安定化回路
前回の電源回路(変圧・整流・平滑)だけでも出力電圧を作ることはできる。
ただ、リプル成分が含まれていたり、負荷の抵抗値によって出力電圧が変動してしまう。
よって出力電圧を一定化するために安定化回路が必要となる。
やり方としては、一定電圧を発生させる素子(ツェナーダイオード)を用いる方法と、
制御によって安定化させる方法がある。
ここでは簡単な前者の方を解説する。
ツェナーダイオード
ダイオードは、電流を一方向にしか流さない性質をもつ。
ある種のダイオードの逆方向に電圧をかけると、一定電圧を越えた場合、急に電流が流れ出すという現象が発生する。
この急に電流が流れ出すときの電圧を降伏電圧という。
このとき、ダイオードの両端電圧は降伏電圧のまま一定になっている。
この特性を活かし、一定電圧を得る目的で使われるダイオードのことを「ツェナーダイオード」という。
ツェナーダイオードの動作
電圧は、ツェナーダイオードに逆方向電流が流れている場合、
VI = VRD + VD1 となる。
ここで、ツェナーダイオードの電圧は一定なので、
VRD = V1 - VD1 としてすぐ算出することができる。
電流は、オームの法則より、VRD / RDの抵抗値 で簡単に求まる。
ツェナーダイオードによる安定化回路
ツェナーダイオードによって電圧が一定になるのだから、出力を取り出してみようと負荷RLをつけた回路。
負荷RLにどれだけの電流が流れようが、出力電圧(RDの電圧)は一定でなければならない。
これが安定化回路の基本となる。
電圧は、DZとRLの並列回路部分は、ツェナーダイオードの降伏電圧で固定される。
したがって、RDの電圧はRLの抵抗値に関わらず一定となる。
また、RDに流れる電流も、(電圧と抵抗値が決まっているため)RLの抵抗値に関わらず一定となる。