この記事では正規のセットアップを避けて手動でWindowsをインストールする記事です。
手動インストールのメリット
- 正規のセットアップを回避して最小限のセットアップができる
- 本来インストールできないドライブ(容量問題, リムーバブルディスク等)にインストールできる
- windows11で実装された、CPU制限やメモリ制限、セキュアブートのチェックを回避できる
- ロマン(?)
デメリット
- 基本コマンド操作なので正規のセットアップよりも困難
- 環境によっては途中で手順が異なり期待通りに進まないことがある
準備 & 手順
1. インストールメディアの用意
この記事ではTiny11のインストールメディアを使います。
なお、通常のWindows10/11インストールメディアでも同様に動作するためそちらを用意しても構いません。
2. インストールメディアの起動
お好みのpcで先ほど用意したメディアを起動します。
インストールメディア上での操作
3. コマンドプロンプトの表示
セットアップ画面に進んだらShift+F10
を押してコマンドプロンプトを表示させましょう。
4. Diskpart & ドライブの初期化
diskpartを利用してインストール先のドライブを初期化します。
先ほどのコマンドプロンプト上でdiskpart
コマンドを打ち実行します。
4.1. ディスクの選択
list disk
を実行し、ディスク一覧を表示します。
ディスク一覧の中からインストール先のディスクを見つけ、select disk <ディスク番号>
で選択します。
4.2. ディスクのクリーンアップ
clean
を実行しディスクを削除します。
※注意 先ほど選択したディスクの中身が消えます。
4.3. GPTへの変換
convert gpt
を実行してドライブをgptにします。
4.4. EFIパーティションの準備
create part efi size=500
を実行して500MBのEFIパーティションを作成。
作成後、format fs=fat32 quick
でfat32としてフォーマット。
フォーマット後、assign letter w
でドライブレター(W:)を割り当てます。
4.5 プライマリパーティションの準備
このパーティションにWindowsがインストールされます。
create part primary
でプライマリパーティションを作成。
作成後、format fs=ntfs quick
でntfsとしてフォーマット。
フォーマット後、assign letter c
でドライブレター(C:)を割り当てます。(すでに割り当てられている可能性あり)
4.5 diskpartの終了
exit
と入力してdiskpartを終了。
終了後はコマンドプロンプトに戻ります。
5. sourcesディレクトリへの移動
cd /d D:\sources
を入力して指定のディレクトリに移動します。
※ D:\ドライブは環境によって異なります。複数のドライブがある場合はD:\以外の可能性が高いです。別途diskpartを利用してlist disk
等で確認が必要です。
6. Windowsのコピー
dism /Get-ImageInfo /imagefile:install.wim
を入力して、含まれているイメージを表示します。
ここでインストールしたいエディションの一覧が確認できます。
インストールしたいエディションのindexを後ほど利用するので覚えておいてください。
※ 環境によってはイメージファイルのinstall.wim
はinstall.esd
というファイル名に変わっている場合があります。
dism /apply-image /imagefile:install.wim /index:<エディションのindex> /applydir:C:\
を入力して、C:\にコピー。
<エディションのindex>
は先ほどのindexを参照。
コピーには数分かかる場合があります。
7. EFI書き込み
bcdboot C:\Windows /s W:
を入力してEFIを作成。
ここで必要なブート ファイルが作成されます。
8. レジストリエディタの利用
コピーされたwindowsのレジストリを変更してセットアップ時のOOBEの実行を回避します。
※ この後のセットアップがうまく行かない場合は8. レジストリエディタの利用をスキップすることをおすすめします。
8.1. レジストリエディタの起動
regedit
と入力してレジストリエディタを起動。
8.2. ハイブの読み込み(SOFTWARE)
HKEY_LOCAL_MACHINE
をクリックし、上部のファイル
>> ハイブの読み込み...
をクリックします。
ファイル名
にC:\windows\system32\config
と入力し、Enterキーを押します。
SOFTWARE
を選択し開き、SOFT
と名付けます。
8.3. ハイブの読み込み(SYSTEM)
先ほどと同様に、
HKEY_LOCAL_MACHINE
をクリックされた状態で、上部のファイル >> ハイブの読み込み... をクリックします。
SYSTEM
を選択し開き、SYS
と名付けます。
8.4. レジストリの変更
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFT\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System
に移動します。
右クリックして、新規
>> DWORD(32ビット)値
を選択しVerboseStatus
と名付け、値を1にします。
※ 環境によってはすでにVerboseStatus
は存在することがあります。
EnableCursorSuppression
をダブルクリックし、値を0に変更します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYS\Setup
に移動し、
CmdLine
をダブルクリック、文字列をcmd.exe
に変更。
8.5 レジストリエディタの終了。
変更が終わったらレジストリエディタを終了します。
9. 再起動
コマンドプロンプト上でwpeutil reboot
を入力し、コンピューターを再起動します。
Windowsコピー後のセットアップ
10. ユーザーのセットアップ
再起動後のセットアップでコマンドプロンプトが表示されるのを待ち、oobe\windeploy
と入力します。
「準備しています/Getting Ready」などが表示されるのを待って、
net user /add <ユーザー名>
を入力します(<ユーザー名>は自由に変更できます。)
net localgroup /add users <ユーザー名>
と
net localgroup /add Administrators <ユーザー名>
を入力し、ローカルグループに追加します。
11. レジストリの変更
regedit
と入力しレジストリエディタを起動。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup
に移動。
OOBEInProgress
をダブルクリックし、値を0に変更。
SetupType
を0に変更。
SystemSetupInProgress
を0に変更。
regeditを閉じて、コマンドプロンプト上でexit
と入力します。
12. セットアップ後
コマンドプロンプトを閉じた後は環境によって表示が異なります。
私の場合は「デバイスのプライバシー設定」がすぐに来ましたが、「Windows Modules Installer の処理が完了するのをお待ちください」などと表示された場合は、最低5分待ってからコンピューターを強制的に再起動します。
おまけ
Administratorユーザーを利用する
本来ではWindows Serverなどで使われるユーザーAdministratorですが、Home版やPro版でも利用可能です。
手順10. ユーザーのセットアップ時にユーザーを作成せずに、Administratorを有効にし、セットアップ後にログインします。
net user administrator /active:yes
を入力し、Administratorユーザーを有効化。
net localgroup /add users administrator
を入力し、ローカルグループに追加。
後は手順11から同様に従ってください。