内容
コスト、スケジュールの観点からプロジェクトの進捗管理する手法でEVM(アーンドバリューマネジメント)という手法があります。実際業務の中でも使用しているのですが本質を理解していない(この値がプラスならOK、この指標が1以上ならOKくらいの理解)。またプロジェクトマネジメント系の勉強をすると必ず出てきますが、毎回良く理解しないまま進んでしまいました。プロジェクトマネージャー試験を受けるにあたっては避けては通れないため、今回はなぜそうなるか、本質を理解出来るまで自分なりにかみ砕いて学習して内容をまとめました。
言葉の定義
- 予定タスク数:計画段階で定義したタスク数
- 完了タスク数:その時点で完了したタスク数
- 標準工数:計画段階で定義した工数
- 実際工数:実際にかかった工数
基本構成要素
PV(計画価値)
その時点までの計画予算(予定タスク数×標準工数)
AC(実コスト)
その時点までに実際に発生したコスト(完了タスク数×実際工数)
EV(達成価値)
その時点までの出来高(完了タスク数×標準工数)
予算管理の指標
SV(スケジュール差異)
①の箇所でEV-PVで求める。
EV(完了タスク数×標準工数)-PV(予定タスク数×標準工数)=(完了タスク数-予定タスク数)×標準工数となる。
(完了タスク数-予定タスク数)の箇所に着目すると完了タスク数の方が多い場合は正の値に、少ない場合は負の値となる。従ってこの値が正の値であればスケジュール通り進んでいる。
CV(コスト差異)
②の箇所でEV-ACで求める。
EV(完了タスク数×標準工数)-AC(完了タスク数×実際工数)=(標準工数-実際工数)×完了タスク数となる。
(標準工数-実際工数)の箇所に着目すると標準工数の方が多い場合は正の値に、少ない場合は負の値となる。従ってこの値が正であれば計画より少ないコストで収まっている。
SPI(スケジュール効率指標)
EV/PVで求める。
(完了タスク数×標準工数)/(予定タスク数×標準工数)=完了タスク数/予定タスク数となる。
従ってこの値が1より大きければ予定より完了タスクの方が多いため、スケジュール通り進んでいるとなる。
CPI(コスト効率指標)
EV/ACで求める。
(完了タスク数×標準工数)/(完了タスク数×実際工数)=標準工数/実際工数となる。従ってこの値が1より大きければ実際工数が予定していた工数を超えておらず想定通りのコストである。
プロジェクト予測の指標
例)期間Aの時点での予測
BAC(完成時総予算)
完成時の予算の合計なのでPVの合計値となり③で表される。
EAC(完成時総コスト見積)
ある時点での完成時の予算の合計見積でAC+(BAC-EV)/CPIとなる。まずAの時点のAC(実コスト)は実績として算出可能、これにこの時点から完了までのコスト見積((BAC-EV)/CPI)を追加する。
(BAC-EV)
BAC(完成時のPV)から現時点のEVを引く。すなわち現時点で残りの予算を表している。④で表される。
((BAC-EV)/CPI)
現時点での残りの予算をCPIで割っている。CPIはコスト効率指標で標準工数に対して実際どの位工数がかかっているかを表す。
- 1より大きい場合は標準工数>実際工数
- 1の場合は標準工数=実際工数
- 1より小さい場合は標準工数<実際工数
従って、現在までコスト効率指標で進んだ場合を前提として、残りのコスト見積をしている。
(AC+(BAC-EV)/CPI)
現在までの実績(AC)に残りのコスト見積((BAC-EV)/CPI)を足して、現時点での完成時総コスト見積を算出している。
VAC(完成時差異)
EAC-BACで求める。この値が正の場合現時点でのEAC(完成時の予算見積)がBAC(完成時の総予算)を超えており、現時点で予算を超過している。
TCPI(残作業効率指数)
BACやEACを達成するために必要なコスト効率(CPI)でTCPI=(BAC-EV)/(BAC-AC)で表す。
(BAC-EV)は(予定タスク数×標準工数)-(完了タスク数×標準工数)=(予定タスク数-完了タスク数)×標準工数となり残り作業を表す。(BAC-AC)は(予定タスク数×標準工数)-(完了タスク数×実際工数)となり残り予算を表す。残り作業を残り予算で割ることでどの位のコスト効率が必要かを算出する。