はじめに
今回は「SCRUM MASTER THE BOOK」を読んで学んだ知識をまとめていきたいと思います。(読んだところまで)
この本ではスクラムマスターの役割について書いてあり、その役割を受け入れる為の知識が書いてあります。
CHAPTER1 スクラムマスターの役割と責務
- スクラムマスターはチームのパフォーマンスを飛躍的に向上させるために必要な役割
- スクラムマスターはアジャイルとスクラムのマインドセットを持ったエキスパート
自己組織化したチーム
- チームでどのように進めるか話し合い、決めることができることが重要
- メンバーがお互い助け合うように促す必要がある
- 個人の集まりとして開発を進めるのではなく、チームとして取り組むことが重要であることを気づいてもらう
スクラムマスターの目標
- チームの自己組織化を促進してパフォーマンスの向上を目標とする
- チームが自分たちで障害物を取り除けるように助ける
- チームが責任を持つように促す
スクラムマスターの責務
- チームの行動を支援する
- 開発チームを外部から守る
- アジャイルとスクラムの価値を維持し、それらの理解を広める
役割を兼務するときの落とし穴
- スクラムマスターとチームメンバー:チームメンバーの役割の比率が高くなり、チームの能力向上ができない
- スクラムマスターとプロダクトオーナー:2つの役割の目標は違う、自己組織化できない
- スクラムマスターとマネージャー:マネージャーの役割でリーダーとなるので、自己組織化が弱くなりがち
- スクラムマスターとして複数チーム:最大でも3つのチーム、多いと得られる情報が不足する
- スクラムマスターは1つの役割に集中するのが一番いい
サーヴァントリーダーとしてのスクラムマスター
- スクラムマスターはリーダーシップが必要であり、チームひいては組織を良くするように動く
- サーヴァントリーダー:「チームのことを第一に考え、自分のことはその次に」
一歩だけ先を行く
- 変化していく過程のガイド役である
- 先に行きすぎるとチームがついてこないので、一歩だけ先を行き、変化を促す
- チームが現状に満足していても変化を起こして改善を促す、そしてそれを継続して行う
CHAPTER2 心理状態モデル
- 組織の状態に合わせてアプローチを変える必要がある
- アプローチを決める心理状態モデル
- ティーチングとメンタリング
- 障害物の除去
- ファシリテーション
- コーチング
ティーチングとメンタリング
- チームに効果的なプラクティスや手法を提案する
- アジャイルとスクラムのアプローチを何度も説明する必要がある
障害物の除去
- はじめに「チームがもっと仕事をしやすくするために、私は何ができるだろうか?」を考える
- 障害物を取り除くための責任、活動を最終的にチームに委任する
ファシリテーション
- チームが円滑に会議を進められるコミュニケーションを行えるようにする
- 議論の内容や解決策に絶対に干渉しない
コーチング
- もっとも重要なスキル
- 個人の成長だけでなく、チームの自己組織化、オーナーシップにも焦点を当てることができる
例 アジャイルをはじめる
- アジャイルの移行初期の段階でスクラムのやり方が受け入れられていない
- 正しいアプローチ:何度も全体にスクラムについて説明すること
例 障害物
- スクラムを受け入れたが、多くの問題にチームが直面している
- チームで障害物を取り除けるような手助けをする
例 立ち往生
- スクラムをやっていて、今のやり方で問題ないと思っている
- コーチングで問題に気づくように仕向ける
- スクラムマスターはチームに何をするか指示するのではない
例 責任
- チームは優秀で、自己組織化できている
- チームを信頼して会議等をまかせるようにして、スクラムマスターが真ん中にいないようにする
- ただ注意深く話を聞いて、手助けする準備をしておく
このパズルに欠けているピース
- 観察をすること
- 観察することで、一歩下がり、チームの行動を促す
- 観察すること、傾聴すること、干渉しないことがスクラムマスターで重要
CHAPTER3 スクラムマスター道
- スクラムマスターを表す3つのレベル
レベル1 私のチーム
- 開発チームにだけ責任を感じる
- みんなの役に立つには? → 自己組織化した開発チームを作ること、アジャイルなマインドセットを持ってもらうこと
- 自己組織化のために、観察をして一歩い引くことが重要
レベル2 関係性
- いい状態のチーム
- プロダクトオーナーを含めたバランスの取れた関係性を構築する
- 顧客やユーザー、営業、マネージャーなどとの関係性強化を促し、自己組織化を更に促す
- この段階では、スクラムが文化、哲学、マインドセットであることの理解や定義が必要
レベル3 システム全体
- 組織全体や一部に注目できるようになり、それらの問題を改善するように動ける
- スクラムの理解・定義は生き方にも適用できる
- スクラムマスターはすべてのレベルを認識して、状況に合わせて活動する(レベル1→レベル3は行けない)
スクラムマスターのグループ
- レベル1の私のチームはスクラムマスター1人で作れるがそれ以上は1人でできない
1つのシステムとしての組織
- 自己組織化できていない組織は階層構造を前提としているので、組織を1つのシステムとして捉える失敗する可能性がある
- システムやエンタープライズのレベルでコーチングを適用する必要がある
- 組織を次のレベルに進める第一歩として、強力なスクラムマスターチームを作る
最初の試み
- スクラムマスターのチームを作ったときに、レベル1だと各スクラムマスターのチームごとの問題が違うことや、価値が理解できないことなどでうまくいかない
- スクラムマスターのチーム内で役割を明確にして、レベル2以降になること
スクラムマスターランド
- スクラムマスター同士が相手に対して変わってほしいと思うのでうまくいかない
- システム全体を俯瞰する視点が不足してうまくいかない
- レベル2の状態だと、チェンジマネジメントの経験が不足していて組織を変えることができない
- 相手の立場・視点に立って、なぜアジャイルになるべきか答えるべき
世界を変えよう
- システム全体を俯瞰する視点が必要
- チーム全体へのコーチングを通して、問題を解決してもらう
- システム内での関係性と効果の増幅ループについて理解する、グループで考える
- ツール「インパクトマッピング」でシステム全体を俯瞰して、関係性などを知る
クネビンフレームワーク
- デイブ・スノーデンが述べた「クネビンフレームワーク」
- スクラムマスターは問題や状況を分類して、どのようなアプローチを取るか決める必要がある
- クネビンフレームワークでの問題の領域
- 自明:問題が単純でベストプラクティスを適用すればいい
- 煩雑:分類に分析が必要、専門家に依頼するレベル、グッドプラクティスを適用する
- 複合:問題の解決策がわからない、創造的なプラクティスが必要、スクラムはこれを解決する
- 混沌:予測不可能でコントロールできない問題、非凡な解決策が必要
- 無秩序:状況の分類ができない
- 自明と混沌の境界で間違った判断すると危ない
CHAPTER4 メタスキルとコンピタンス
- 偉大なスクラムマスターならどう考えるか?
- 偉大なスクラムマスターならどんなスキルの習得が求められるか?
- 偉大なスクラムマスターならどの領域の経験を積む必要があるか?
- 偉大なスクラムマスターならどのようなコンピタンス(能力)を獲得しないといけないか?
メタスキル
- ある状況で意図的に取る態度、考え方、スタンスのことをメタスキルと言う
スクラムマスターとメタスキル
-
持つべきメタスキル
- ティーチング
- 傾聴
- 好奇心
- 尊敬
- 遊び心
- 忍耐
-
好奇心→ディスカッション、傾聴→ディスカッションでは行動が違う
-
意図的にメタスキルを切り替えるべき(イベントの中では同じメタスキルを使う)
コンピタンス
アジャイルの達人
- スクラムマスターはアジャイルの達人でないといけない
- 理論だけでなく、気づきを得るために幅広く物事を調べる必要がある
- アジャイルをマスターするということは、原則を一般化して、想定されていない環境に適用できること
- 検査と適応の原則は、失敗から学ぶこと
説明と経験の共有
- アジャイルに関する概念を相手に売り込んでいく必要がある
- 実際の経験があれば色々できることがある
ファシリテーションとコーチング
- ファシリテーターとなり、傾聴と好奇心のメタスキルを適用しながら議論の枠組みを作る
- コーチングするときに、チームがいい考えを出せるパワフルクエスチョンを行う
コアコンピタンス
- 3つの持つべきコアコンピタンス
- ビジネス知識:チームレベル2でプロダクトオーナーにアジャイルな考え方でアドバイスするので必要
- チェンジマネジメント:スクラムマスターは企業に変化をもたらす人で、小さな改善と大きな改革がある
- 技術知識:開発手法のレベルでアドバイスができる、エクストリームプログラミングのプラクティスが役に立つ
CHAPTER5 チームを構築する
- 優れたチームを構築する能力は、偉大なスクラムマスターに求められるコンピタンス
タックマンの集団発達モデル
- これからチームにスクラムを適用していく場合、タックマンの集団発達モデルで見るとどうなるか
フォーミング(形成期)
- スクラムマスターは古い習慣から脱却させるために、ティーチングでスクラムを説明する必要がある
ストーミング(混乱期)
- チーム内でスクラムのプロセスに合わせようとして負荷が高くなるので、円滑にするためにスクラムマスターは動く
- コミュニケーションが十分でないとチームがばらばらになる
ノーミング(統一期)
- チームがまとまっているが、さらなる改善を促すためにコーチングを行う
パフォーミング(機能期)
- スクラムで達成したい段階、チームは自信に満ち溢れている
- スクラムマスターは観察をして、いつでもサポートできるようにする
変動
- メンバーが参加・抜けたりする変化が、チームの状態に影響を与える
- スクラムマスターは変動を観察して、早期にチームの状態を調整する必要がある
チームの5つの機能不全
- チームが機能しているかどうか
- 1層:信頼の欠如
- 2層:衝突への恐怖
- 3層:コミットメントの不足
- 4層:責任の回避
- 5層:結果への無関心
信頼の欠如
- 信頼の欠如を認めないが、殻にこもって1人作業をしている
衝突への恐怖
- チーム内での衝突を避けるために、偽物の調和を取ろうとする
- 面倒な議論を避け、領域を分けて自分の作業だけをする
コミットメントの不足
- 積極的にかかわらないことは、信頼の欠如が原因
説明責任の回避
- スプリントバックログアイテムを終わらせられないことを理由付けしてしまう
- 定期的に起こる場合は、機能不全
結果への無関心
- 共通目標より、自分の担当範囲の目標を目指している
- チームの目標を目指すようにしてもらうために、考え方を大きく転換する必要がある
スクラムマスターの役割
- スクラムマスターは機能不全ピラミットのどの段階にいるか確認する
- チームに現状を理解してもらい、問題を気づかせる
- チームで目標を決めてもらい、問題解消に向けて行動するように促す
チームの毒
- チームや組織を害する毒
- 非難する
- 守りの姿勢
- 壁を作る
- 侮辱する
非難する
- 失敗を非難する
- 今後の改善案について提案する方が良い
守りの姿勢
- 非難に対する反論で守りの姿勢になってしまう
- 変化・挑戦を恐れるようになる
壁を作る
- 他の人の意見を聞かずに、自分のやり方を通す
- 仕事のやり方が各人バラバラになる
侮辱する
- 相手を侮辱することで深刻な問題に発展する
- 相手よりよく見られるようとする発言はこれに当てはまる
スクラムマスターの役割
- 毒がチーム内にあることを気づかせるようにコーチングする
責任に目を向ける
- どのように責任が機能するかの責任モデル
- 脳の解決選択肢
否認
- 最初は問題を否認する
- 例:コードが壊れていても動くと言う
責任転嫁
- 否認できない場合、他の人に責任転嫁しようとする
- 例:コードは仕様通りで、仕様を書いた人が悪い
正当化
- 問題に対して正当化する
- 例:誰にでもミスはある
回避
- 自分で問題の解消をしないように回避する
- 例:難しいので専門家に任せるほうがいい
義務
- 義務があるという理由で問題解消を行う
- 例:ミーティングは決まっているからやる
放棄
- 問題の解決を放棄する
責任
- 責任プロセスモデルの最終段階で、自ら責任を持ち問題解決を行う
- スクラムでは次回以降、どのようにして問題を起こさないかチーム内で話し合う
部族としての組織
- すべての組織は部族で構成されている
- 支配的な部族文化があり、文化は人の行動や態度を形成する
- 文化には各ステージがある
ステージ1 人生は最低だ
- すべての人が希望を失った文化
- 孤独で、他人を理解できない
- IT業界全体でもあまり見られない
ステージ2 自分の人生は最低だ
- 責任を取りたがらず、不満を言ったり、周りと断絶する文化
- スクラムの初期段階に見られる
- 活躍のチャンスを用意する、責任を与え行動してもらうことを促します。
- 各人が成功体験を得ることで、次のステージに上がれる
ステージ3 自分は素晴らしい(でも、あなたは違う)
- 特化した専門家がいて、自分は絶対に必要だと信じている文化
- 多くの企業で見られる
- 次のステージへのステップアップに必要
- 自分のスキルと能力に自信がある人だけが、素晴らしいチームを作れる
- さらなる成功体験を得ることを促す
ステージ4 自分たちは素晴らしい
- 「私達はすごい」が組織内の合言葉になる
- ポジティブで、オーナーシップ、責任、協力を行える文化
- 自分のプロダクトの価値を信じて、競争はあまりしなくなる
- アジャイルなスクラムチームがこのステージにいる
- 各人の活躍するための十分な場を与え、評価しなけれれば、このステージには行けない
ステージ5 人生は素晴らしい
- このステージの組織は、業界、世界全体を変えようとしている
- 同じステージの人たちは大きなものに立ち向かう仲間で敵ではない
正しいリーダーシップのスタイルを選ぼう
リーダー = フォロワー
- リーダーがフォロワーに命令する
- 創造的なビジネスにおいて使い勝手や効率が悪くなってきた
リーダー = リーダー
- 人々がほとんど自分たちで問題を解決できると信じている
- マネージャーは必要だが、一人ひとりがリーダーとして行動できる
- スクラムはスクラムはこのモデルになる
分散化のテクニックを使う
- 自己組織化されたチームは分散化のテクニックを使いこなしている
読書会
- チーム内で読んだ本などを話し合う
旅人たち
- 組織内を自由に移動してチームを助ける人も必要
レビューバザール
- いろいろなスプリントレビューに参加できるようにする
実験ボード
- 実験を行い、見えるようにして、周りに刺激を与えるようにする
オープンスペース
- 参加者が自由に話し合えるような場を定期的に作る
ワールドカフェ
- 企業の中の多くの人を巻き込んで議論できるようにする
変化を実装する
- 変化は困難を伴うので、変化にさらされる人のために安全な環境を作り変化を乗り越える手助けをする
変化を求めて
- どうして変わりたいかを明確にしておく
- 現在のボトルネック、強み、期待することを明確にする
- アジャイルの車輪で現実を認識、半年後の期待値を書いてみる
行動を変える
- スクラムマスターは変化を乗り越えるために、組織のガイド役になる
- 変化を理解するための概念
- ORSCフレームワークを元に、変化=エッジ
- エッジは既知と未知の境界線で、新しいことをするときエッジを超える
- 成長・変化する限り、探索すべきエッジがある
- スクラムマスターはこれを乗り越える手助けをする、コーチングが有用
変化を成功させるための8つのステップ
- チェンジマネジメントに関する8つのステップで成功に導くプロセスの概念
- 変化の領域を定め、何をするか決め、行動し、変化を定着させる
危機意識を持つ
- 変化の最初のステップは、危機意識を持つこと
- 正当な動機と理由がなければ、変化は起きない
チームをガイドする
- 変化を起こすには一人でできないので、他の人を巻き込む
- 情熱やコミュニケーション、リーダーシップを持つ人が必要
変化のビジョン
- 変化のビジョンと戦略を練り、5分で説明できるようにする
- 本当の目標はなにか
理解と了承
- ビジョンは他の誰かに話さないと意味がない
- 変化に対して人は不安を覚えるので、傾聴や状況把握、人々の情熱を引き出す必要がある
- 何度もビジョンを話す必要がある
人々の行動を促す
- 人々の行動を促すために障害物を取り除く
- 変化に向けて行動した人への感謝と称賛も忘れずに
短期の成功
- 長期ビジョンの中に、小さな成功を作り、成功を祝う
気をゆるめない
- 終わっていないのに早く完了したと認識しない
- 長期的な変化を壊してしまう
新しい文化を創る
- 変化を定着させて、文化を組織にとって不可欠なものにする
- これまでなかった会話が生まれる