はじめに

AngularアプリをNetlifyにデプロイした際、「404 Not Found」エラーに遭遇したことはありませんか？この記事では、その原因と解決方法である_redirectsファイルについて詳しく解説します。

問題の背景：SPAとルーティングの仕組み

従来のWebサイト（MPA）とSPAの違い

従来のWebサイト（Multi-Page Application）

example.com/home     → home.html（実際のファイル）
example.com/about    → about.html（実際のファイル）
example.com/contact  → contact.html（実際のファイル）

SPA（Single Page Application）

example.com/         → index.html（実際のファイル）
example.com/todos    → index.html（ファイルは存在しない）
example.com/profile → index.html（ファイルは存在しない）

AngularのようなSPAでは、実際にはindex.htmlという1つのファイルしか存在せず、JavaScriptがブラウザ内でルーティングを処理します。

404エラーが発生するケース

1. 直接URLアクセス

ユーザーがhttps://yourapp.netlify.app/todosに直接アクセスした場合：

1. ブラウザ → Netlifyサーバー: "todos.htmlファイルをください"
2. Netlifyサーバー: "todos.htmlは存在しません" → 404エラー

2. ページリロード（F5キー）

現在/todosページにいる状態でページをリロードした場合

3. ブックマークからのアクセス

保存されたURL（例：/profile）から直接アクセスする場合

解決方法：`_redirects`ファイルの設定

基本的な設定

プロジェクトのpublicディレクトリに_redirectsファイルを作成します：

/*    /index.html   200

ファイル構成例

frontend-angular/
├── public/
│   └── _redirects          # ← ここに配置
├── src/
│   ├── app/
│   └── index.html
├── angular.json
└── package.json

angular.jsonでの自動コピー設定

angular.jsonのassets設定で、ビルド時に自動的に_redirectsファイルがコピーされるようになっています：

{
  "assets": [
    {
      "glob": "**/*",
      "input": "public"
    }
  ]
}

`_redirects`の詳細仕様

基本構文

[source] [destination] [status_code]

パラメータ説明

/*: すべてのパス（ワイルドカード）
/index.html: リダイレクト先
200: HTTPステータスコード

なぜ200ステータスが重要か

301/302リダイレクトの場合（❌ 間違い）

/*    /index.html   301

# 動作：
1. ユーザーが /todos にアクセス
2. ブラウザのURLが / に変更される
3. Angularが正しいルートを認識できない

200ステータスの場合（✅ 正解）

/*    /index.html   200

# 動作：
1. ユーザーが /todos にアクセス
2. ブラウザのURLは /todos のまま
3. index.htmlの内容が返される
4. AngularがURLを見て正しいコンポーネントを表示

実装手順

1. `_redirects`ファイルの作成

# publicディレクトリに作成
echo "/*    /index.html   200" > public/_redirects

2. ビルドの実行

ng build

3. ビルド結果の確認

ls dist/your-app-name/browser/
# _redirects ファイルが含まれていることを確認

代替設定方法：netlify.toml

プロジェクトルートにnetlify.tomlファイルを作成する方法もあります：

[build]
  publish = "dist/your-app-name/browser"
  command = "npm run build"

[[redirects]]
  from = "/*"
  to = "/index.html"
  status = 200

高度な設定例

API呼び出しの除外

# API呼び出しは除外
/api/*  https://your-backend-api.com/api/:splat  200

# その他はSPAルーティング
/*      /index.html                              200

特定のファイルタイプの除外

# 静的ファイルは除外
/*.js   /404.html  404
/*.css  /404.html  404
/*.png  /404.html  404

# その他はSPAルーティング
/*      /index.html  200

環境別API設定の最適化

環境設定ファイルの作成

src/environments/environment.ts

export const environment = {
  production: false,
  apiUrl: 'http://localhost:8080/api'
};

src/environments/environment.prod.ts

export const environment = {
  production: true,
  apiUrl: 'https://your-backend-api.com/api'
};

サービスでの使用

import { Injectable } from '@angular/core';
import { HttpClient } from '@angular/common/http';
import { environment } from '../../environments/environment';

@Injectable({
  providedIn: 'root'
})
export class TodoService {
  private apiUrl = `${environment.apiUrl}/todos`;

  constructor(private http: HttpClient) { }

  getTodos() {
    return this.http.get(this.apiUrl);
  }
}

トラブルシューティング

よくある問題と解決方法

_redirectsファイルが含まれない
- publicディレクトリに配置されているか確認
- angular.jsonのassets設定を確認
リダイレクトが効かない
- ファイル名が_redirects（アンダースコア）になっているか確認
- 構文が正しいか確認（スペース区切り）
無限リダイレクト
- ステータスコードが200になっているか確認

まとめ

AngularのようなSPAをNetlifyにデプロイする際は_redirectsファイルが必須
/* /index.html 200の設定で直接URLアクセスとページリロードの問題を解決
publicディレクトリに配置することで、ビルド時に自動的に含まれる
環境変数を使用してAPI設定を適切に管理する

この設定により、ユーザーがどのURLからアクセスしても、正常にAngularアプリケーションが動作するようになります。

参考リンク