最近テレビを見てますか?
スマホでニュース、タブレットでニコ動かYoutube、テレビはお茶の間の飾り・・・という方も最近は多いかもしれません。
しかし、どの家どの年代のお茶の間にもほぼあるという「媒体の普及率」、そこで放映されている「コンテンツの認識度」、これらはとても魅力的なプラットフォームではないでしょうか。
そんな媒体をHackしてコンテンツを好きにいじれたらー?
こんな風に友達と一緒に大相撲見ながら囃し立てたりとかできちゃいますね。
これは正真正銘、NHKの大相撲放映に合わせこちらのアプリの情報を配信しています。
それを可能にしているのが、今回ご紹介するHybridcastなのです!
Hybridcastとは
Hybridcastとは、端的に言えば放送とWebを同時に配信する技術です。
実体としては、テレビに搭載されたブラウザが放送にプラスしてHTMLコンテンツを表示します。このコンテンツはHybridcast専用のなにかではなく、本当に普通のHTML&JavaScriptのアプリケーションです(HTML5の機能も利用可能!)。
上記の例では、大相撲という放送にプラスしてイルカたちでチャットできるWebアプリケーションがブラウザ上で実行されているわけです。
上記の図にもある通り、配信先は何もテレビだけに限りません。放送に合わせてタブレットやスマートフォンに対してコンテンツを配信することも可能です。
これにより、例えばテレビで講義を配信しつつタブレットに小テストを配信する、天気予報の際に視聴者のスマホの温度センサから実際の温度をモニタするなど、よりテレビというコンテンツの楽しみ方を拡張することができます。
より詳細な情報はIPTVフォーラム、またNHKの紹介サイトで確認することができます。
NHKによる2013年度の取り込みはWeb上で閲覧可能なので、興味がある方はこちらも見てみて下さい。
Hybridcastの現状
・・・ここまで盛り上げておいてなんなのですが、今のところ「いますぐ実装するぜ!」というのはできない状態です。
上記のテレビを見ながらのチャット機能は、2014/5/24-25にわたって開催されたNHKハッカソンの際、Hybridcast使うぜ!という思いの下私も含めた3人のメンバで開発したものです。
テーマは国際報道を若い世代に見てもらう、というものでした。チームでは若者=LINEと思い至り、テレビ上でLINEみたいにチャットやスタンプでコミュニケーション、教えあったりして、そうすることでキャラクター(あのイルカ)が成長したりすると面白いねということで作りました。
この時は特別にHybridcastに対応したテレビ、そして本当は勝手に変えられないWebコンテンツの配信先のサーバーを任意に設定できるようにしてもらいました。
接続先はMicrosoft様よりAzureを使わせていただき、そこにASP.NET MVCのアプリを配置、チャット機能はSignalRで実装しました。
そんなわけで、WebサイトはともかくまずテレビがHybridcastに対応していなければならないというカベ、そして配信先サーバーは勝手に変えられない(自宅のはどうにかすればいけるかもしれませんが、他の人の家はさすがに無理)という断崖により、iPhoneやAndroidアプリのように「俺の開発したアプリをみんなのテレビに配信だ!」とはいかない状況なのです。
※テレビ内のブラウザの実装がメーカーごとに謎、また民放の場合HybridcastしちゃうとCMみなくね?みたいな政治的な問題もゴニョゴニョしたりするそうで、実際の事情はもっと複雑みたい・・・
Hybridcastの今後
なんだ結局無理なんか、とあきらめる・・・にはまだ早いと思います。
このNHKハッカソンで優勝したチームは5sec GIF NEWSというニュース映像を5秒でわかるGitアニメにまとめるというものだったのですが、これはNHK内部でしか使用できない、放送内容をキャプチャした映像を取り出せるAPIを使用していました。
もしかしたら、この受賞を機にこのAPIは公開APIになるかもしれません。
私たち開発者が、こうしたAPIがあればこんなことができる、こんな可能性がある、と提示することが風向きをちょっと変えたり、中で動こうとしてくださっている方の力になることもあるんじゃないかと思います。
この記事でもなんでも、Hybridcastがスゲェ!という機運が高まればアプリマーケットの検討がされたりということもあるかもしれません。そういう意味では、Hybridcastの将来をにぎっているのはあなたである!と言っても過言ではない・・・と思います。
テレビ上で自分のアプリが動くというのは、思いのほか感動するものでした。
また、リモコンのボタンでイルカがピコピコしたりイェーなスタンプが送れたりといった単純な機能でも、それが目の前のテレビで動くというのは思わず自分で遊んじゃうくらい楽しかったです。
いつかHybridcastが一開発者の手に届くその日を夢見る今日この頃です。
追記:
待ちきれない、という方のためにYouTube上で同じようなことができるChrome拡張のサンプルを作ってみました。
まだ試験中ですが、感じをつかむためのサンプルにはなると思います。