親指シフト入力方式について
日本語入力方式として、まずはローマ字入力、かな入力はご存知だと思います。そして第三の入力方式として、親指シフト(NICOLA)があります。
親指シフトは1979年以降の富士通のワープロに採用されていたキーボードで、日本語を早く楽に入力できる方式であるとしてPC全盛の今でも根強いファンが存在します。
親指シフト入力を採用した高価な専用キーボードも存在しますが、エミュレータの登場により今では通常のJISキーボードで普通のユーザが気軽に試すことができます。
Linuxと親指シフト
WindowsやMacでは配列エミュレータソフトは数多くあり簡単に親指シフト入力環境が整えられますが、Linuxでは選択肢はあまり多くありません。
定番としては、日本語変換エンジンのAnthyを利用する方法があります。
AnthyはLinuxのディストリビューションで広く採用されている変換エンジンであり、変換エンジン本体に標準で親指シフト入力方式が搭載されています。
設定画面から入力方式を親指シフト(NICOLA)に切り替えるだけで親指シフトモードで入力可能です。
新たな親指シフトエミュレータ oyainput
このように手軽に親指シフトができるのは素晴らしいことですが、残念ながらAnthyは変換効率があまり良くありません。
変換効率で言えば、Mozcまたはlibkkcといった後発でより優れたIMEが登場しています。
最近のディストリビューションでは標準搭載される日本語変換エンジンはほぼMozc またはlibkkcとなっています。
加えて現在Anthyの開発は停滞しており、今後大幅に性能が強化されるかも不透明です。
つまり、親指シフトユーザとしては将来について不安が尽きない状況だったといえます。
この状況を変えるべく、Mozc や libkkc で利用可能な新たな親指シフトエミュレータとして oyainput が生まれました。
oyainputの特徴
oyainputは Ubuntu16.04LTS、Fedora25、suseLinuxなど主要なLinuxに対応しています。
インプットメソッド(fcitx、ibus)
fcitxもしくはibusを利用する場合は日本語入力中はキーボードが親指シフト配列になり、英語入力中は通常の英語配列キーボードになります。
uimなどその他のものも利用はできますが、英語←→日本語の切り替えに応じて親指シフトモードを自動で切り替えることはできません。
この場合は手動で親指シフト(日本語)モードと直接入力(英語)モードを切り替えることになります。
※切り替えはPauseキーを押すことで可能です。
日本語変換エンジン(Mozc、libkkc、Anthy)
日本語変換エンジンを選ばず利用できます。
つまりMozc、libkkc、もちろんAnthyでも利用できます。
インストール方法
gitが未インストールの場合は下記コマンドでインストールします。gccとmakeもインストールします。
sudo apt-get install -y git gcc make
作業用にホームディレクトリの下にworkというディレクトリを作成してみます。
$ cd
$ mkdir work
$ cd work
gitから最新ソースを取得します。
$ git clone https://github.com/inwskatsube/oyainput.git
メイクとインストールを行って完了です。
$ cd oyainput
$ make
$ sudo make install
起動方法
ターミナルから以下のコマンドを打てば起動します。
$ oyainput
便利な使い方
毎回起動のたびにコマンドを入力するのが面倒です。
Ubuntuをお使いの場合、Dashから「自動起動」と入力すると「自動起動するアプリケーション」設定ツールが見つかります。
「追加」を押して、以下の行をコマンドとして 設定すれば、次回からoyainputが自動で立ち上がります。
gnome-terminal -e oyainput
設定など
詳しいカスタマイズ方法については以下をごらんください。