日付を間違えていて書く、ACCESS Advent calendarの記事です。何とかクリスマスに間に合った。
技術的に書きたいことはいくつかあったのですが、間に合わなかったので、ビジネス的な事を書きます。(以前、社内向けに書いた資料の、焼き直しです)
単なる昔話と、若干悲観論的ですが、一般論を書いているつもりです。国内外のことにふれますが、日本国内のSI事業の視点から書いています。
(と言いつつ、国内の会社は社名を上げづらいので、ぼかして書いています)
BaaS/PaaSの創世記
国内でクラウドという言葉が広く聞かれるようになったのは、2011年頃、大震災の前ぐらいからのはずです。AWSの日本リージョンができたのは、2011年です。
当時、BaaSの、Parse.comで、Facebookが買収した年でした。とはいえ、BaaSは未成熟の状況で、商用開発で使う例は少ない状況でした。
また、便利なPaaSというと、Herokuぐらいしかありませんでした。(ちなみに、私のいるACCESSでは、Herokuを広範囲に使っており、当時国内で最もヘビーにHerokuを使っていた会社の一社のはずです。)
なお、AWSのPaaSである、Elastic Beanstalkは、2011年から提供されていますが、2013年当時では、実績のあるプラットというまでは発展していませんでした。
以上の状況から、この頃に様々な「開発プラットフォーム」という名のクラウドサービスが2013年頃、日本国内でもローンチしています。AWSはIaaSを提供し、自社がPaaS/BaaS/SaaSを提供する、そういった差別化を狙える時期でした。
ビッグ3の成長
しかし、2021年までの間、AWSを始め、Azure、GCPなどクラウドのビッグ3は、とてつもない投資を続け、機能も実績も充実しました。AWSのCognito、S3、DynamoDB、RDS、Kinesis、Bean Stalk、Amplyfy、Greengrass 等々、システムアーキテクチャーの全てのレイヤにサービス・コンポーネントを提供しています。さらに導入実績も豊富になり、技術情報もネットに溢れています。
さらに、AWS、Azure、GCPは、IaaS、BaaS、PaaS ではシェア拡大に限界が見えてきたことから、周辺のSaaSのような領域に投資を拡大しています。たとえばAWSでは、開発者向けのSaaSを増やしています。機械学習用の開発プラットフォームのSageMaker、CIのCodeBuild、Web上の開発ツールのCloud9、VR開発ツールのSumerian、、とリストアップしようとしましたが、もう書き切れないほどあります。
ビッグ3への集約
以上から、クラウドとその周辺ビジネスは、ビッグ3に集約される形になってきています。Parse.com は2017年に閉鎖されました。クラウド創成期にAWSと並びIaaSで有力だったRackspaceは、2016年にIaaSのビジネスを止めて、ビッグ3のクラウドを扱う会社に変わりました。
2011年にローンチしたリアルタイムデータベースとして知られたFirebaseはGoogleに買収されGCPに、エンタープライズBaaSとして知られたKinveyもアメリカの会社に買収されています。
国内で見ても、2013年頃にローンチした多くの開発プラットフォームで生き残っているものはほとんどありません。
クライドインテグレーター業界現在位置
私の観測範囲ですが、2020年以降、クラウド関連のSI(Cloud Integrator)としての案件では、顧客から、「このプロジェクトはAzureで」など、クラウドを指定される例が、大部分となっています。これは、ビッグ3によるセールス活動が非常に活発で、サービス検討の段階まで、各社のソリューションアーキテクトが入り込んでいるためだと思われます。
一方で、クラウドのSI案件の数は増えています。SI産業としては、成熟しながらも、拡大していることは確かです。一方で、ビッグ3への集約が進んでおり、プラットフォーム事業でスケールを狙うビジネスが難しくなってきました。さらに、その周辺の汎用的な、開発プラットフォーム・ツールについても、ビッグ3による提供範囲が増え、そこでのスケールも難しくなりました。
ビジネスSaaSの模索
上記のような背景が、2019年以降、国内で機運の広まっている、ビジネスSaaSにつながっていると思っています。クラウド関連の汎用的なプラットフォームでスケールを狙うようなビジネスは成り立たなくなり、IT企業は、業界特化型のSaaSでスケールを狙う道を模索する形となりました。
これも、様々な業界にスケールできる会計系などはすでにプレイヤーが決まっている事から、競争環境は明らかにきびしくなっています。
同時に、ビジネスSaaSの広まりは、単なる受託としての、SIは相対的に減って、ビジネスSaaSを活用した、インテグレーションが増えていく、という状況の変化をもたらしています。
特に結論らしきものをかけなかったですが、、とりあえずクリスマスの間に投稿します。