニングコストを以下にまとめました。
イニシャルコスト(初期):100,000円(税抜)
- kintone:0円
- データシンカー:100,000円
- kMailer:0円
ランニングコスト(1年間):463,600円(税抜)
- kintone:90,000円※
- データシンカー:100,000円
- kMailer:273,600円
- 月額コスト:(イニシャル + ランニング)÷ 12ヶ月 = 46,966円(税抜)
※kintoneは今後若干値上がるそうですが2024/7の最低金額を記載しています
スタンダードコース1,500円✕5名(最低利用人数)✕12ヶ月間
設定紹介(一部)
- データシンカーは例えば、CV時に下記のようなメールが来る場合、
下記の内容で新規のお問い合わせがありましたので、ご確認お願いします。
氏名(漢字): 山田 太郎
氏名(かな): やまだ たろう
電話番号: 090-1234-5678
メールアドレス: taro.yamada@example.com
引越し元住所: 東京都新宿区西新宿2-8-1 新宿センタービル 25階
お手数をおかけしますが、対応のほどよろしくお願いいたします。
下記のような設定をjsonとして登録することで、
電話番号の「090-1234-5678」だけを抜き出し、
kintone上のフィールドID"phoneNumber"へと連携することが可能です。
{
"mail_header": {},
"mail_body": {
"body_extract": [
{
"field_code": "phoneNumber",
"input_data": {
"right_extract": {
"keyword": "電話番号:",
"start": 0,
"end_word": "\n"
}
}
}
]
},
"attached_file": {}
}
具体的には、「電話番号:」というキーワードを見つけ、
それ以降の文字列を改行(\n)に到達するまで抽出するということです。
- kMailerの送信条件は下記のように設定可能です。
問答無用でレコード追加時にメール送信することもできますが、
上記画像のように、[電話番号]フィールドが空ではない = 電話番号ありユーザーにのみ設定したメールを送信することも可能なので、ユーザー属性に合わせた最適なメールを送ることもできますね!
まとめ
個別開発のシステムに比べれば圧倒的に安く、
比較的スグに導入可能です。
メール単体だとサイト側にメール送信する機構が存在する場合もあるので
費用対効果が薄いですが、セグメントに最適なメールを送りたい場合や、
kintoneを用いた顧客情報管理も行いたい場合には非常に便利です。
ただし、
データシンカーの連携に数分のラグが発生することや、
kMailer自体には受信メールの閲覧機能がないため、
確認・返信には別途メーラーが必要になる点にはご注意ください。