プロジェクト管理でよく目にするガントチャート。作成方法や運用のポイント、様々なツールの使用方法などを解説していきたいと思います。
今回は、その第1回、そもそもガントチャートとは何か?についてお話しします。
(定義)ガントチャートとは
ガントチャート(Gantt chart)は、作業計画とその進行状況を視覚的に把握するたための棒グラフの一種です。
アメリカ人経営コンサルタント、ヘンリー・ガント(Henry Gantt)が工場での工程管理を行うために考案しました。
チャートは、左右2つのブロックの組み合わせで構成され、左側のブロックは、プロジェクトの完了に必要な作業をリストアップした表、
右側ブロックはカレンダーの時系列上に各作業の実施時期を、作業ボリュームと実施順序を加味して配置した棒グラフです。
この際、作業リストの作成には、一般的にWBS(Work Breakdown Structure)という手法を用います。
ガントチャートを用いると、作業リストによる網羅性や増減の調整と、棒グラフによるスケジュールの視覚的な把握が同時に行えるため、
製造工程の管理だけでなく、様々な用途で用いられています。
ガントチャートを利用するメリット
ガントチャートは、作業管理表と、カレンダー、棒グラフの特徴を併せ持っているため、
ガントチャートを利用すると、下記のようなメリットがあります。
■ ガントチャートを利用するメリット
- 作業の進捗状況を視覚的に表現するため、作業の開始・終了時期、順序、進捗状況などが把握しやすい
- スケジュールに抜け漏れ、人的リソースに無理がないかをチェックできる
- リスケジュールが必要になった場合、グラフ上でタスクの再配置ができる
- 管理者やエンジニア、顧客など、リテラシーの違う関係者間で状況を共有できる
一方、作業数が多くなってくるとチャートが広大になり視覚的な検証効果が低下するなど欠点もりますので、別途、それらを補って運用する必要があります。
ガントチャート作成手順
ガントチャートは大まかに下記のような手順で作成します。
■作成手順
- WBSを使用してプロジェクトを具体的な作業単位まで分割する
- 各作業の作業内容・完了条件・見積もり工数・担当者(仮)・開始日(仮)・終了日(仮)などの情報を設定する
- 作業間の依存関係を明確にする
(例)材料の洗浄 → 加工、テスト環境調達 → テスト実施 - カレンダー上の棒グラフで順序、担当者、実施時期などの重複、矛盾などを調整する
ガントチャートは、どのツールを使うかにより表現できることがかなり異なりますので、用途に合わせてその他作業を行います。
具体的なツールの使い方と作成方法については、別途説明します。
また、作業リストが正確に作成できていることがガントチャートの効果を高める上で重要となりますので、WBSの手法は一通り理解しておきましょう。
次回以降、具体的なガントチャートの作成方法やツールの使い方などについて書いていきたいと思います。