前の記事では、電源とは何か、という概要から、ブリッジ整流回路までを記載した。
今回はブリッジ整流回路につかう電子部品の選定に関わる話。
電源に使う部品の必要定格
この回路を例に、使用する電子部品の定格について解説してする。
定格とは、指定された条件における仕様、性能、使用限度などのこと(wiki)。
ダイオードの定格
最大電流
電源投入時、コンデンサには電荷がないため、コンデンサを充電するために電流が一気に流れ込む1
I(ダイオードの電流) = Vm(二次側電圧の最大値) / R(二次側巻線の抵抗)
※直列回路の電流 = 電源電圧 / 回路全体の抵抗のため
平均電流
ダイオードの平均電流は定格で守らなければいけない。
平均電流の求め方は半波整流と全波整流で異なり、
半波整流回路のダイオード平均電流:負荷電流IL
全波整流回路のダイオード平均電流:負荷電流IL / 2 となる。
逆電圧
ダイオードには、逆方向に印加して良い電圧が規定されている。
ブリッジ整流回路の場合、(並列回路のため逆方向のダイオードにも順方向と同じ電圧がかかるため)逆電圧は入力電圧の最大値に等しい。
トランスの定格
トランスの電流は、正弦波の場合だと電源電圧/回路全体の抵抗で素直に求まる。
しかし整流を行った場合、実効電流は負荷電流ILと以下の関係となる。
半波整流のトランス実効電流:2.3L
全波整流のトランス実効電流:1.65L
平滑コンデンサの定格
コンデンサ毎に印加してよい電圧が定められているため、出力電圧より高いものを選ぶ必要がある。
電流についても許容できるリプル電流が決まっているが、これはシュミレーションをして確認する。
-
コンデンサは電荷を貯める性質をもち、電圧は0Vの状態から電源電圧まで上昇する。コンデンサの電圧が電源電圧に達すると、回路には電位がなくなり電流は流れなくなる。
これは短絡状態と同じになるため、ダイオードを無視すれば、負荷はトランスの二次側だけとなる。
よって、ダイオードの電流は以下の式で求まる。 ↩