本記事は、インティメート・マージャーの Advent Calendar 2024 の7日目の記事です。
はじめに
こんにちは。株式会社インティメート・マージャーの下村です。
コロナ禍をきっかけにリモートワークが主流となり、私たちの働き方は大きく変化しました。
その中で、物理的に離れた場所で働く「見えない」チームメンバーとのコミュニケーションや、仕事の進め方に課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
本日は、こうしたリモートワークの悩みを解決し、チームをより強くするためのアプローチとして、Working Out Loud という思考様式をご紹介したいと思います。
Working Out Loud とは
Working Out Loud とは、自分の作業内容や進捗をオープンに共有し、見える化することで、チーム全体の連携を強化する思考様式です。
とにかく、「今、自分が何をしているのか」を、オープンな場でどんどん呟きます。
アウトプットする内容は、
- 現在取り組んでいる作業
- 頭の中で考えていること
- 解決に苦戦しているエラーやその試行錯誤のプロセス
- 分からないことや疑問点
- 抱えている悩みや課題
- ひらめいたアイデア
- 面白かった技術記事
- 時には「お腹すいた」など、気軽な独り言もOK
ポイントは、頭の中に閉じ込めておくのではなく、思考や作業の過程を実況中継するように外に出すことです。
特に重要なのは、結果だけでなく、その過程や迷いも含めてさらけ出すこと。
この「思考過程を共有する」ことで、チームメンバー同士の理解や協力が深まり、新しいアイデアや解決策が生まれやすくなります。
Working Out Loud のメリット
私が実際に Working Out Loud を実践して感じたメリットは、大きく次の3つにまとめられます。
-
思考や作業の見える化
- 思考のプロセスをアウトプットすることで、自分自身の考えが整理される
- 他の人の考え方やアプローチを観察するだけでも、新たな知見を得られる
- 作業ログを残すことで、同じ課題に直面した人へのヒントとなり、共有知識として活用できる
-
一人で悩まない
- 早い段階でフィードバックを得られる
- 他のメンバーがフォローしやすくなり、チーム全体で課題解決を進めやすい
- 誰がどこで詰まっているかを把握できる
-
質問のハードルが下がる
- 質問をする心理的なハードルが下がり、気軽に相談できるようになる
- 自分の状況をオープンにしておくことで、質問の文章を練る手間が減る
- 質問された側も状況を把握しやすく、的確な回答をしやすい
1. 思考や作業の見える化
黙々と作業を進めているうちに、「自分が今何をしているのか」分からなくなってしまうことはありませんか?
思考のプロセスをアウトプットすることで、自分自身の思考を整理する手助けになります。
また、特に新人にとっては、先輩エンジニアの考え方やアプローチを観察するだけでも大きな学びとなります。
さらに、作業ログを残しておくことで、同じ問題に直面した他の人にとっても有益なヒントや参考資料となり、チーム全体の知識共有にも貢献できます。
2. 一人で悩まない
「一人で何時間も悩んだ末に、誰かに聞いてみたら一瞬で解決した!」そんな経験、ありませんか?
特に新人時代には、気軽に質問できずに一人で抱え込んでしまうことが多いものです。
一方で、先輩や上司としては、「何でも聞いてね」と言っているのに質問がなく、何に悩んでいるのか分からず困ってしまう、という場面もあるのではないでしょうか。
Working Out Loud は、こうした悩みを解決する強力な助けになります。
- 自分が悩みすぎているときでも、沼にハマる前に、早い段階でフィードバックを得られます
- メンターや上司にとっても、メンバーがどこでつまずいているのか把握しやすくなり、適切なタイミングでフォローアップが可能です
- チーム全体としても、各メンバーの課題が共有されることで、よりスムーズなマネジメントが実現します
一人で抱え込まず、チーム全体で課題を共有することで、問題解決のスピードが格段に上がります。
3. 質問のハードルが下がる
新人時代には、質問のタイミングや仕方が分からず、困ることが多いのではないでしょうか。実際、質問するのは簡単なようで意外と難しいものです。
Working Out Loud を実践すると、オープンな場で発言する習慣が身につき、心理的な負担が軽減され、質問がしやすくなります。
また、例えば、エラーが発生し、試行錯誤を繰り返しても解決できないとき、まず質問の文面を考えるのに、試行錯誤のプロセスを言語化してまとめる必要があります。
しかし、Working Out Loud を取り入れていれば、その試行錯誤の過程はすでにアウトプットされています。後はヘルプミー!!と叫ぶだけです!
質問を受ける側にとっても、経緯が記録されたログがあることで、文面で要約された情報よりも状況を把握しやすくなります。
このように、Working Out Loud を取り入れることで、個人の生産性が上がるだけでなく、チーム全体のコミュニケーションや協力体制が強化されると実感しています。
Working Out Loud を取り組みやすくする環境をつくろう
私自身、Working Out Loud を実践しようとしても、最初はなかなかうまくできませんでした。
その理由は、思考過程をさらけ出すことに対する「3つの恐怖の壁」があったからです。
1. 他の人にどう思われるかという恐怖
2. 自分の弱みを見せることの恐怖
3. オープンな場で発言することの恐怖
しかし、重要なのは、これらの恐怖を感じているのは自分だけではないということです。
他の人も同じように感じています。
恐怖を克服するための鍵
Working Out Loud を実践するために必要なのは、チーム全体で取り組みやすい環境をつくることです。
-
みんなが疑問を持ち、間違いをするのは当たり前
自分が疑問に思っていることや間違えることは、他の人も同じように感じていることです。これらをチームで共有することで、より強いチームが築けます。 -
恐怖心を克服する環境づくり
チーム全体で Working Out Loud を「当たり前」にすることで、3つの恐怖も自然と薄れます。実際、私も「みんながやっているから自分もやってみよう」という気持ちになり、次第に発言しやすくなりました。また、自分の発言がチームの役に立っていると感じられるようになると、発言へのハードルも下がり、積極的にオープンな場で発言できるようになりました。
加えて、Slackなどのツールを使っていれば、リアクションをつけることができます。
自分の発言にリアクションがいっぱいつくと嬉しいですね。自分がされて嬉しいことは積極的に !!
リモートワークで顔が見えない分、リアクションは普段よりも100倍くらいの気持ちで大きなリアクションを心がけると、チームの雰囲気がぐっと良くなります。
結論:環境づくりが成功のカギ
Working Out Loud は、一人だけで実践するにはハードルが高いものです。しかし、チーム全体で取り組みやすい環境をつくることで、そのハードルは自然と下がります。
- 全員がオープンにアウトプットできる環境を作る
- リアクションや応援の文化を醸成する
こうした取り組みを進めることで、個人もチームも成長しやすい環境が整います。
恐れずに、まずは小さなアウトプットから始めてみましょう。
最後に
Working Out Loud を取り入れることで得られる恩恵は、チームビルディングに大いに役立ちます。
特にリモートワークやエンジニアの働き方において、その相性の良さは抜群です。
チームのつながりを強化し、生産性を高めるこの方法を、ぜひあなたも実践してみてください!
まだまだインティメート・マージャー アドベントカレンダーは続きます!
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