基盤地図情報サイトで1mメッシュのDEMデータの公開が始まっています。1mメッシュのDEMをダウンロードして遺跡立体図(永惠2024)を作成する手順です。
ここで紹介する手順は永惠裕和さんの「遺跡の地形判読・記録のための、遺跡立体図・縄張図の作成」の手順に沿った再現手順です。気前よく手順を公開してくださった永惠さんに感謝いたします。
基盤地図情報のダウンロード
基盤地図情報サイトから基盤地図情報ダウンロードページへ進みます。
- 「検索条件指定」→1mメッシュ
- 「選択方法指定」→地図上で選択
白抜きのメッシュが1mメッシュが公開されているところで、グレーアウトしているところは未公開図幅
- 必要な図幅を選択して、「ダウンロードファイル確認へ」をクリック
- 図幅は複数選択できる
PackDLMap.zipというファイルがダウンロードされるので解凍します。
解凍するとさらにzipファイルとxmlファイルがいくつかできます。使うのはzipファイルです。
QGISでGeoTIFFに変換する
「Quick DEM for JP」というプラグインを使用します。インストールされていない方は「プラグインの管理とインストール」からインストールしてください。
「プラグイン」→「Quick_DEM_for_JP」→「Quick_DEM_for_JP」
3点リーダーをクリック
右下が「*.zip」になっていることを確認して解凍したディレクトリに入っているzipファイルをクリックします。複数の図幅をまとめて読み込むこともできます。
ファイル名を入力して「保存」
CRSを選択して「OK」クリック
処理が始まります。1図幅あたり数分かかると思います。
処理が終わると、DEMが表示されます。
新たな地形指標を作成する。
傾斜と曲率
まずは「プロセッシングツールボックス」を開きます。
「GRASS」→「Raster(*.r)」と進みます。
下の方にある「r.slope.aspect」を選択します。
なお、永惠さんはSAGA GISを使用されていますが、2025年2月10日現在、私の環境ではSAGA GISをQGISから利用することができませんでした。「Processing Saga NextGen Provider」を使う方法もうまくいっていないので、代替方法を紹介します。ここではLongitudinal Curvetureの代わりにProfile Curvetureを使用します。2つの曲率はいずれも傾斜方向の断面の曲率で、細かい違いはありますがおよそ似たものと理解できます。)
- 「Elevation」→GeoTIFFファイルのレイヤーを指定します
- 「Format for reputing the slope」→「degrees」
下の方にスクロールします。
- 「Slope」と「Profile curvature」の「アルゴリズムの終了後に出力ファイルを開く」にチェック
- 「実行」をクリック
このようなものが出力されれば成功です。
なお、このままではQGISを終了するとデータが消えてしまうので、レイヤーを右クリック→「エクスポート」→「名前をつけて保存」からデータを保存してください。
地形起伏指標
「ラスタ」→「解析」→「TRI(Terrain Ruggendness Index)」と進みます。
以上の手順で、DEM、slope、profile curvature、TRIの4つのレイヤーが生成されれば完成です。
地図の見た目を整える
標高データ
標高データレイヤをダブルクリックしてレイヤプロパティを開きます。
- 「レンダリングタイプ」→「単バンド疑似カラー」
- 「カラーランプ」→Spectral
- 「カラーランプを反転」をクリック
- 「モード」→「等間隔分類」
- 「分類数」→4とか5にする
- 「OK」
傾斜量
シンポロジタブを選択
- 「レンダリングタイプ」→「単バンドグレー」
- 「グラデーション」→「白から黒」
- 「混合モード」→「乗算(Multiply)」
透明度タブを選択
- 「不透明度」→75%
- 「OK」
Profile Curvature
シンポロジタブを選択
- 「レンダリングタイプ」→「単バンド疑似カラー」
- 最小値=-0.6 最大値=0.6
- 「カラーランプ」→「Blues」
- 「混合モード」→「乗算(Multiply)」
透明度タブを選択
- 「不透明度」→75%
- 「OK」
TRI
- 「レンダリングタイプ」→「単バンド疑似カラー」
- 「カラーランプ」→「Reds」
- 「混合モード」→「乗算(Multiply)」
透明度タブを選択
- 「不透明度」→75%
- 「OK」
完成!!
以上で完成です。
ここは箱館戦争遺跡として知られる二股台場周辺ですが、鶉山道を遮断する2つの大きな塹壕は十分に目視確認できます。
こちらは二股沢川に面した鉱山の火薬庫跡がよく見えます。
ここは斜面崩壊の痕跡でしょうか?
まとめ
眺めていると興味がつきない遺跡立体図です。紹介した手順は長いようですが、慣れればどなたでも簡単にできますので、ぜひ、「お家フィールドワーク」を楽しんでください。