2021/12/30 に AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP) を受けて合格したので、僭越ながら体験記を記しておきます。
なお、この記事の目的は「模擬試験スコアが大きく下回っていても合格できるんだ」ということを知ってもらい、合格を目指す皆さんに勇気を与えられれば、というものです。
スコア
852/1000 でした。
合格ラインが 750 だったので、学習期間や模擬試験結果を考慮するとまずまずの結果だったと思います。
前提スペック
AWS 歴は 3~4 年くらいです。
ちょうど自分が中心メンバーとなってサーバレスアプリケーションを設計・開発・リリースした経験があり、なんとなく DevOps の概念がわかってきたかなーくらいのレベルです。
ただしほとんどの期間はサーバレスアプリケーションの開発に携わっていたため、知識がだいぶ偏っています。
(EC2 とか VPC とか実務経験はほぼないです・・・)
そんなバックグラウンドですので SAA も一度落ちています。
DOP の試験範囲でいうと、Auto Scaling, ECR, Elastic Beanstalk, OpsWorks, Trusted Advisor, Config, GuardDuty, Inspector, Organizations, Athena や EMR などのアナリティクス系サービスに関しては触ったこともないレベルでした。
なお、AWS 認定は今回の DOP 取得も含めると 3 つ持っており、今までのスコア履歴は以下のようになっています。
(後述するように、2021 年に弊社の「AWS 認定資格取得キャンペーン」があったため 2021 年後半に集中して受験しています)
日時 | コード | 試験名 | 評価 | スコア |
---|---|---|---|---|
2019-07-15 | SAA-C01 | AWS Certified Solutions Architect - Associate | 不合格 | 695 |
2021-07-26 | SAA-C02 | AWS Certified Solutions Architect - Associate | 合格 | 751 |
2021-08-30 | DVA-C01 | AWS Certified Developer - Associate | 合格 | 905 |
2021-12-30 | DOP-C01 | AWS Certified DevOps Engineer - Professional | 合格 | 852 |
モチベーション
元々は会社で実施された「AWS 認定資格取得キャンペーン」がきっかけでした。
弊社では 2020 年より Skill Ownership 制度 という資格取得支援制度があり、試験に合格した場合は受験料の実費分が補助されるという制度があります。
2021 年 3 月〜12 月の期間は AWS 社からの支援もあり、AWS 認定を取得するとなんと標準受験料の約2倍の報奨金が出るというキャンペーンがありました。
以下のように認定を荒稼ぎするような人もいました。
なので自分も AWS を利用したサーバレス開発に携わる身として DOP、できれば SAP も取りたい!と思っていました。
しかし自分が担当していたプロジェクトが年末につれ忙しくなったり、家庭やその他プライベートでも色々とあって資格対策の勉強時間が取れず、諦めようとしていました。
そんなとき、9/28~30 に開催された AWS Dev Day でいただいた DOP 専用バウチャーが 2021/12/31 までだったので、やるしかない!とモチベーションを上げたときもありましたが、それでも本格的なアクションに移せませんでした。
12 月になり、ちょうど同僚が MTG 開始時の雑談で「DOP 受けます!」という話をしていたので、「○○ さんがやるなら僕も頑張ります」と乗っかりました。
学習期間
DOP 取得を志したのは8月末頃でしたが、学習開始できたのは12月中旬で、キャンペーン終了は12月末までだったので、学習期間は 2 週間程度でした。
(本腰入れて学習した日数だけでいうと、6日間くらいでした)
できれば2ヶ月、最低でも1ヶ月間は必要だと考えていたので、無理せずキャンセルしようかとも思いましたが、せっかく半額で受験できるので本番試験の経験を得るために落ちるつもりで受験しました。
学習内容
「とにかく模擬試験」でした。
8月末頃は以下の DOP 合格体験記を見てモチベーションを上げたり、
(他者の合格体験記)
「目的は『実務等に活かせるようになる』なので」などと意識高い系のセリフをほざいて Udemy のハンズオン講座を購入してみました。
この頃は Udemy と Black Belt 片っ端から見てくぞ〜!という気持ちでした。
しかし前述のように本格的な学習をスタートできたのが12月中旬だったので、体系的なキャッチアップは諦め、「試験対策」**(=出題傾向の暗記)**に徹することにしました。
具体的には、以下の2種類の模擬試験をやりました。
Udemy の模擬試験(全4回)
AWS 認定 DevOps エンジニア – プロフェッショナル (DOP-C01) 模擬試験
Udemy セールのときに購入してやりました。
全4回のスコアは以下のようになっています。
日時 | 評価 | スコア |
---|---|---|
2021-09-26 ~ 2021-12-15 | 不合格 | 46 % |
2021-12-20 | 不合格 | 41 % |
2021-12-28 | 不合格 | 56 % |
2021-12-30 | 不合格 | 56 % |
DVA 合格後にチャレンジしてみると、問題の難易度と問題文の長さの違いの心が折れそうになりました・・・
やり始めたのは9月末で、子供の送り迎えの時間に毎日コツコツと・・・やるつもりでしたが、色々忙しくなって回答途中にも関わらず2ヶ月以上放置してしまいました。
流石に試験2週間前でスコア 46 % を取ったときは絶対ムリだと思いました。
試験内容の所感としては、問題が少し古いように感じました。
(OpsWorks とか結構出てくるけど、本番では1問も出なかったような・・・)
あと私は実務で触ったことないのですが、Elastic Beanstalk を結構推しているように感じました。(これは本試験でもまあまあ出ました。Blue/Green デプロイ関連とか)
また、英語のオリジナル問題を翻訳してきたのか、不自然な日本語の問題が複数ありました。
ただ、いくつかの問題はそのまま本番の試験にも出てきました。(CodeCommit? CodeBuild? のポリシーの意味や、複数部署開発時の CloudFormation のベストプラクティスなど)
4回解き終わると、大体の出題範囲・回答の傾向が分かり、消去法で2択くらいまでは絞ることができるようになりました。
4回目の模擬試験は当日の朝6時から開始し、試験時間の5分前まで答え合わせをしていましたが、諦めずにあがいてよかったです。
今思うと、Udemy の模擬試験は本番試験より「複数回答」を選ばせる問題が多く出題されていたため、模擬試験ではあまりスコアを取れなかったのかもしれません。(精神衛生上悪い・・・)
AWS 公式模擬試験
タイミングよく、勉強期間中に AWS 認定の公式模擬試験が無料で提供されるようになりました。
全20問しかありませんでしたが、Udemy の問題の傾向と大分毛色が違ったように見えました。
なるほど、こっちがホンモノかと。
これは合格を目指す人は全員受けたほうがいいなと思いました。
なお、スコアは 45 % でした
(Udemy 模擬試験の第1回と第2回の間に受験しました)
試験当日
そんなこんなであっというまに試験日となりました。
試験2日前には、私が受験するきっかけとなった同僚の合格報告も入ってきました。
自分も続こうと、わずかな可能性にかけて挑みました。
ピアソン Vue の自宅受験 を利用して受験しました。
試験リリース直前で OnVUE.app がフリーズしたりするトラブルがあり、試験開始は30分以上遅れました。
(私は今まで Macbook Pro 2020 (32 GB) を利用して 3/3 回フリーズしてるんですが、みなさんどうですか?おま環?)
当日睡眠時間を削って過去問を1回やっていたこともあり、集中力はすぐに切れました。
20問解き終わり、40分経過したくらいで頻繁に意識が飛ぶようになりました。
3分程度仮眠を取ったりしながら、気合いで何とか解き終わりました。
75問解き終わったのはラスト5分を残した頃で、見直しのチェックは半分以上(40問ほど)ついていました。
見直す時間は全然足りませんでしたが、睡眠不足によるケアレスミスが怖かったので、タイムオーバーまで見直しをしていました。
時間いっぱい使い切り、3分程度のアンケートに回答し、祈りながら、半ば諦めながら試験終了ボタンを押しました。
「おめでとうございます。合格です。」の文字が見えたときは思わず「よっしゃぁ!!!!!」と叫んでしまいました。
何が起こるか分からないものですね。
無性にスラムダンクが読みたくなりました。
なお、上述しましたがスコアは以下の通りでした。
その他 Tips
参考になるか分かりませんが、工夫したことについて五月雨式に列挙してみます。
モチベーションの継続
ゆめみ片岡さんの「95%の習慣化達成率を実現する方法~ハビットエンジニアリング~」でいう「コミュニティの力」を活用しました。
(Atomic Scrum 個人の生産性を最大化する方法 のように講演スライドは公開されていないようでした・・・名講演だったので残念・・・)
- 受験を志したら宣言する
- 受験申込みをしたら報告する
- 少しでも勉強したら報告する
- 模擬試験の結果が人には見せられないスコアだったとしても公開する
という感じで活動報告を投稿していきました。
どんな内容でも誰かしらリアクションをくれたので、モチベーションに繋がってました。
なお、コミュニティは社内 Slack の times、および社内の AWS 認定挑戦コミュニティを活用しました。
AWS 認定挑戦コミュニティは 2021 年 7 月頃に自分が有志数人を巻き込んで立ち上げた Slack チャンネルで、2022 年 1 月現在では 54 名の人がチャンネルに参加してくれています。
AWS 認定に関する勉強会情報やアップデートがあれば共有されたり、勉強記録が報告されたりと、「仲間がいる」感がして心強かったです。
なお、人事の方に確認したところ、
- 「AWS 認定資格取得キャンペーン開始 〜 チャンネル誕生」期間中(2021/03 ~ 2021/06)の合格申請: 4.667 件/月
- 「チャンネル誕生 〜 AWS 認定資格取得キャンペーン終了」期間中(2021/07 ~ 2021/12)の合格申請: 11.167 件/月 (上記より 2.39 倍)
だったそうです。
駆け込み需要などの要因は強そうですが、多少は「コミュニティの力」が貢献したのかもしれません。
選べる試験日が少ない時
試験監督者を英語話者にすると、直前でも予約できたりします。
私はキャンペーン終了ぎりぎりまで勉強したかったのですが、監督員が日本語話者だと 12/28 までしか選択できませんでした。
英語話者を選択すると 12/31 まで選択できました。(試験自体は日本語で実施できます)
監督員とは基本的にチャットでのやり取りですが、トラブルがあると話しかけてきたり、国際電話がスマホにかかってきたりします。
私は OnVUE.app のフリーズ、家のネットワークの一時的切断により2回ほど試験中断した関係で3名と話したのですが、"Could you speak slowly?" と拙い英語で喋ったらゆっくり分かりやすい単語を使って話しかけてくれ、なんとかコミュニケーションを取ることはできました。
(自宅受験が3回目で要領を得ていたからということもあると思います)
なお、何名かは話し方にインド訛りを感じたので、時差対応も兼ねて試験監督員は世界中にいるのかなと推測しています。
試験時間対策
試験時間180分に対して75問を解くためには、単純計算で1問にかけられる時間は 2.4 分です。
問題文が短いときは1〜2分で回答して貯金を作ることもできますが、問題文が長い or 問題が難しいと3分以上経っても分からないことがあります。
「3分以上経った場合は見直しフラグを付けて次に進む」というようなルールを決めて運用する方がよさそうです。
あと「最後の 2 択まで絞れてその先がわからん」とか、どう考えても分からない場合は勘で選択し、見直しフラグを付けてあとで戻ってきましょう。
睡眠対策
睡眠不足だと辛いです。
私は当日4時間睡眠だったため、眠気防止でやむなくレッドブルを飲んで臨みましたが、開始後30〜120分の間では一問ごとに30秒ほど意識が飛んでいました・・・
最低6時間、可能であれば7時間以上睡眠を取って臨みましょう。
個人的には午前中に受験した方がサーカディアンリズム的に眠くなりにくい気がしています。
トイレ対策
ピアソン VUE のオンライン受験では、いかなる理由でも試験中は受験用 PC の席から立ち上がったり、離れたりすることは認められていません。
Peason VUE オンライン試験: Amazon Web Services (AWS) | AWS 認定「受験スペースの準備」 > 「試験の際のアドバイス」
試験規則/試験の際のアドバイス
試験規則
あらゆる面で問題なく受験できるように措置を講じていますが、規則が守られない場合は試験を中止します。ウェブカメラの撮影範囲内にいる状態を維持してください
立ち上がって歩き回ることはできません
他の人が試験中の部屋に立ち入ることはできません
試験中は部屋から離れることはできません
・・・(中略)
これには、トイレの利用やその他の休憩の場合も含まれます。
180 分(試験開始前後の諸々の手続きも含めると200分以上)もの間トイレにいけないとは、死活問題です。
私は寒い時やカフェインを摂取するとトイレが近くなってしまいます。
寝不足でめちゃくちゃ眠かったのでカフェインを摂取したのですが、以下の記事を参考にカフェインの摂取は試験開始前3時間前までとしました。
カフェインの効果は飲んでから 2 時間~ 4 時間ほど継続します。飲んでからおおよそ 3 時間経過した頃が最大効果の時間帯になります。効果がほぼゼロになるには 5 時間~ 7 時間ほどかかるといわれています。
また、試験開始前には2回ほどトイレに行きました。
おかげでなんとか3時間強の長丁場であってもトイレへ行かずに済みました。
なお、お守りを二重にして身につけていたのはここだけの話です。
最後に
正直、合格はしましたが「試験対策」となってしまい、実践的な知識・スキルが身についたかと言われると疑問です。
なので真の DevOps Professional となるために、引き続き勉強に励んでいく所存です。
この記事の学習方法を皆様に推奨する気はありませんが、「模擬試験がこの程度の点数でも合格できるんだ!」というひとつのサンプルとして、受験への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
次は AWS Certified Security - Specialty を受けようかなと思っていますが、資格系の勉強はいったんお休みしてしばらく手を動かす系の学習にフォーカスしようと思います。
最後に、AWS Certificated DevOps Engineer Professional になれたのも、アクションのきっかけを提供してくれた弊社と AWS 社のおかげです。
多忙ながらも勉強を継続できたのはコミュニティの仲間達のおかげです。
この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました!!!