十数年前、開発しかやってなかったごろに競合という言葉を聞くと、システムがフリーズしてしまった「競合状態」しか浮かびませんでした。でも段々プロダクトの改善会議に参加するのちに、「他のところはどうなっている?」とよく聞かれるようになりました。
ウェブ開発の現場では、常に新機能の追加やUXの改善が求められますよね。そんな中で、自分たちのプロダクトが市場でどう位置づけられているのか、競合とどう差別化できるのかを理解するのが重要です。これが「競合分析」というやつです。今ごろのウェブ開発に携わるエンジニアにとっても身近な話題なので、競合分析の基本と活用方法をテック寄りに解説していきます。
競合分析って何?
そもそも何を分析ですかね?
簡単に言えば、自分たちが開発しているサービスと同じ土俵にいる他のプロダクトを調べ上げて、その特徴や強み弱みを把握するプロセスです。これで自分たちのプロジェクトの立ち位置や優位性が見えてきます。
エンジニアにとっての競合分析の意義
競合分析は単なる市場調査じゃありません。開発に直結する情報が得られる重要なツールなんです。
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技術トレンドのキャッチアップ
競合が採用している最新技術やフレームワークを知れば、自分たちの技術選定の参考になります。 -
UXの向上
他のプロダクトの機能やデザインを参考に、自分たちのサービスの改善点が見えてきます。 -
パフォーマンスチューニング
競合のサイトやアプリのパフォーマンスを分析して、自分たちのシステムの改善ポイントを洗い出せます。
競合分析のプロセスをひととおり終えたら、自分の得意・不得意のところがより鮮明にわかってくるので、次にどうするのか、判断材料として、とても役に立ちます。
競合分析の基本ステップ
1. 競合をリストアップ
まずは同じ市場のプロダクトやサービスを洗い出します。直接的な競合だけでなく、似たような機能を持つ代替品や新興のスタートアップも含めましょう。
例:
- タスク管理アプリを開発中なら、Trello、Asana、Jiraなどが競合になります。
- Google Keepなど、シンプルなTodoリストから高機能なプロジェクト管理ツールまで幅広く見ていきます。
ここ注意してほしいのは、あまり多くリストアップしすぎないこと。ご自分の知っているところからはじめて、周りの人間の意見と経験も聞きながらリストアップして5個か10個程度の競合リストアップできれば十分です。リストアップしすぎるとその分、分析しなければいいけないし、「分析麻痺」に堕ちる可能が大いになります。
2. 情報収集
次に、競合の以下の情報を集めます。実際に使ってみたり、公開データやユーザーレビューを見たりして調査します。
- 機能セット: 主要機能や独自の特徴は?
- 技術スタック: 使用言語、フレームワーク、DBは?
- UI/UX: デザインや操作性はどう?
- パフォーマンス: ロード時間やレスポンスの速さは?
- セキュリティ: データ保護や認証方法は?
3. データ分析
集めた情報を基に、競合の強みと弱みを評価します。これで自分たちのプロジェクトの優位性や改善点が見えてきます。
主に考えられる分析ポインととしては3つ
- 技術的優位性: 最新技術の採用でパフォーマンスやセキュリティを向上できないか?
- 機能の差別化: ユニークな機能で選ばれる理由を作れないか?
- UXの改善: UI/UXの見直しやユーザーフィードバックの反映ができないか?
4. 戦略立案
分析結果を基に、プロジェクトの戦略を練ります。新機能の追加、既存機能の改善、技術スタックの見直しなどが含まれます。
具体例:
- リアルタイムコラボレーション機能の追加
- パフォーマンスのボトルネック解消によるUX向上
- セキュリティ強化によるユーザー信頼の獲得
競合分析に使えるツール
効率的な競合分析には、ツールの活用が有効です。エンジニア向けのツールをいくつか紹介します。
- 技術スタック分析: BuiltWithやWappalyzer
- パフォーマンス分析: Google LighthouseやGTmetrix
- SEO分析: Ahrefs、SEMrushやKafkai
- UX分析: UserTestingやHotjar
一部カッコいい、一から作り上げるウェブ開発主義の皆さんをのぞけば、我々フレームワークって好きですよね?
競合分析を行うためのフレームワークもありますよ。PEST分析、SWOT分析、3C分析など、カッコいい名前の分析フレームワークばっかり。目的に応じて使えばいいと思います。
今回の投稿は、エンジニアのための競合分析の入門ということで、割愛しますが、興味がる方は「競合分析に使えるフレームワーク8選」という記事を読めばいいと思います。
実例:競合分析の活用
以前のプロジェクトでは、競合アプリを分析した結果、カスタマイズ機能の不足に気づきました。ユーザーフィードバックを集めてカスタマイズオプションを実装したところ、ユーザー満足度が大幅アップ。また、パフォーマンス分析ツールで競合アプリのロード時間問題を発見し、自アプリの最適化に成功しました。
ちょっと具体的な例をあげると、弊社のブログに投稿した「競合分析とは? 私が学んだ“自分を知る”ためのヒント」というお題の記事を読んでください。
継続的な分析の重要性
競合分析は一度やって終わりじゃありません。ウェブ技術やユーザーニーズは常に変化しているので、定期的に再評価し、新しいトレンドや技術を取り入れることが大切です。継続的な分析で、プロジェクトの競争力を維持できます。
競合分析は、エンジニアにとってもプロジェクト改善の強力なツールです。基本ステップを押さえれば、効果的な分析ができます。ぜひ活用して、あなたのプロジェクトをレベルアップさせてください。
まとめ
競合分析、難しそうに見えるかもしれませんが、エンジニアの視点で取り組めば、具体的で実践的なインサイトが得られます。技術面の改善やUX向上につなげるためにも、積極的にチャレンジしてみてください。