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数値計算の境界条件について

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数値計算で使用される様々な境界条件についてまとめてみる。

問題設定

1次元波動方程式を差分法にて数値計算する問題を考える。今回考える方程式を以下のように与える。

\frac{\partial^2 u(x,t)}{\partial t^2}=\frac{\partial^2 u(x,t)}{\partial x^2}

ここで、$0\leq x \leq L$、$0\leq t$をとる。初期値として以下を与える。

\frac{\partial u(x,t=0)}{\partial t}=0

また、初期値$u(x,t=0)$は考える境界条件によって変化させる。

差分法

空間方向の$[0,L]$区間を$N$等分するとき、1区画の距離$\delta x$は$\frac{L}{N}$となり、各区画の座標$x_i=i\delta x$となる。また、時間方向への離散化は、$t_j = j\delta t$とできる。このとき、

U_i^j\equiv u(x_i,t_j)

とおく。離散化された1次元波動方程式は

\frac{U_i^{j+1}-2U_i^j+U_i^{j-1}}{\delta t^2}=\frac{U_{i+1}^j-2U_i^j+U_{i-1}^j}{\delta x^2}

となる。左辺に$U_i^{j+1}$だけ残るようにすると、

U_i^{j+1}=2U_i^j-U_i^{j-1}+\frac{\delta t^2}{\delta x^2}(U_{i+1}^j-2U_i^j+U_{i-1}^j)

となり、時間発展を漸化式で表すことができる。

境界条件

この問題設定のもと、様々な境界条件$u(x=0,t)$、$u(x=L,t)$を考えていく。

ディリクレ境界条件

第1境界条件とも呼ばれ、境界上の点$x$に対して、

u(x)=f(x)

という条件を与える。

数値計算

初期値$u(x,t=0)=\sin(2\pi x)$とする。
ディリクレ境界条件は、

\begin{multline}
\begin{split}
u(x=0,t)&=0\\
u(x=L,t)&=0
\end{split}
\end{multline}

で与える。
このとき、数値計算結果は下図の通り。
boundary-conditions_dirichlet.gif
両端が常に$0$となっており、固定端と呼ばれる。

ノイマン境界条件

第2境界条件とも呼ばれ、境界上の点$x$に対して、

\frac{\partial u(x)}{\partial x}=f(x)

という条件を与える。

数値計算

初期値$u(x,t=0)=\cos(2\pi x)$とする。
ノイマン境界条件は、

\begin{multline}
\begin{split}
\frac{\partial u(x=0,t)}{\partial x}&=0\\
\frac{\partial u(x=L,t)}{\partial x}&=0
\end{split}
\end{multline}

で与える。
このとき、数値計算結果は下図の通り。
boundary-conditions_neumann.gif
自由端と呼ばれる。

ロビン境界条件

第3境界条件とも呼ばれ、境界上の点$x$に対して、

au(x)+b\frac{\partial u(x)}{\partial x} = f(x)

という、ディリクレ境界条件とノイマン境界条件の線形結合を与える。

数値計算

良い感じの初期値を探し中。
ノイマン境界条件は、

\begin{multline}
\begin{split}
u(x=0,t)+\frac{\partial u(x=0,t)}{\partial x}&=0\\
u(x=L,t)+\frac{\partial u(x=L,t)}{\partial x}&=0
\end{split}
\end{multline}

で与える。

混合境界条件

境界を複数の部分集合に分割し、それぞれの部分集合で異なる境界条件を組み合わせること。

数値計算

初期値は$u(x,t=0)=\sin(\frac{3}{2}\pi x)$とする。
混合境界条件は、

\begin{multline}
\begin{split}
u(x=0,t)&=0\\
\frac{\partial u(x=L,t)}{\partial x}&=0
\end{split}
\end{multline}

で与える。
このとき、数値計算結果は下図の通り。
boundary-conditions_mixed.gif

コーシー境界条件

境界上の点$x$に対して、

\begin{multline}
\begin{split}
u(x)&=f(x)\\
\frac{\partial u(x)}{\partial x}&=g(x)
\end{split}
\end{multline}

という、ディリクレ境界条件とノイマン境界条件の両方を与える。

数値計算

良い感じの初期値を探し中。
コーシー境界条件は、

\begin{multline}
\begin{split}
u(x=0,t)&=0\\
\frac{\partial u(x=0,t)}{\partial x}&=0
\end{split}
\end{multline}

で与える

周期境界条件

境界上の点$x$に対して、

u(x)=u(x+L)

という条件を与える。

数値計算

初期値は$u(x,t=0)=\sin(2\pi x)$とする。
周期境界条件は、

u(x)=u(x+L)

で与える。
このとき、数値計算結果は下図の通り。
boundary-conditions_periodic.gif

ボルン=フォン・カルマン境界条件

波動関数がある特定のブラベー格子上で周期的でなければならないという周期境界条件。固体物理学いnおいて理想結晶をモデル化するために用いられる。

ヘリカル境界条件

参考

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