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チームメンバーのスキルアップ ドラクエ3の世界だったら

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<この記事を読んで欲しい方>
※30代前半から40代後半にかけて、育成を担当している部下や後輩がいる方
※この記事では、育成する側を一律「上司」、育成される側を「部下」と表現することにします。
※具体的なチームビルディングやコーチングの手法を知りたい方は、「コーチング」でググってください(なかやまきんに君ふうに)

#ドラクエ3を皆さんはプレイしたことがあるでしょうか
例に出している時点で世代がばれますが。
ドラクエ3の面白いところは、パーティーメンバーの職業を自分で選べるところですよね。

初めのルイーダの酒場で、職業はもちろん、名前を決めるところからワクワクしますよね。
魔王討伐まで苦楽を共にするメンバーなので、
勝手にキャラ設定を妄想したり、
ちゃんと理想的なステータス向上してくれるかな
。。。とか期待したり。
ドラクエ旅立ち.JPG

パーティを組んで、序盤にレベル上げをするところあたりは、「これから冒険をはじめるぜ!」感MAXですよね。

てれれてってってー XXXXはレベルが1あがった!
HPが1あがった!

**「HP1かよ!もうちょっとあがってよ!」**みたいな経験があるんじゃないでしょうか。

↓これはテンション上がる感じですよね。序盤で2桁は嬉しい!
ドラクエレベルアップ.JPG

で、ほとんどの人は、ある程度バランスを考えてパーティ編成すると思います。

勇者、戦士、僧侶、魔法使い(べったべたなパターン)とか。

物理攻撃担当、回復担当、みたくバランスを考えると思います。

物語をすすめていき、初めて賢者に転職できたときは、脳汁でまくりですよね。
「全ての呪文使えるぜ!」みたいな。

さて、この記事では、ドラクエ3の楽しさを伝えたいわけではありません。

ちょっとドラクエ3を思い出してもらったところで、、、
#組織におけるメンバーのスキルアップについて、考えてみました

とある育成したいメンバーが、ドラクエで言いうところの戦士タイプだったとします。
つまり、攻撃力特化です。素早さが低く、魔法は一切使えません。

技術部の方であれば、こんなイメージが近いと思います。
・特定の分野では、鬼のような知識とスキルがあり、お客様の期待値をはるかに超える品質・納期で実装できる。
・ただ、1人でやるのが得意で、チームとのコミュニケーションは苦手。

営業部の方であれば、こんなイメージが近いと思います。
・とにかくお客様とお話しすると、ほぼ確実に成約してくる。ものすごい営業力!
・ただ、会社で決められた経費精算システムやCRMへの登録を忘れがち。

またドラクエに戻りますが、育成したい戦士が、こんな風になったらいいなと思うんじゃないでしょうか。
・攻撃力はそのままに、素早さも上げよう!
・別にバイキルトやメラゾーマを使えるようになれとはいわないけど、ベホイミぐらいは使えてほしいな!

もう、理想の戦士ですよね。
ドラクエレベル99せんし.JPG

育成を考えるとき、足りないところに目がいきがちです。
それ自体は悪いことではないと思います。

上司としても、「攻撃力一本鎗だったあの人が、めっちゃ素早くなりました!さらに呪文も使えるようになりました!」となれば、「育成してやったぜ感」は凄いと思います。

周りからも、すげーと思われやすいでしょう。

なにせ成長した部分がわかりやすいですから。

ただ、それは上司としての自己満足が入っていませんか?
自分(上司)の評価を優先していませんか?
ということを気を付けなければいけないと思っています。

独りよがりにならないためには、3点、大事なことがあると思っています。

(1)得意・不得意や好き嫌いといった自分の特性・他己評価について、その部下は自覚があるか?
(2)スキルアップして欲しいことについて、部下本人が本当にそのようなスキルアップを望んでいるか?本当に組織として必要なスキルか?
(3)スキルアップの手段を部下本人が納得しているか?

これらが伴っていないと、会社にとっても本人にとってもハッピーではない状況になりかねません。

ここからは実際に、私が経験した失敗例と成功例を紹介させていただきます。
※身バレしないよう設定は一部脚色しています。

#やらかしてしまったパターン
とある営業部時代のメンバーがいました。
スタート地点は、ご本人の率直な意見でした。
「お客さんと話したり、きれいなプレゼン資料を作ったりするのは好き。
ただ、どうもチームメンバーとなじめない。会議とかの発言は苦手」

周囲の意見でも、「あの人はもう少しチームになじんで、積極的な発言があるともっと素晴らしい」という声がありました。

なるほど。

で、私が提案したことは、以下でした。
「チーム飲み会をしましょう!そこで、幹事をやってみましょう!
そうすれば、チーム内のプレゼンスも上がるし、話しやすくなるきっかけになると思います!」
※この話はコロナ前のことです。

ご本人は、「うーん、まぁやってみます」という感じでした。

で、実際にやってもらいました。

参加していた我々としては、「幹事ありがとう!」「色々話せてよかった!」と感じました。
私は成功したと思っていました。

が。

後日ご本人と振り返りの1on1をして感想を聞いたら、「正直、もうあーいうのはやりたくないです」とのこと。

単純に、嫌なことをやらせてしまった、ということで終わりました。

別に、飲み会の幹事をやってもらうという手段がダメ!ということではありません。

大事な3点の深堀りが足りていなかったことが原因です。

ご本人の「チームメンバーとなじめない」というのは、後日深堀りしたところ、こんな感じの意見でした。
・別にコミュニケーションが苦手だと思っているわけではない。←現状分析がまちがっている
・単に、笑いあったり愚痴りあったりと、フィーリングの合う人がいない。
・だから、特に今のチームでこれ以上仲良くなりたいと思っているわけではない。←スキルアップを望んでいない
・多少付き合いが悪い人と思われてるかもしれないが、業務上のブロッカーだとは思っていない。←組織として必須スキルではない

ということでした。

たしかに、普段の業務では特にコミュニケーションで問題になっていることはありませんでした。
それに、手段として「飲み会の幹事をやる」ことで、何が得られるのか?何を期待しているのか?
こういった説明をちゃんと言語化して伝えていませんでした。

大事なことがぜーんぶ抜けてました。

今思い出しても、申し訳ない気持ちになります。

#うまくいったんじゃないかなパターン
とあるカスタマーサポート(いわゆるコールセンター)のメンバーがいました。
スタート地点は、またしてもご本人の率直な意見でした。
「仕事自体は向いていると思う。サポートは好き。待遇にも文句はない。
ただ、電話だけはどうも苦手。クレームっぽい電話を受けたりすると、数日引っ張ってしまう。
メールは好きなので、メールだけやりたい」

なるほど。

コールセンターでは、サービスレベルが重要です。
電話をキャッチするまでの時間や、メールの対応速度などです。

これらを分刻みでコントロールするため、一通り全員がメールや電話をできるようスキルを平準化し、人員配置をリアルタイムで分ける必要があります。

平準化していないと、割り振りができませんので。
今はメール担当33%!電話担当67%!みたいな。

ドラクエに例えると、「おれ武闘家レベル75です!」「私魔法使いレベル80です!」と尖った感じより。
「どの職業特化ってわけでもないですけど、ある程度物理火力も戦士レベル40ぐらいありますし、ある程度呪文も魔法使いレベル30ぐらい使えますよ」という人。
こういった方が、組織としても人員配置しやすく、マルチに活躍いただけるわけです。

なので、「ただ電話がイヤだからメールだけしたい」っていうのは、組織の期待値にはそぐわないわけです。

ご本人は、好き嫌いはハッキリしているものの、会社には貢献したいし、向上意欲はあるし、苦手なことより得意な方を伸ばしたい、という指向でした。

で、ご本人と相談しました。
得意なこと、好きなことをやりつつ、会社にも貢献できる方法はなんだろうね、と。

話しているうちに、ご本人から質問がありました。
「メール担当を多めにやってる人っているじゃないですか。あれってどういう基準で選ばれてるんですか?」

たしかに、平準化が大事だと思いつつも、中には電話が得意、メールが得意という人もいるわけで、そういった方には得意な分野をまかせがちです。
ただし、それこそ「メールの早さと品質レベル99」ぐらいじゃないと、なかなか専任的にならないわけです。

ということを説明したら、「じゃあ自分は日本一になります!メールの早さも品質も!」とのこと。

それは、ご本人も会社もお客様もWim-win-winです。

じゃあスキルアップの方向性として、メールを最強になろう!と合意しました。

で、結果として、ガチで日本一になりました。
(もちろんコーチングのノウハウは意識して接しましたが、その内容は記事の本題ではないので割愛します)

早さに関しては通常の人の5倍の早さで対応してくれていました。す、すごい。。。

そして、それに対する対価として給料も上がっていき、非常に長く勤務してもらい、次のステップへチャレンジしていきました。

これは、3点がちゃんとできていたからだと思っています。

(1)得意・不得意や好き嫌いといった自分の特性・他己評価について、その部下は自覚があるか?
↑電話が苦手だし嫌だと自覚アリ メールは好きだと自覚アリ

(2)スキルアップして欲しいことについて、部下本人が本当にそのようなスキルアップを望んでいるか?本当に組織として必要なスキルか?
↑メールを伸ばしたい、と本人が望んだ。組織としても必要。

(3)スキルアップの手段を部下本人が納得しているか?
↑本人から言い出したのでもちろん納得

#むりやりまとめ
ここまで読んでいただいた方がもしいたらですが、言いたいことはわかります!

「そんなことはわかってるよ!部下の望むようにしてあげたいけど、自分だって中間管理職どまんなかで、部下の育成も評価項目に入っていて、プレッシャーがあるんだよ!」

わかります、わかります。
なんならもう一回わかります。

ただ、部下の方とスキルアップや将来のキャリア形成について、どのぐらい話しましたか?

月1回30分やってる?
それで十分な人もいるでしょう。

そうじゃない人は、何度でも話しましょう。
話を聞きましょう。
こちらも腹をくくって、「コミュニケーション=投資」だと思うこと。
(長い時だと4時間ぐらい1on1したことがあります。納得いくまで部屋からでない!部屋からださない!とお互いに思っていました笑)

そうすれば、必ず本人にも組織にもハッピーになるスキルアッププランがあります。

ドラクエ3を思いだしてください。
パーティメンバーのバランスが整ってる方が戦いやすいし、楽しいですよね。
ドラクエ戦闘.JPG

・・・と、つねづね自分に言い聞かせている、というお話しでした。

ドラクエは、色んなことを教えてくれますね。
ありがとう、ドラクエ3。

3回連続でアリアハン大陸を脱出する寸前で冒険の書が消えてしまい、心が折れたこともありますが、ありがとう、ドラクエ3。

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