はじめに
前回は、なぜC++はヘッダーファイルやMainファイルに分けるのかといったお話をしました。今回は、Python側に目を向けて、なぜPythonは反対にファイルを分割せずとも実装できるのかについてお話していきます。
Pythonなどのスクリプト言語では、C++のような分割が必要ない理由はいくつかあります。
1. 動的型付けとインタプリタ
動的型付け: Pythonは動的型付けの言語であり、変数の型を明示的に宣言する必要がありません。これにより、ヘッダーファイルで型やクラスを宣言する必要がなくなります。
インタプリタ: Pythonはインタプリタ言語であり、コードが逐次実行されます。C++のようにコンパイル時にすべてのコードを解析する必要がないため、分割の必要性が減ります。
2. モジュールとパッケージ
モジュール: Pythonでは、1つのファイルが1つのモジュールとして扱われます。モジュールをインポートすることで、他のファイルやスクリプトでその機能を利用できます。この仕組みにより、ヘッダーファイルと実装ファイルに分ける必要がなくなります。
パッケージ: 複数のモジュールをディレクトリ構造で整理することにより、大規模なプロジェクトでも管理が容易になります。init.pyファイルを使用することで、ディレクトリをパッケージとして扱うことができます。
3. 簡潔な構文と設計哲学
簡潔な構文: Pythonの設計哲学は、「シンプルで明快なコード」を重視しており、コードの分割を最低限に抑えています。このため、クラスや関数の宣言と実装を1つのファイルにまとめることが推奨されます。
Pythonicな設計: Pythonコミュニティでは、コードをシンプルかつ可読性の高いものにすることが推奨されており、過度な分割を避ける傾向があります。
4. 開発とデプロイの容易さ
迅速な開発: スクリプト言語の特性上、開発者はすぐにコードを実行してテストできます。これにより、宣言と実装を分ける必要が減り、開発スピードが向上します。
デプロイの簡便さ: Pythonスクリプトはそのままデプロイできるため、ファイルの分割がデプロイの複雑さを増すことはありません。
5. 標準ライブラリとサードパーティライブラリ
豊富な標準ライブラリ: Pythonの標準ライブラリは非常に充実しており、多くの機能がすでにモジュール化されています。開発者は必要な機能をインポートするだけで済みます。
サードパーティライブラリ: PIPなどのパッケージ管理システムを利用して、簡単に外部ライブラリをインストールし、利用できます。
まとめ
これらの理由により、PythonではC++のようなヘッダーファイルと実装ファイルの分割が必要ないのです。