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「上手くいったこと」を効率的に振り返って次に活かそう!

Last updated at Posted at 2023-12-14

はじめに

本記事には組織やチームではなく「個人」の振り返りに注目した内容を記載します。組織やチームの振り返りに適用できるエッセンスも含まれている可能性はありますが、あくまでも個人の振り返りがメインターゲットなのでご注意ください。

皆さんは「振り返り」と聞いてどんなものをイメージするでしょうか?
オープンロジではPositive Reflectionという振り返りの文化があり、プロジェクトの節目で振り返りを行ったり、KPTを使ってチームごとに振り返りを行ったりする機会があります。

それはとても良いことだな〜と思いつつ、どうしても上手くいかなかったこと・改善点の振り返り中心になる傾向にあるなあという漠然とした課題意識を感じていました。
一方で私自身は「上手くいったこと」の振り返りを重視しており、とても体験が良いと感じていたので、「上手くいったこと」の振り返りについてをテーマにして社内のLT大会(BeerBash)で登壇してみました。折角なのでその内容を抜粋して記事にしてみようと思います。

ということで以下をお送りします。

  1. 振り返りは「上手くいかなかったこと」中心になりがちだと思う
  2. 是非「上手くいったこと」も「手厚く」振り返ることをおすすめしたい!
  3. 「手厚く」って一体何ですか?どこまでやればいいんですか?
  4. 具体的には何をすればいいんです?

1. 振り返りは「上手くいかなかったこと」中心になりがちだと思う

「上手くいかなかったこと」の振り返りは大抵手厚い

  • 「上手くいかなかったこと」に対しては説明や改善を要求され、振り返りのクオリティが低いと指摘されたり、再度考え直させられたり、厳しい追求を受けることがある
  • 後悔したり反省したりして気持ちが勝手に向かう
  • もはや慣習として社会に根付いている

「上手くいったこと」はサラッと流されることが多い

  • 成果の詳細な説明は求められても、上手くいった要因は必ずしも説明を求められないし、求められたとしても重視されない(浅かったりロジカルじゃなくても詰められたりしない)
  • 気持ち的にも「よかった〜」で終わりがち

image.png

2. 是非「上手くいったこと」も「手厚く」振り返ることをおすすめしたい!

「上手くいったこと」の振り返りは「上手くいかなかったこと」の振り返りと同程度に役に立つ!
「上手くいかなかったこと」の振り返りと同様に、教訓を得て次に活かすことができる!
何なら個人的には「上手くいったこと」の振り返りの方がコスパが良い!と思っている。

  • 「強み」を伸ばしたり活かすことは「弱み」を補うことよりもコスパが良いことが多そう
  • そのまますぐに活かせる率が高そう
  • 気分が良いし、自信につながる

※個人の感想です

3. 「手厚く」って一体何ですか?どこまでやればいいんですか?

経験学習モデルについて知っておこう

  • アメリカの哲学者デイヴィッド・コルブが提唱した経験学習のサイクル
  • 4つのステップからなるサイクルを繰り返すことで経験学習が行われると提唱した

引用:https://weport.jp/column/kolb/

振り返りで行うのは「省察(せいさつ)」と「概念化」

  • 省察:自分自身の経験を多様な観点から振り返って内省すること。経験によって感知した事柄を深く振り返り、内面化します。
  • 概念化:そこで得られた教訓や気づきを他の状況でも応用できるような独自の理論「マイ・セオリー」に作り上げて、一般化・概念化すること。内面化により抽出された「気づき」をもとに、教訓や概括的な意味をつかみます。

引用:https://weport.jp/column/kolb/

キーフレーズを抜粋すると...

  1. 多様な観点から振り返って内省
  2. 深く振り返り、内面化
  3. 独自の理論「マイ・セオリー」に作り上げて、一般化・概念化

省察と概念化は短時間でできるものではない!ちょろっとその場で捻り出せるものではない!
ある程度時間をかけて深く考えることが必要!!!

省察と概念化が達成できるレベルで振り返りを行おう

「手厚く」というのはこの省察と概念化が達成できるレベルで振り返りを行うということ!!
そのためにはある程度時間をかけて深く振り返りを行うことが必要。
ゴールとしては自分の中で何かしらの「マイ・セオリー」が確立しており次回何らかの事柄に適用できる状態になっているということ!

4. 具体的には何をすればいいんです?KPTですか?

振り返りのためだけに時間を確保するのはしんどい

「手厚い」振り返りを行うためにはそれなりに時間が必要だが、振り返りのためだけに時間を確保するのはしんどいものがある。
特に個人の振り返りだとなかなかモチベも出ない。ちゃんと習慣化してやっている人もいると思うけど、そういう人はえらい!

他のより「モチベーティブ」な活動の過程の中でできたらいいよね!

よりやる気のでる他の活動の「サブ目的」として振り返りができたらお得だよね〜ということ。具体的には以下のようなもの!

  1. 発信を利用する
  2. 自身が使うツールやフォーマットをメンテする
  3. 自己評価などの強制イベントを利用する

1. 発信を利用する

例えば今日のBeerBash(※1)の登壇や、記事やWikiの執筆、TGIF(※2)での発表などなど。
上手くいったこと、上手くいっていること、得意なことなどを題材にして発信をしてみる。結果や成果物だけでなく「進め方」や「工夫」、「何をどう考えてどう行動したか」に触れた内容にする。
ある程度きちんと言語化して筋道立てて整理することを要求されるので、その中で深い洞察が得られる傾向にある。

※1 社内で半期に1回行われるLT大会(with 酒・飯)のこと
※2 Thanks God It's Friday. 社内で毎週金曜日に行われるエンジニアの週次定例のこと。

この「上手くいったこと」の振り返りについても発信を利用してマイ・セオリーを確立したものの一つ。資料作成前は以下のようなざっくりとした認識だった。

  1. 「上手くいったこと」の振り返りを重視しており体験が良い
  2. 経験学習モデルを意識している
  3. 発信の機会や自己評価、フォーマットやツールを利用していると思われる

発信を通して改めて経験学習モデルを確認して再発見があり、「省察と概念化を達成するためにある程度深い洞察が必要であり、モチベーションを維持して効率的に進めるために他の目的を利用している」というマイ・セオリーが確立した
今後はより意図的に振り返りのトリガーを引けるようになったはず。

補足:振り返りを盛り込むと時間はかかる

頭の中に既にある内容を記事やスライドにする場合は、慣れていれば比較的短時間でこなすことができる。一方で、省察・概念化を行いながら形にすると当然時間がかかる。私の場合は経験上1つのトピックにつき12時間程度の集中した作業を必要とする事が分かっている。逆に言えば私の場合はそれくらい時間をかけないとマイ・セオリーが確立しない。

2. 自身が使うツールやフォーマットをメンテする

自身が日常的に使うようなツールやフォーマットを作成し、継続的に改良する。
例えば設計書や仕様書だったり、タスク管理のフォーマットだったり、日報だったり何でも良い。自分専用のツールやフォーマット(あるいはpublicでもいいが自分のニーズ最優先のもの)には、自分が経験から得た視点が蓄積されていき、洗練されていく。それはまさに経験学習の省察と概念化の成果物であると言える。ツールやフォーマットという形にセーブしておくことで、細かく断続的な振り返りを効果的に積み重ねて「マイ・セオリー」を確立することができる。

私は以下のようなものをメンテしている(or いた)。

  • タスク管理ツール
  • スライド作成テンプレート
  • 面接準備・記録用フォーマット
  • 問い合わせ・トラブル対応フロー
    • 今は担当じゃないが前職で。それなりの期間担当していたので結構洗練されている。
  • 1 on 1用フォーマット
    • オープンロジには共通フォーマットがあるが前職で
  • 家計簿
    • 最近メンテしてないが...

3. 自己評価などの強制イベントを利用する

半期ごとの自己評価や、何らかのアンケート、KPTなど強制イベント発生時にせっかくなので気合いれて乗っかるという手段。どれだけ「モチベーティブ」かはよりけりという感じだが、頑張って損がないことは多い。こういった物事は面倒に感じがちだが、上手く使うと自分の振り返りにも繋がって組織のためにもなってwin-winになるケースが多い

さいごに

ということで、「上手くいったこと」を効率的に振り返って次に活かそう!というお話でした。
私は元々資料を作って登壇するのが好きで、その機会を利用して自分の中の成功体験を言語化している認識がありました。とはいえ、なかなかそういった機会がないと自分からやろうとはならないタイプなのであまり回数は多くなかったのですが、オープンロジはエンジニアのイベントが前職に比べて盛んでそういった機会が増え、とてもありがたく感じています。発信は自分だけでなく組織のためにもなると思うので、これからも継続的に行っていきたいと思います!
また、今回は個人の振り返りに着目して考えてみましたが、組織的な取り組みについても大きな差分はないと思うので、上手く活かして組織の成長にも貢献していければな〜と思っています。
読んでいただきありがとうございました!

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