はじめに
インターネットがどのように構築されているのか理解する。
内容は以下である。
・インターネット
・プロバイダ
・AS
・IPアドレス
要約
インターネットは、世界中にあるTier1と国内の基幹ISPが
相互接続されることで形成されている。
ネットワークを管理する組織は、
自身が管理する複数のネットワークをASとしてまとめて管理している。
そのため、インターネットのスケールで考えるとAS間で通信が行われている。
インターネット
コンピュータネットワークの3分類の中で、
一番規模の大きいネットワーク。
プロバイダ(ISP)
インターネットへの接続をサービスとして提供する会社。
階層構造
ISPは、役割毎に階層構造になっている。
・基幹ISP
最上位に位置するISPが基幹ISP(一次ISP)。
各国には一次ISPが複数存在していて、それらは直接またはIXを介して接続されている。
その中で、他国と海底や陸上ケーブルで直接接続されているものを
Tier1という。
バックボーン:
世界中のTier1が繋がることで形成されるネットワークや、
国内の基幹ISPが繋がることで形成されるネットワークは、
インターネットを形成する中核を担っているため、
バックボーンと呼ばれている。
・二次/三次ISP
基幹ISPの下層に位置する二次ISPは、一次ISPと直接またはIXを介して接続されている。
三次ISPも同様の形態で二次ISPと接続されている。
IX(インターネット・エクスチェンジ)
世界中にあるISPやIDC(インターネットデータセンター)を接続するためのもの。
無数にあるそれらを全て相互接続するのは、現実的ではない。
そのため、IXが接点となって繋がりあっている。
IXは、LAN内におけるハブのような役割を担っている。
回線
ISPは、物理的な回線を以下のように構築している。
・専用線
専用線として自身で用意する。
・公衆回線
回線事業者が保有する公衆回線(光ケーブルや電話回線など)を
借りる。
AS(自律システム)
いくつかのネットワークをまとめたネットワーク。
インターネットはAS単位で相互接続して形成されている。
ASの範囲定義は?:
ASはIANAに申請することで一意の番号(AS番号)が割り振られて使用される。
つまり、地理による区画やISP毎というわけではなく、
申請者が申請したネットワークの集まりがASである。
概要図
プロトコル
ASは、ルーティングプロトコルを用いて経路情報をやりとりしている。
AS同士と、AS内の各ネットワーク間で使用するプロトコルは異なる。
接続方式
AS間の接続は、ピアリングとIPトランジットの2つがある。
・ピアリング
AS同士が接続する方式で、プライベートとパブリックピアリングがある。
プライベートピアリングは、2つのASを接続する。
パブリックピアリングは、IXを用いて複数のASを接続する。
・IPトランジット
宛先のASに接続する時、間に別のASが介在する接続方式。
介在するASはサービスとして提供している。
Tier1や基幹ISPなどの大規模ISPは、
多数のASと接続しているため、経路情報を保有している。
それをサービスとして下層ISPに提供している。
IPアドレス
グローバルIPアドレスは、世界中にある管理組織が階層構造を形成し管理している。
最上位に位置する団体がICANN(IANA)で、
そこから地域(アジアやヨーロッパ、アフリカなど)、国(日本ではJPNIC)、
そしてISPへと割り当てられていく。
DNS
IPアドレスとドメイン名を対応付けし、相互変換するためのシステムをDNSという。
ドメイン名:
ドメイン名は1つのIPアドレスと対応付けするだけでなく、複数のIPアドレスと
紐づけることができる。また、ドメイン名に別称を付けることができる。
冗長性や負荷分散のため、それらが利用される。
・ドメイン名の定義
webサイトのURLの内、一部をさしてドメイン名と呼んだり、
ホスト名を含めてドメイン名(FQDN)と呼ばれることがある。
例えばhttps://www.yahoo.co.jp/
の場合、
yahoo.co.jp
をドメイン名と呼んだりwww.yahoo.co.jp
をFQDNと呼ぶ。
wwwの意味は?:
webサーバの慣習的な表し方。
DNS構造
DNSは、キャッシュDNSサーバと権威サーバ(コンテンツサーバとも)で構成されている。
2つを併せてネームサーバもしくは、DNSサーバと呼ぶ。
ネームサーバは、文脈によって権威サーバのみを指す場合がある。
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・キャッシュDNSサーバ
クライアント端末が名前解決で問い合わせるサーバ。
インターネット上でwebサイト閲覧やメール送受信時に、
内部的に名前解決が行われている。
どこにある?
契約しているプロバイダやルータが持っている。
挙動
クライアントから問い合わせを受けると、コンテンツサーバに問い合わせる。
その結果をクライアントに返し、一時的に自身もその結果を保持する。
同じ依頼が再度来た場合、コンテンツサーバに問い合わせをせず、
自身の持つ情報を返す。
・権威サーバー
実際にドメイン名を管理しているサーバ。
階層構造
1つの権威サーバが、ドメイン名情報をすべて管理しているわけではなく、
複数のサーバが階層構造を成して管理している。
最上位に位置するのがルートサーバで、以降はドメインのレベル毎の層に成っている。
管理する情報
自身が管轄するIPアドレスとドメイン名の対応表や、下位サーバ情報を持つ。
それらをゾーン情報という。
ゾーン情報は、レコード形式のデータである。
レコード例:
Aレコード:ドメイン名とIPアドレスの対応表(名前解決するためのレコード)
NSレコード:委任する下位サーバのIPアドレス
MXレコード:メールサーバを示す
ルートサーバは、トップレベルドメイン(TLD)を管理するDNSサーバの
IPアドレスなどの情報を保持している。
TLDを管理するサーバは、自身が管理するTDLと下位サーバの情報を
保持している。
例えば、jpを管理しているサーバは、ne.jpやco.jpを管理している
下位サーバの情報を持っている。
どこにある?
プロバイダや企業、団体が保持している。
挙動
キャッシュDNSサーバから問い合わせを受けると、
自身が持つゾーン情報を確認する。
Aレコードがあればそれを返すが、ない場合は下位サーバのIPアドレスを返し
そこに問い合わせし直すように促す。
nslookupコマンド
DNSサーバと接続して名前解決を行うためのコマンド。
引数で指定したIPアドレスもしくはドメイン名と、
対応するドメイン名もしくはIPアドレスを調べることができる。
ドメイン名からIPアドレスを調べることを正引き、
IPアドレスからドメイン名を調べることを逆引きという。
画面の見方
・サーバー
自身が接続したDNSサーバのドメイン名。
一般家庭では、契約したプロバイダもしくはルータのキャッシュDNSサーバ。
問い合わせるサーバにドメイン名が登録されていないとUnknown表示になる。
・権限のない回答
結果の表示。
キャッシュDNSサーバが回答すると権限のない回答になる。
コンテンツサーバに直接問い合わせをすると「権限のない回答」は表示されない。