目的
ラジコンプロポ(2.4GHz)を、電子工作で使えるか調べます。
結論として、ラジコンプロポの技適の種別名で用途「模型飛行機の無線操縦用」が指定されている場合は、それに合ったものにしか使えません。指定されていない場合は、電子工作に使えます。
※この記事の内容は自己責任でお試しください。
※間違いなどあれば、ご指摘ください修正します。
背景
前回記事のスティックでサーボ制御するでは、ジョイスティックを用いてサーボを制御しました。しかし、ジョイスティックはスティックの軸が短いため、細かい角度の指定が難しく、スティックを大雑把にしか操作できませんでした。
ラジコンプロポを使えば、スティックの軸が長いので、より繊細な操作ができるのではないかと思い、手持ちのラジコンプロポFutaba 6L Sportで、前回記事と同様の回路を構成してみました。
ラジコン送受信機の種類
周波数帯によって異なります。
ラジコン専用電波27MHz帯、40MHz帯、73MHz帯と、ラジコン専用では無い電波2.4GHz帯や920MHz帯があります。
今回使用するFutaba 6L Sportは、2.4GHzシステムなので、2.4GHz帯を説明します。
※通信システムの違いもありますが、本記事では割愛します。
※以下の日本ラジコン電波安全協会の資料が参考になりました。
2.4GHz帯プロポについて
ラジコン用電波
ラジコン送受信機の用途
Futaba 6L Sport取扱説明書のP2に、「用途、輸出、改造などに関するご注意」の枠内に以下の記述がありました。
- 模型用以外に使用しないでください
- 本説明書に記載されている製品は、用途が模型用に限定されております
ラジコン専用では無い2.4GHz帯電波を使っているにも関わらず、ラジコン専用電波と同じ用途指定があるのは、この製品の技適の用途指定が理由の様です。
Futaba 6L Sportの技適マークを調べてみると、技術基準適合証明等を受けた機器の検索 T6Lの「特定無線設備の種類」に、「第2条第19号の2の2に規定する特定無線設備」と記載されています。これを証明規則第2条と種別名の対応表で調べてみると、「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム(模型飛行機の無線操縦用)」となっています。したがって、模型飛行機の無線操縦用にしか使えません。
技適の種別名で用途「模型飛行機の無線操縦用」が指定されていないプロポを探す
ラジコン用プロポ(2.4GHz)から、技適の証明番号を調べて、技適機器の検索ページで、一つずつ検索して調べることもできますが、大変なので、ここではFutabaを例に、用途から調べる方法を記載します。
証明規則第2条と種別名の対応表で、「2.4GHz帯」で検索すると、以下の無線設備がヒットします。
特定無線設備の種別 | 無線設備 |
---|---|
証明規則第2条第19号に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム |
証明規則第2条第19号の2に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯小電力データ通信システム |
証明規則第2条第19号の2の2に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム(模型飛行機の無線操縦用) |
証明規則第2条第19号の2の3に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯小電力データ通信システム(模型飛行機の無線操縦用) |
証明規則第2条第28号の2の3に規定する特定無線設備 | 1.6GHz帯/2.4GHz帯移動衛星通信システム用携帯移動地球局 |
「模型飛行機の無線操縦用」が指定されていないもので、携帯移動地球局ではないものは、以下の二つです。
特定無線設備の種別 | 無線設備 |
---|---|
証明規則第2条第19号に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム |
証明規則第2条第19号の2に規定する特定無線設備 | 2.4GHz帯小電力データ通信システム |
技適機器の検索ページで、この二つをチェックします。
↓
そして、Futabaの名称は、双葉電子工業株式会社なので双葉と入力し、年月日FROMに令和2年1月1日を入力して、年月日順、50件を選んで送信します。
ラジコン用プロポ(2.4GHz)と見比べると、T10PXが見つかりました。
Futaba T10PX説明書に、「模型用」との記載がありませんので、電子工作に使えそうです。
たくさん表示されて探すのがつらいですが、年月日FROMを変えれば、現在(2024/07/20確認)Futabaのカー用送信機に表示される他のモデルも見つかります。(アナログプロポのATTACK 4YWDを除く)
模型飛行機の無線操縦用のプロポも探す
つづけて、模型飛行機の無線操縦用も検索してみます。
特定無線設備の種別だけ変えて送信ボタンをクリックします。
10件見つかりました。その内3件は空用送信機でした。
年月日FROMを変えれば、現在(2024/07/20確認)Futabaの空用送信機に表示される他のモデルも見つかります。
これらは「模型飛行機の無線操縦用」となります。
製作物
前章までの内容を鑑みて、ラジコンプロポを使った電子工作で、模型飛行機の無線操縦をします。
構成
- 受信機側
- 模型飛行機x2機
- Futaba 6L Sport
- RX:R3106GFx1個
- MG996R x 2個
- 操作電圧:4.8~ 6.6v
- ストール電流:1400mA
- ミニブレッドボードx1個
- ブレッドボード用ピンx複数本
- 電池ボックス4x1個
- ※単三充電池x4本(受信機用)
- プロポ側
- Futaba 6L Sport
- TX:T6Lx1個
- 単三電池x4本
- Futaba 6L Sport
※説明書によると、受信機電源は、乾電池ではなく充電式バッテリーを使用する必要があるようなので、単三充電池x4本(実測5.18V)を使用しました。
※Futaba 6L Sport取扱説明書のP7に、以下の記載があります。
- そのほかの注意事項
- 送信機、受信機、サーボ、FETアンプ、バッテリーそのほかオプションパーツは、必ずFutaba純正品の組み合わせで使用する
- Futaba純正品以外との組み合わせにより発生した損害等につきましては、当社では責任を負いません
説明
- 模型飛行機を無線操縦するために、Futaba受信機の数字が記載された、接続ポートにサーボを繋ぎます
- サーボのコネクタを見ると、「爪、白、赤、黒」となっているので、白が信号線、赤が+、黒は-です
- MG996Rを繋ぐなら、黄は信号線に、赤は+に、茶は-に繋ぎます
- プロポの説明書は、操作がモード1の表記になっています
- 受信機の2番(エレベータ)にサーボ一つ目を繋ぐ
- 受信機の3番(スロットル)にサーボ二つ目を繋ぐ
- Futaba受信機のBと記載された、接続ポートにバッテリーを繋ぎます
- スイッチのコネクタを見ると、「爪、N/A、赤、黒」となっているので、赤が+、黒は-です
操作感
旗揚げゲームの様に、上限、下限、センターしか必要ない場合は、ジョイスティックで特に問題ありませんでしたが、細かな操作は難しく、使いずらいと感じていました。
それに対して、ラジコンプロポは細かな操作ができて素晴らしいです。
おわりに
繊細なスティック操作が必要になったら、技適の用途が「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」になっているラジコンプロポの導入を検討しますが、そうでなければ、前々回記事「PS4コントローラのスティックでarduinoを制御する」で使ったPS4リモコンが技適の用途が「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム」になっていて、何にでも使えるので、ゲーム機のコントローラを電子工作で使うようにしたいです。
関連リンク
参考サイト
- 技適機器の検索ページ
- ラジコン用プロポ(2.4GHz)
- Futabaのカー用送信機
- Futabaの空用送信機
- Futaba 空用サーボ S-AG300
- Futaba BEC用スイッチSSW-BN
- フタバコネクター
ドキュメント
補足
本文は2.4GHz帯のラジコンプロポの説明でした。
27MHz帯、40MHz帯と73MHz帯のラジコンプロポの場合は、ラジコン用電波 電波法施行規則第六条第一項第二号に、以下の記載があるので、こちらも用途の記載から逸脱しない、「模型~」にしか使えないようです。ご注意ください。
- 用途
- 模型飛行機、模型ボートその他これらに類するものの無線操縦用発振器(以下「ラジコン用発振器」という。)であって、安全性を確保して使用するもの又は有線式マイクロホンのかわりに使用される無線電話用送信装置(以下「ラジオマイク」という。)
それに対して、こちらドローン等に用いられる無線設備についての資料では、73MHz帯でラジコンプロポが100g以上のドローンに使用される想定となっています。こうなると2.4GHz帯も同じく使う想定になっているのかもしれません。100g以上のドローンは「模型~」に当たらないと思うので、気になるところです。
※航空法では、100g未満のドローンは模型航空機に、100g以上のドローンは無人航空機に、分類されています。電波法の模型飛行機の説明は、見つけられませんでした。