NumWorksについて
12月はじめにカシオの fx-CG50 が MicroPython をサポートしたことで話題になりましたが、この背景には NumWorks の存在が大きかったのではないかと思っています。
NumWorks は、いわゆるグラフ電卓というもので、教育市場で使われている電卓が TI-84 に支配されている状況を打破しようと、フランスの NumWorks 社が2017年の夏に殴り込みをかけてきたものです。そのデザイン性と内部情報が公開、利用者(主に教育関係者)からのフィードバックをとりいれてファームウェアを更新していくことから人気が出ています。もちろん MicroPython をサポートしているところも人気の要因の一つです。
もの好きな私は今年の4月に注文して5月に届きました。
中身は本体とカバー、USBケーブル、SAFETY GUIDE(安全のしおり)だけです。マニュアルはオンラインで参照することになります(PDF版のダウンロードも可能です)。電卓には珍しく乾電池式ではなくて充電バッテリー内蔵で、USBケーブルを使って充電します。
NumWorks の MicroPython
メニューにはきちんと "Python" があります。
NumWorks はハードウェアもソフトウェアも情報公開していることから、一部マニアがハードウェア改造(裏に Raspberry Pi Zero くっつけて、NumWorks の画面で DOOM やってるビデオを見たことがあります)やカスタムファームウェアを作成したり(シリアル接続可能にしたり)しています。
現在の最新ファームウェア 1.8.1 では MicroPython 1.9.4 をサポートしています。マニュアルによれば、MicroPython でサポートされているモジュールは math, cmath, random, kandinsky だけです。カシオの fx-CG50 よりはマシなものの、やはりちょっと物足りなさを感じます。NumWorks社の現在の方針としては学校教育、大学入学試験で必要ないものは優先度低くなっているようです(下手に高機能だと試験に持ち込み不可になってしまいますしね)。fx-CG50 と違って、いちおう kandinsky でグラフィック描画できますが、サポートしているのはドットと文字を描画することぐらいです。以下はデフォルトで入っている mandelbrot.py で画面にマンデルブロ集合を描いてみたものです。
この他、workshop.numworks.comのサイトには NumWorks社や利用者によって作成された MicroPython スクリプトがあり、自分の NumWorks にダウンロード可能です。
電卓キーボードでプログラミングは苦痛きわまりないのですが、NumWorks では Web 上でシミュレータで確認しながらプログラムして、実機にダウンロードする環境があります。これは便利(ただし、他のスクリプトと組み合わせてシミュレートする方法が未だにわかりません)。
興味持たれた方は実際に購入してしまうまえにオンラインシミュレータで使い勝手を確認するのがよいでしょう。あくまで海外の教育市場向けの電卓ですので過度の期待をしてはいけません。
では、本日はここまで。