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Livesense - 関Advent Calendar 2017

Day 25

「賢い大人」たちが発するメッセージは「一緒に考えよう」だけでいいじゃないか

Last updated at Posted at 2017-12-24

転職ドラフトチームのおいちゃんこと @inouetakuya です。リブセンス アドベントカレンダー 2017 - テーマ「関」 の 25日目として、「賢い大人」問題について書きます。

なんだ、その「賢い大人」問題とやらは?というのを説明する前に、つい先日、僕がやらかした失敗から。

失敗談

チームの営業企画的なポジションの人が、僕を含むエンジニア 2人に、次のプロジェクトの開発の話を持ちかけてくれたときのこと。

彼女がプロジェクトの「説明」をしてくれて、僕たちエンジニアがいくつか「質問」した。

あなた vs 私たち

わざわざ括弧を付けた箇所に注目してほしい。そう、これは「説明会」的なものの構図に似ている。言ってみれば「あなた vs 私たち」の構図。説明を受ける側と説明を聞く側。目指すべき「問題 vs 私たち」にはほど遠いものだった。

参考)問題 vs 私たち

image.png
https://www.slideshare.net/hiranabe/project-facilitation-at-kanazawarb より

話をもちろん漏らさずに聞いていたが、心に余裕が持てておらず、話を聞く人間として注意を払うべきことに払えていなかった。僕の表情はきっと硬かったし、目はきっと微笑んでいなかった。僕の目からは「僕は仲間だよ、大丈夫だよ」は伝えられていなかった。目が笑っていない僕からの「質問」は、おそらくその営業企画の人には「考慮漏れ」を「指摘」されたと受け取ったことだろう。

(後日、この営業企画の人と 1 on 1 をする機会があって、このときのことを直接詫びた。上の「考慮漏れ」を「指摘」されたと受け取ったことだろう、の箇所はおよそ当たっていた)

最初からあらゆるケースを想定して提案できる人なんていない。どうしてあのとき「一緒に考えましょう」とできなかったのか。

「賢い大人」問題とは

偶然というのは起こるものだ。その日にたまたま見つけた記事は僕の胸の痛いところを突いてきた。「賢い大人」というフレーズはここから借用した。

ブレーキをかけるのは、往々にして経験の多い「賢い大人」たちだ。彼らは「とにかく始める」というような安易なまねはしない。失敗したときのしっぺ返しを知っているからである。

ある優良日本企業で若手社員と未来事業のビジョンをつくったことがある。そのビジョンを社長に答申した際の言葉が忘れられない。

社長は「私だって新規事業は立ち上がってほしい。だから、君たちの案がどれだけ確実に事業となるのか、私を納得させてもらいたいのだよ」と言った。

つまり「賢い大人」というのは、知識や経験があって、他の人の提案や行動などの「リスク」や「考慮漏れ」を見つけることができる人のことを指す。そして、賢い大人の振る舞いによって、勢いが殺されてしまう現象を「賢い大人」問題と名付けた、いま。

勢いを殺された人間はどうなるか

勢いを殺された人間はどうなるか。学術的な話はここでは求められていないと思うので主観で書くが、自分の場合は、まず間違いなく、有限で、貴重な、モチベーションが削られる。そして、次回からその人に話をするときは身構えるようになる。

(大事なことなのでもう一度書くが、勢いの背後にある、人間のモチベーションは、有限で、貴重な、リソースなのだ!)

準備に多くの時間を割き、自分の中ではパーフェクトという状態になってから臨む。「素早く失敗し、素早く修正する」の精神はどこか遠くへ。成功も遠ざかってしまう。

「一緒に考えよう」を目指す

それでは、リスクや考慮漏れを見つけた「賢い大人」は、どうすればよいのか。

まずは提案や行動の勇気を讃えよう、肯定しよう。そして、口、表情、視線、身体の向き、空気、すべてで「一緒に考えよう」と伝えよう。話はそれからだ。

「一緒に考えよう」を伝えるのは難しいときもある。指摘よりも代案。否定文より肯定文。「走っちゃダメ」より「ゆっくり歩こう」。分かっちゃいるけど、ついつい逆をやってしまうことがある。

それでも、目指すことだけは忘れずにいたい。

参考書籍

大事なことは姿勢やマインドだと思う。しかし知識や技術があると心強いときもあるので、参考文献を 2つ紹介したい。

問題 vs 私たち

場にいる全員が「批評」という技術を身に付けていると、「問題 vs 私たち」で建設的に話を進めていきやすいと思う。

前職の GMO ペパボでは、デザイナー全員が下記の本を読むようにしていた。デザイナー以外でも多くの人が読んでいた。

デザインに限らず「批評」の技術を学ぶうえで大変お薦め。

心理的に安全な場をつくる

このエントリーの背景には「不確実で変化の早い環境において成功するには、素早く失敗して、素早く学習し、素早く修正すべし。素早く失敗するためには、失敗しても他の人から罰せられたり評価を下げられたりすることがないと思える、心理的に安全な場が必要」という考えがある。下記の本が詳しい。

おわりに

大事なことなので、もう一度。勢いの背後にある、人間のモチベーションは、有限で、貴重な、リソースなのだ。無責任に奪ってよいはずがない。「賢い大人」が発するメッセージや姿勢は「一緒に考えよう」だけでいいじゃないか。話はそれからだ。

そして、願わくば、勢いのある人間側にまわりたい。

僕はいつも、勢いについて考えるとき、サン・テグジュペリの『夜間飛行』を思い出す。主人公リヴィエールの言葉を引用して終わりたいと思う。

何をぐずぐずしているんだろう!そんなことなんかすべてことごとく償うてなおあまりある大事なことがあるのだ。生命力のあるものは、生きるために、創造するために、自らの法律を生活するために、あらゆるものをけちらかすものなのだ。それは防ぎようのないことだ

やっていく。一緒にやっていこう。

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