Tanzu Service Meshのトレース情報をAria Operations for Applicationsに転送する

三番煎じくらいな記事。
Tanzu Service Mesh(以下TSM)のトレース情報をAria Operations for Applications(以下AOA)に転送する方法は以下あたりに紹介記事がある。

• Enabling Distributing Tracing in TSM and Integrating with Tanzu Observability
• Tanzu Service Meshの分散トレーシングをWavefrontにフォワードする

ただ、細かい説明が記載されていなかったので、ここでは補足説明を付けながら試してみる。

TSMでIstioをインストールすると、istio-systemというNamespaceのConfigMapのistioの中に、以下のような設定を見つけられる。

data:
  mesh: |-
    accessLogFile: ""
    defaultConfig:
      discoveryAddress: istiod.istio-system.svc:15012
      proxyMetadata:
        ISTIO_META_DNS_AUTO_ALLOCATE: "true"
        ISTIO_META_DNS_CAPTURE: "true"
      tracing:
        zipkin:
          address: zipkin.istio-system:9411

address: zipkin.istio-system:9411は、Istioのドキュメントにある、--set meshConfig.defaultConfig.tracing.zipkin.address=<zipkin-collector-address>:9411の部分であり、これでZipkinへ転送する場合の送信先を指定している。
デフォルトではzipkin.istio-system、すなわちistio-system Namespace内のzipkinというサービスになっている。
このサービスを作成し、AOAのWavefront Proxyのアドレスを書いてあげることで、

Istio -> Wavefront Proxy -> AOA

という形でAOAにトレーシングデータが転送できるようになる。

最初に、Istioのトレーシング機能を有効化する。

$ kubectl edit cm istio -n istio-system
：（省略）
    enableTracing: true
：（省略）

次にトレーシングのサンプリングレートを100％に引き上げる

$ kubectl edit deploy istiod -n istio-system
：（省略）
        - name: PILOT_TRACE_SAMPLING
          value: "100"
：

最後に、Serviceを作成する。
Wavefront ProxyのServiceがインストール方法によって異なるため、確認しながら作成する。
Namespaceと名前を見つけ出す。

$ kubectl get svc -A |grep wavefront
tanzu-observability-saas   wavefront-proxy-tanzu                            ClusterIP      100.69.23.13     <none>         2878/TCP,9411/TCP                            9d

Tanzu Mission Control(以下TMC)のIntegration機能を使うと、上記のようなNamespaceと名前で作成される。
次にServiceを作成する。TMCのIntegration機能を使っていない人はexternalNameで指定するServiceの名前が変わる点に注意。

cat << EOF | kubectl apply -f -
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: zipkin
  namespace: istio-system
spec:
  type: ExternalName
  externalName: wavefront-proxy-tanzu.tanzu-observability-saas.svc.cluster.local   
EOF

先程のistio-systemというNamespaceのConfigMapのistioの中のZipkinの参照先がzipkin.istio-system:9411だったため、zipkin.istio-systemの通信をwavefront-proxy-tanzu.tanzu-observability-saas.svc.cluster.localに転送する形でexternalNameで作成する。
なお、wavefront-proxy-tanzu.tanzu-observability-saas.svc.cluster.localは上でのkubectl get svcの結果を見ると分かるが、デフォルトで9411ポートを利用しているので、ポートの変換などはせずにそのまま利用できる。
また、Serviceを作りたくない人は、istio-systemというNamespaceのConfigMapのistioの中のaddress: zipkin.istio-system:9411を直接wavefront-proxy-tanzu.tanzu-observability-saas.svc.cluster.localに書き換えても動作する。

Service作成後、しばらくするとAOAのApplications -> Operation DashboardなどからZipkinというApplication名でトレース等が確認できるようになる。