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Webアプリケーションをセキュアに、"Security Bundle"

Last updated at Posted at 2022-12-13

Symfony Component Advent Calendar 2022の14日目の記事です。

最初に

SymfonyはPHPのフレームワークのひとつです。しかし、公式サイトの説明文には

Symfony is a set of PHP Components, a Web Application framework, a Philosophy, and a Community — all working together in harmony.
(SymfonyはPHPコンポーネントのセットで、Webアプリケーションフレームワークで、哲学、そしてコミュニティです。それらがハーモニーを奏でながら動作しています。)

と書かれている通り、PHPコンポーネントのセットで、たくさんのコンポーネントを提供しており、それらを組み合わせてひとつのフレームワークとして動作しています。Symfonyのコンポーネントは、Symfony上だけで動作するのではなく、他のPHPフレームワークやアプリケーションでも動作している強力なものが揃っています。

今回はそれらの中から、役立ちそうなもの・お薦めしたいものを紹介していきたいと思います。

※記事内ではautoloadのインポートは省略します。

Webアプリケーションをセキュアに、"Security Bundle"

Security Bundleは、SymfonyにおおけるWebに関わるセキュリティ向上をサポートするコンポーネントです。特に、認証・認可の機能が有名です。

ちょっとボリュームが大きいので、今回は認証部分について紹介します。

インストール

composer require symfony/security-bundle

認証

認証、ざっくりいうとログイン機能に関してはFirewallというものが用意されています。このFirewallには認証に関わる設定や利用するクラスを設定することで、簡単に認証機能を用意することができます。

認証ユーザEntityとその他諸々の作成

まず認証ユーザを扱うためのEntityクラスと、それに関わるファイルをサクッと作ります。
Maker Bundleを使うことで、簡単に作成できます。
UserクラスはUserInterface, PasswordAuthenticatedUserInterface を実装しています。

bin/console make:user

Firewall設定

Firewallには、主に認証ユーザを取得する方法, パスワードの暗号方法, 認証する方法, 認証が必要な場所(正確には認可したユーザのみがアクセスできる場所) を設定します。

config/packages/security.yaml
security:
    # パスワードの暗号方法
    password_hashers:
        Symfony\Component\Security\Core\User\PasswordAuthenticatedUserInterface: 'auto'

    # 認証ユーザを取得する方法
    providers:
        app_user_provider: <- 設定名
            entity:
                class: App\Entity\User
                property: email
    firewalls:
        dev: <- 設定名
            pattern: ^/(_(profiler|wdt)|css|images|js)/
            security: false
        main: <- 設定名
            lazy: true
            provider: app_user_provider <- 利用するプロバイダ名
            form_login: <- 認証方法
                login_path: app_login
            login_throttling: <- ログイン試行回数
                max_attempts: 3
            # https://symfony.com/doc/current/security/impersonating_user.html
            switch_user: true

    # 認可したユーザのみアクセスできる場所
    access_control:
        - { path: ^/admin, roles: ROLE_ADMIN }
        - { path: ^/mypage, roles: ROLE_USER }
認証ユーザを取得する方法

providersに認証ユーザをどこから取得する方法を設定できます。デフォルトで4つのProviderを用意してあり、

設定名 取得箇所
entity DBから(Doctrineを使って)
ldap LDAPサーバから
memory 設定ファイルから
chain プロバイダの組み合わせ

が利用できます。主にentity, テストでmemoryを利用します。chainはちょっと特殊で、別途設定したproviderを複数設定することで、順番に取得を試みます。

config/packages/security.yaml
security:
    providers:
        db:
            entity:
                # ...

        memory:
            memory:
                # ...
        all_users:
            chain:
                providers: ['db', 'memory'] <- `db`で取得した後、ダメだったら`memory`で取得する

また、UserProviderInterfaceを実装したクラスを作って、独自のProviderを設定することもできます。

UserProvider.php

use Symfony\Component\Security\Core\Exception\UnsupportedUserException;
use Symfony\Component\Security\Core\Exception\UserNotFoundException;
use Symfony\Component\Security\Core\User\PasswordAuthenticatedUserInterface;
use Symfony\Component\Security\Core\User\PasswordUpgraderInterface;
use Symfony\Component\Security\Core\User\UserInterface;
use Symfony\Component\Security\Core\User\UserProviderInterface;

class UserProvider implements UserProviderInterface, PasswordUpgraderInterface
{
    public function loadUserByIdentifier(string $identifier): UserInterface
    {
        // 入力されたIDからユーザを取得する処理(代理ログインや、パスワード忘れなどで利用)
    }

    public function refreshUser(UserInterface $user)
    {
        // セッション内のユーザを取得して妥当かチェックする処理
    }

    public function supportsClass(string $class)
    {
        // このProviderの対象クラスかチェックする処理
    }

    /**
     * Upgrades the hashed password of a user, typically for using a better hash algorithm.
     */
    public function upgradePassword(PasswordAuthenticatedUserInterface $user, string $newHashedPassword): void
    {
        // パスワードを更新する処理
    }
}
config/packages/security.yaml
security:
    providers:
        my_provider:
            id: App\Security\UserProvider
パスワードの暗号方法

password_hashersに暗号方法を設定できます。デフォルトではautoが指定されていますが、この場合最もセキュアだとSymfonyが考えるアルゴリズムを選択してくれます。自分でsha256, sodium, plaintext(←超危険!テストの時だけ!) などを選択できますが、必要に迫られた時だけにした方が無難です。

認証する方法

firewallに認証する方法を設定します。上記の例であるdevはデバッグツールに対しての設定で、security: falseにより、ここは認証しないという設定になっています。

providerは先ほど紹介した、ユーザを取得する方法で設定したProvider名を指定することで、認証ユーザの取得先を設定できます。

patternは認証が必要な場所を設定できますが、基本的に認証をする方法が複数ある場合のみ設定します。(例:ユーザ画面と管理画面で別のProviderを使うときなど)

switch_userですが、これはユーザ切り替え、いわゆる代理ログインができるようになります。

さらにどのように認証するか設定する必要がありますが、SymfonyではAuthenticatorというものを使ってユーザ認証します。Authenticatorはいくつか用意されているものがあり

設定名 概要
form_login フォームからログイン
json_login APIでjsonを送ってログイン
http_basic Basic認証でログイン
login_link ログイン用のURLを発行しててログイン
access_token アクセストークンでログイン
x509 公開鍵でログイン
remote_user REMOTE_USERヘッダでログイン

さらにAbstractAuthenticatorの子クラスを作ることで、独自の認証方法を用意することができます。
くわしくは以前書いたこちらの記事をご参照ください。
(書いててよかった)

認証したユーザを取得する

認証方法を介して認証したユーザはSecurityオブジェクトからUserInterfaceオブジェクトとして取得できます。さらに、AbstractControllerの子クラスの場合は、さらに簡単に取得できます。

SomeClass.php

use Symfony\Bundle\SecurityBundle\Security;

class SomeClass
{
    public function __construct(private readonly Security $security)
    {
    }

    public function invoke()
    {
        $user = $this->security->getUser();
    }
}
UserController.php

class UserController extends AbstractController
{
    public function detail(): Response
    {
        $user = $this->getUesr();
    }
}

まとめ

今回はSecurity Bundleをご紹介しました。
ここまで(かなり端折ったのにも関わらず)長く説明してきましたが、実際使うときはSymfonyが用意してくれた設定を選んでsecurity.yamlに書き込めばサクッと認証機能が作れるので、思っている以上に簡単に認証できるようになります。

他にも認可CSRFLDAPなどの機能もあります。詳しくは公式ドキュメントをじっくり読んでみてください!

(思った以上にボリュームがあったので、別途認可の記事をこっそり書きます。)

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