はじめに

Pybricks では BLE によるハブ間のブロードキャスト通信が可能です。

送信側のAPI

ブロードキャストのチャンネル設定

ハブのオブジェクトを作成する際に、ブロードキャストのチャンネル番号を設定します。たとえば Prime Hub の場合は次のように指定します。

hub = PrimeHub(broadcast_channel=1)

チャンネル番号は 0 から 255 までの値を指定できます。

データの送信

ハブの ble.broadcast(data) を使います。 data に送信するデータを指定します。指定できるデータは型 int, float, str, bytes, bool の値、もしくはそれらのタプルに限定されています。

たとえば、整数値 5 を送信するには次のようにします。

data = 5
hub.ble.broadcast(data)

受信側のAPI

リスンするチャンネルの設定

ハブのオブジェクトを作成する際に、リスンするチャンネル番号をリストで設定します。たとえば Move Hub の場合は次のように指定します。

hub = MoveHub(observe_channels=[1])

チャンネルはリストで複数指定できます。

データの受信

ハブの ble.observe(channel) を使います。 channel に受信するチャンネル番号を指定します。受信できた場合は受信データを返し、受信できなかった場合は None を返します。

たとえば、チャンネル１から受信する場合は次のようにします。

data = hub.ble.observe(1)

簡単な例

Prime Hubがどの向きになっているかを示す色を、Move Hub と Technic Hub に伝える例です。

送信側(Prime Hub を使った例)

from pybricks.hubs import PrimeHub
from pybricks.parameters import Side, Color
from pybricks.tools import wait

hub = PrimeHub(broadcast_channel=1)

sides = [
    Side.TOP,
    Side.BOTTOM,
    Side.LEFT,
    Side.RIGHT,
    Side.FRONT,
    Side.BACK
]

colors = [
    Color.RED, 
    Color.BLUE,
    Color.GREEN,
    Color.YELLOW,
    Color.MAGENTA,
    Color.VIOLET
]

# 検出した側を元に色を更新し続ける。
while True:
    # ハブの上になっている側をチェック。
    up_side = hub.imu.up()

    try:
        data = sides.index(up_side)
    except ValueError:
        data = -1


    # 検出した側を元に色を変更。
    if data != -1:
        hub.light.on(colors[data])
    else:
        hub.light.on(Color.WHITE)

    # 色を他のハブに送信
    hub.ble.broadcast(data)

    wait(50)

受信側１(Move Hub を使った例)

from pybricks.hubs import MoveHub
from pybricks.parameters import Color
from pybricks.tools import wait

# ハブを初期化。
hub = MoveHub(observe_channels=[1])

colors = [
    Color.RED, 
    Color.BLUE,
    Color.GREEN,
    Color.YELLOW,
    Color.MAGENTA,
    Color.VIOLET
]

while True:
    # 他のハブからのブロードキャストの受信。
    data = hub.ble.observe(1)

    if data is None or data == -1:
        # 過去1秒間にデータが受信されていないか、データ不正。
        hub.light.on(Color.WHITE)
    else:
        # データが受信され、かつ1秒未満の新しいデータ。
        hub.light.on(colors[data])

    # ブロードキャストは100ミリ秒ごとにのみ送信されるので、それ以上の頻度で
    # observe() メソッドを呼び出す理由はありません。
    wait(100)

受信側２（Technic Hub を使った例）

Move Hub を使った例との違いはハブのクラスだけです。

from pybricks.hubs import TechnicHub
from pybricks.parameters import Color
from pybricks.tools import wait

# ハブを初期化。
hub = TechnicHub(observe_channels=[1])

colors = [
    Color.RED, 
    Color.BLUE,
    Color.GREEN,
    Color.YELLOW,
    Color.MAGENTA,
    Color.VIOLET
]

while True:
    # 他のハブからのブロードキャストの受信。
    data = hub.ble.observe(1)

    if data is None or data == -1:
        # 過去1秒間にデータが受信されていないか、データ不正。
        hub.light.on(Color.WHITE)
    else:
        # データが受信され、かつ1秒未満の新しいデータ。
        hub.light.on(colors[data])

    # ブロードキャストは100ミリ秒ごとにのみ送信されるので、それ以上の頻度で
    # observe() メソッドを呼び出す理由はありません。
    wait(100)

Pybricks によるハブ間のブロードキャスト通信