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Unityで認識した平面をポータル化して異世界を覗く【ARFoundation編】

Last updated at Posted at 2019-09-08

##壁の向こうの異世界

##はじめに
本記事はUnityのARFoundationを使用して、現実空間で認識された平面越しに異世界(AR空間)を表示する仕組みの備忘録になります。

現実空間に空いた穴越しに別の世界が見えたり、その中に入り込んだりできるAR表現はポータル表現と呼ばれています。
ポータルの実現方法としては、どこでもドアのようなアーチ型のオブジェクトを現実とAR空間の境界にするものや、認識した画像マーカーの奥にAR空間を表示するものなどがあります。
参考:UnityとARKitで異世界への扉(ポータル)を作る方法

本記事で紹介するのは、あらかじめ用意した画像マーカーなどではなく、認識された平面領域全てを異世界を覗くポータルにする方法になります。
要素技術は、ARFoundationによる平面認識と、ステンシルバッファを用いた描画処理ですが、今回はARFoundationの導入から平面認識まで実装し、最後にポータル化の前段階として現実空間にAR空間を重畳して表示する所まで説明します。

平面の認識はUnity-ARKit-Pluginを使ったことはありましたが、ARFoundationは今回が初めての利用でしたのでインストールから説明していきます。ARKit3の機能がARFoundationで利用できるようになっている事もあり、今後はARFoundationを使っていくのが良さそうです。

##準備
###環境
・Unity 2019.1.5f1
・ARFoundation 2.1.3
・ARKit XR Plugin 2.1.1
・Xcode 10.3
・iOS 12.3.1 (iPnone7)

###ARFoundationの導入
Unity-ARKit-PluginはAssetStoreないしはbitbucketからダウンロードして導入していましたが、ARFoundationはUnityのPackage Managerから追加します。

  1. Unityで新規プロジェクトを作成
  2. Window -> Package ManagerからPackagesウィンドウを開く
package manager
  1. 「ar」で検索し、AR Foundation及びARKit XR Plugin(Androidの場合はARKit Core Plugin)をインストール
ar

以上でARFoundationの導入は完了です!

実装

平面領域の可視化

それではARFoundationで現実空間の平面領域を認識し可視化していきます。
単に可視化するだけならコンポーネントの追加だけで良いため、非常に簡単に実現することができます。

  1. MainSceneを作成してMain Cameraを削除
  2. Hierarchyを右クリックしてAR Session Origine及びAR Sessoinを作成
ar session 3. 同様に*AR Dafault Plane*を作成し、Prefab化してHierarchyから削除 AR Dafault Plane 4. *AR Session Origine*にAdd Componentから*AR Plane Manager*を追加 AR Plane Manager 5. *AR Plane Manager*の*PlanePrefab*にPrefab化した*AR Dafault Plane*をアタッチ 6. *DetectionMode*を*Everything*にして水平面及び垂直面の両方を検出 AR Dafault Plane

以上で平面の認識と可視化は完了です。手順は下記レポートを参考にさせていただきました。
参考:【VR/ARイベント】「Unity AR Foundation」講座の参加レポート

一旦ここまででビルドして動作を確認しましょう。

###ビルド設定
Edit > Project Settings > Player > iOS > Other SettingsRequires ARKit supportにチェックを入れると、カメラ使用のためのCamera Usage Descriptionに自動で文言が入力されます。
また、ARKitはiOS11からサポートのため、Target minimum iOS Version11.0以降にします。
これでビルドしたところ下記のエラーが出たためArchitectureUniversalからARM64に変更しました。

BuildFailedException: ARKit XR Plugin only supports the ARM64 architecture. See Player Settings > Other Settings > Architecture.

最終的な設定は下記の通りです。
Architecture

ビルドして辺りを見渡すと、下の動画のように認識された平面領域が表示されます!
default.gif

ここまでノーコーディングで実装することができるため、ARFoundationは非常に使い勝手が良いと思いました。
平面認識のAR Plane Managerの他にも、特徴点を表示するAR Point Cloud Managerや、画像トラッキングを行うAR Tracked Image Managerなどもあるので、用途に応じて試してみてください。

異世界の作成と表示

ステンシルバッファを用いて平面越しにAR空間を表示する前段階として、現実空間にAR空間を重畳して表示します。
冒頭の動画ではアセットストアのNature Starter Kit 2のDemoシーンのオブジェクトを使用しました。
下記の手順では、現実空間のみを表示するカメラと、AR空間のみを表示するカメラをそれぞれ用意し、二つの映像を重ねて表示する事で、現実空間にAR空間を重畳します。

  1. 空のGameObject ARWorldParentを作成し、平面越しに表示したいオブジェクトをARWorldParentの子として配置してAR空間を作成
ar world parent
  1. AR空間用のレイヤーARWorldを追加
layer
  1. ARWorldParentのレイヤーを追加したARWorldに変更
スクリーンショット 2019-09-01 18.07.43.png 変更時に下記のようなダイアログが表示されるので、Yesを選択して*ARWorldParent*以下の全てのオブジェクトのレイヤーも*ARWorld*に変更します。 alert
  1. カメラの追加と設定
    AR Cameraの子として新しくカメラWolrd Cameraを追加し、Clear FlagsDepth OnlyCulling MaskARWorldに変更します。
スクリーンショット 2019-09-01 18.27.02.png また、*AR Camera*の*Culling Mask*は逆に*ARWorld*を外します。 AR Camera

これで1で作成したAR空間のオブジェクトはAR Cameraには映らず、World Cameraにのみ描画されるようになるため、AR Cameraの映像の上にWolrd Cameraの映像を重畳する事で、現実空間にAR空間を重ねて表示する事ができます。
また、AR Cameraにはカメラ(スマートフォン)の6DOF(並進・回転)姿勢が自動で反映されます。Wolrd Cameraは親であるAR Cameraの姿勢に追従するため、下の動画のようにスマートフォンの移動に伴って、AR空間内のカメラも移動します。
move.gif

この状態では最初からAR空間全体が現実空間に表示されているため、異世界を覗くようなポータル表現にはまだなっていません。
次回はステンシルバッファを用いてARFoundationで認識した平面の領域のみAR空間が表示されるよう、平面領域をポータル化する方法について説明します!

Unityで認識した平面をポータル化して異世界を覗く【ステンシルバッファ編】」をお待ちください!

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