はじめに
「既に誰かが書いているかも...」
「これって当たり前すぎるかな...」
「この内容じゃ価値がないんじゃ...」
Qiitaに投稿しようとするとき、こんな不安に駆られたことはありませんか?私は何度もあります。記事を書こうとエディタを開いた瞬間、「この内容は他の人が既に書いているかも」という思いが湧き上がり、書く前から諦めてしまう...。そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
実はこれ、多くのエンジニアが抱える共通の悩みなのです。今日はこの「新規性へのこだわり」について考えてみたいと思います。
新規性にこだわる理由
なぜ私たちは「誰も書いていないこと」「新しい発見」にこだわってしまうのでしょうか。その理由はいくつか考えられます:
- 自己価値の証明: 新しいことを発見・発信することで自分の価値を示したい
- 他者との差別化: 既に語り尽くされた感のある話題では埋もれてしまう不安
- 「車輪の再発明」への批判: エンジニア文化における重複作業への批判精神
- 「いいね」や評価への期待: 新規性のある記事の方が注目されるという思い込み
確かに新規性は価値の一つです。しかし、それが唯一の価値でないことを忘れてはいけません。
共感こそが真の価値
技術記事の本当の価値は何でしょうか?それは「誰かの役に立つこと」「誰かの共感を得ること」ではないでしょうか。
例えば、「Git入門」や「Docker基礎」といったテーマは、既に何百もの記事が存在します。しかし、そんな中でもあなたの記事が「あ、これなら分かる!」と誰かの心に響くことがあるのです。
なぜなら:
- 人はそれぞれ異なる理解の仕方をする: あなたの説明がピタッとハマる人がいる
- 経験と文脈が異なる: あなたが遭遇した特定の問題と解決法は、同じ問題に直面している誰かの助けになる
- 時間の経過による変化: 1年前の記事より、最新の環境に基づいた記事が欲しい人もいる
- 共感による安心感: 「自分だけじゃないんだ」という気持ちが大きな励みになる
「当たり前」を疑う
「これって当たり前すぎるかな...」と思うことでも、実はそうではないケースが多々あります。
エンジニアとして成長すると「当たり前」だと思うことが増えていきますが、それは単に「あなたが既に学んだこと」に過ぎません。今日あなたにとって当たり前のことは、昨日のあなたにとっては新鮮な学びだったはずです。
思い出してみてください:
- 初めてGitのconflictを解決できたときの喜び
- 初めてDockerで環境構築がスムーズにいったときの達成感
- バグの原因がやっと分かったときのスッキリ感
これらの経験と感情を共有することは、同じ道を歩む人にとって大きな励みになります。
共感を生む記事の書き方
では、新規性よりも共感を重視した記事はどう書けばいいのでしょうか?
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自分の躓いたポイントを正直に書く: 「ここで3時間ハマりました」という告白が、同じ問題に直面している人の救いになります
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感情を込める: 「このコマンドを実行するとき、毎回緊張します」といった感情の機微が共感を生みます
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具体的な文脈を提供する: 「文系卒未経験エンジニアとして、本当にやれるのか不安だった私は...」といった背景があると読者は自分と重ね合わせやすくなります
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失敗談を惜しみなく共有する: 成功事例より失敗談の方が学びが大きいことも多いです
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質問形式を取り入れる: 「皆さんはこんな経験ありませんか?」と問いかけることで読者の共感を引き出せます
実例:共感を得た「当たり前」の記事
実際にQiitaで人気を集めた記事の中には、特に新規性はなくても多くの共感を得たものがあります:
- Git操作の失敗談と回復方法
- デバッグ時の思考プロセスの共有
- リファクタリングで気づいた単純だけど効果的なプラクティス
- 新人エンジニアが陥りがちな罠とその対処法
- レガシーコードとの向き合い方
これらはいずれも「新しい技術」や「誰も知らない裏技」ではなく、多くのエンジニアが経験する普遍的な悩みと解決策です。それでも(あるいは、だからこそ)多くの共感を呼び、価値ある記事となっています。
「誰かの役に立つ」という視点
記事を書く際に意識してほしいのは「誰かの役に立つ」という視点です。
私が昔書いた「初めてのJavaScript非同期処理」という記事は、正直なところPromiseやasync/awaitについての基本的な内容で新規性は皆無でした。しかし、ある日突然コメントが届きました:
「この記事のおかげで、3日間悩んでいた問題が解決しました。本当にありがとうございます!」
この一言が、私の記事執筆のモチベーションを大きく変えました。新規性よりも「誰かの役に立つこと」に価値があると実感したのです。
まとめ:あなたの経験こそがかけがえのない価値
結局のところ、あなたにしか書けない記事があります。それは、あなた自身の経験、感情、文脈を含んだ記事です。
同じ技術トピックでも、あなたの目線から見た景色は他の誰とも違います。その独自性こそが、新規性よりも大切な価値なのです。
だから、こう言いたいと思います:
「新規性に拘る必要はない!!」
大事なのは、あなたの言葉で、あなたの経験を、あなたの感情とともに伝えること。そうすれば、必ず誰かの共感を得られるはずです。
今日からは「これ、書くべきかな?」と迷ったら、「誰かの役に立つか?誰かが共感するか?」という基準で考えてみてください。そして、少しでも「Yes」と思えたら、迷わず書いてみましょう。
あなたの記事が、誰かの助けになりますように。
さいごに
この記事も「新規性はない」と言われればそうかもしれません。「記事を書く勇気」について語った先人は数多くいます。
しかし、この記事を読んで「そうそう、自分もいつもそう思ってた!」と思ってくれる方がいたら、それだけで私の目的は達成されたことになります。
あなたのその経験、その知識、その感情を、ぜひ記事にしてください。誰かがきっと、あなたの言葉を待っています。
この記事があなたの背中を押す一助になれば幸いです。共感していただけましたか?ぜひコメント欄でお聞かせください。そして、あなたが「書くべきか迷っていた記事」について教えてください。きっと「書くべき!」と背中を押してあげられると思います。