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ACCESSAdvent Calendar 2015

Day 5

EPUBであまり使われていない仕様の数々(未来のある仕様の数々!)

Last updated at Posted at 2015-12-04

EPUB仕様

EPUB仕様には、EPUB3 本体の仕様と、そのほかの拡張仕様があります。
EPUB3 本体の仕様とは以下です。

他に、様々な拡張仕様があります。例えば、

EPUB Multiple-Rendition Publications 1.0
http://www.idpf.org/epub/renditions/multiple/

EPUB Region-Based Navigation 1.0
http://www.idpf.org/epub/renditions/region-nav/

EPUB Previews 1.0
http://www.idpf.org/epub/previews/

EPUB Adaptive Layout
http://www.idpf.org/epub/pgt/

EPUB3.0.1 で本体に取り込まれましたが、Fixed layoutも最初は拡張仕様でした。

EPUB 3 Fixed-Layout Documents
http://www.idpf.org/epub/fxl/

これら拡張仕様で、定義が終わっているものは以下に書かれています。

さて、、この投稿では、その中で、広く使われている仕様を紹介する、、のではなく、使われていない仕様を紹介して、標準化のあるあるを感じる投稿にしたいと思っています。

EPUB Adaptive Layout

例でも挙げましたが、おそらく誰も知らないであろう仕様の筆頭は、EPUB Adaptive Layout という仕様です。

EPUB Adaptive Layout
http://www.idpf.org/epub/pgt/

こちら、2012 年に発行されていて、非常に歴史が深いのですが、対応しているViewerは、おそらく皆無だと思います。

せっかくなので、少しだけ仕様を上から見てみます。

Editor

まず、Editorが書かれています。

  • Peter Sorotokin (Adobe Systems, Inc.),
  • Brady Duga (Google, Inc.),
  • Garth Conboy (Google, Inc.),
  • Markus Gylling (IDPF)

Editor は仕様を理解する上で重要となる事がありますので、仕様を読むときは必ず確認しましょう。Adobeの人が、筆頭のようですね。IDPFでは、通常、提案者が先頭に書かれて、IDPFの人(たいてい、Markusさん)は末尾になります。

なぜEditorが重要なのかというと、フォーラム型の国際標準仕様は、たいていの場合、特定の企業の利益誘導を目的として策定されるためです。標準仕様は中立的では無いのか?と思われるかもしれませんが、仕様策定をしているのは営利企業ですので、見返りを想定して、標準化に投資(エンジニアを議論に参加させる等)を行っています。ただし、沢山の参加者が議論する事で、特定の会社に有利に働くことの無いように、是正された仕様になる、という仕組みになっています。

さて、この仕様の場合は Adobe が筆頭ということは、InDesiginのような事をしたいんでしょう、という事が想像つきます。(真意は知りませんが)

次に行きましょう。

Abstract

仕様の概要です。以下のような事が書いています

  • テンプレートベースで、ページをレイアウトする仕様
  • CCSを拡張する
  • 現CSSでは難しい複雑なページレイアウトで、かつ、リフローというのを実現する仕様

なんとなく想像が付いたでしょうか。

Status of this Document

ここには、現在の仕様の状態が書かれています。"Informational Document"というのは、オフィシャルなドキュメントでは無く、参考のためのもの、という位置づけです。
これらの定義は以下に書かれています。

"Informational Document"は参考資料で、標準仕様ではありません。Fixed layoutは"Informational Document"から、3.0.1 で正式に"Recommended Specification"に入っていますので、いつまでも"Informational Document"というのはおかしいと分かります。

つまり?

以降は詳細なので省きますが、先頭の情報だけで微妙感が分かったかと思います。結局、ユースケースが現実のビジネスと結びつかず、実装されなかった、という仕様になります。

数々という割りに1つだけでしたが、、国際標準化はユースケース、特にビジネス上のユースケースと結びついていないことは往々にして有り、誰にも実装されない仕様となる、というのは国際標準化の「あるある」です。

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